【家計管理】リタイア家計のKPIは『エンタメ係数』で
古代中国の五行思想では、リタイア後の人生は『白秋』という季節に相当するらしい。
秋という季節には、何か物悲しさを感じてしまうが、近頃の若者が『青春』を『アオハル』と読むように、『白秋』を『シロアキ』と読んでみれば、少しはお洒落に聞こえるかもしれない笑。
それは、ともかくとして、人生後半の『白秋』を充実させるためには、家計管理が欠かせない。
これは、単に節約に努めようという意味ではなく、QOL (Quality of Life) を高めるためには、むしろ、どのようにお金を積極的に使っていくかという問題だ。
この記事では、『白秋』における家計管理の KPI (key performance indicator) には何が相応しいかについて考えてみる。
エンゲル係数
家計を評価する指標として昔から有名なのが、『エンゲル係数』である。
エンゲル係数=食糧費/家計消費支出✖100%
『エンゲル係数』は、ドイツのエルンスト・エンゲルが1857年に提唱した係数で、一般に貧困の度合を示す指標として使われている。
すなわち、食糧費のような生命維持に不可欠な出費は、家計が貧しくとも必ず発生するため、貧困層ほど『エンゲル係数』は高い値を示すのだ。
日本社会は戦後豊かになってきたが、バブル崩壊後の失われた30年で、実は貧困度合いを示す『エンゲル係数』が上昇してきているという研究もある。
これはこれで、まことに由々しき問題ではあるが、これを深追いしたら、本記事の論考とは少し趣旨がズレてしまうので、ここでは触れない。
『エンゲル係数』は貧困度合いを表す指標として採用されたものであるから、例えば、せっかくリタイアしたのに、『エンゲル係数』を減らすために、無理して働いたりなどするのは馬鹿げている。
『白秋』における家計管理の KPI (key performance indicator) に、『エンゲル係数』は相応しくないのだ。
エンジェル係数
『エンゲル係数』とよく似た名称の指標として、『エンジェル係数』が知られている。
『エンジェル係数』は、『エンゲル係数』に代わる新しい豊かさの指標として、1989年に野村證券が提唱した家計を評価する係数である。
核家族化が進んだ戦後日本のニューファミリーを象徴するような指標であるが、もちろんネーミングは語呂合わせであろう。
上記の第一生命経済研究所の論考とは相矛盾するが、食糧費は、豊かになるほど、外食などで逆に支出が増えるという考え方もあり、新しい指標の提案に至ったようである。
『エンジェル係数』は、愛すべきわが子にどれだけのお金をかけることができたかを表す指標であり、ニューファミリー全盛の時代では理にかなった指標であったかもしれない。
しかし、『エンジェル係数』は年々下降線を辿っており、資料の論考にあるように、その要因の1つとして少子化が影響しているとするならば、豊かさの指標としての役割は終わりつつあるようにも思える。
つまり、少子化により、単身世帯やDINKS世帯が増えることで、実態に合わない指標となってきているのだ。
リタイア家計の孫支出という視点に立てば、案外面白い指標になるかもしれないと思ったが、冷静になって考えてみれば、少子化社会は少孫化社会を意味する言葉でもある。
子供が少なくなれば、必然的に孫も少なくなるのだ。
やはり、『エンジェル係数』は、『白秋』における家計管理の KPI (key performance indicator) には成り得ないだろう。
エンタメ係数
『エンジェル係数』ほど話題にはならなかったが、ゲーム会社であるバンダイナムコが発表した資料に、『エンタメ係数』という言葉がある。
エンタメ係数=エンタメ費/家計消費支出✖100%
エンタメ費に含まれる項目は、意識アンケートでは、下記のようなカテゴリーを指すようである。
リタイア生活では、限られた資金力の中で、生活必需費用である住居費や食費などは抑えつつ、QOL (Quality of Life) を向上させるための楽しみの費用(エンタメ費)には惜しみなく(あくまでもやれる範囲の中で笑)資金を充てたいものだ。
その意味では、『エンタメ係数』は、『白秋』における家計管理の KPI (key performance indicator) に相応しい指標であると思う。
エンタメ費に含める項目は、各人で決めればいいと思う。その時の基準は、ぜいたく費であるかないか、だ。
参考までに、自分の場合を示すと、今のところ以下の項目をエンタメ費としている。
旅行
コンサート、映画、遊園地の入場料
本、音楽、ゲームなどのコンテンツ代
外食
車関連
1~3の項目は、異論ないと思う。
4.外食は、スーパーの買い物などの食費とは分けて管理している。自分にとっての外食は、家族との時間を過ごす贅沢な時間だ。
5.車関連は、車が生活の足としてmustな地方暮らしでは含まれないかもしれないが、自分の場合は半分ぜいたく費の範疇だ。
エンタメ費は、使えば使うほど、QOL (Quality of Life) 向上に寄与するのだから、攻めの費用として、勇気を持って使うようにしていきたい。
守りの費用:住居費、食費、光熱費・・・
攻めの費用:エンタメ費
その際、『エンタメ係数』の考え方が役に立つだろう。
むろん、自分の資金力に応じてという注釈がつくが、お金は墓場までは持っていけないのだから、有効に活用したいものだ。
試算の取崩し方法については、別記事で書いているので参考にして欲しい。
※本記事は、お金に関する個人の見解を綴ったものであり、特定の手法や商品などを勧誘するものではありません。お金の管理は自己責任でお願いします。
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