mitaikki0912

近畿大学文芸学部日本文学専攻卒業。23歳。文学や漫画の評論を主に載せています。レポート…

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近畿大学文芸学部日本文学専攻卒業。23歳。文学や漫画の評論を主に載せています。レポートに困っている大学生の方、見る作品を決めかねている方に役立つ情報を載せていきます。

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記事一覧

ワンピース40話まで感想

コロナウイルスの影響で春休みが早まった影響で、家にいる子供たちの為に少年ジャンプがアプリでワンピースを60巻まで無料にしている。それにあやかり、ワンピースを読んで…

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4年前
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村上龍『音楽の海岸』用語集

アリア オペラで、オーケストラの伴奏で独唱する叙情的な曲。詠唱。また一般に、叙情的な小歌曲(かきょく)。 ドメニコ・スカルラッティ ジュゼッペ・ドメニコ・スカルラッ…

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4年前
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「〜べき」か「〜たい」か

漫画『ゾンビになるまでにしたい100のこと』を読んでいると、何をすべきで考えるのではなく、何をしたいかで考えるという表現が出てきて、非常に感銘を受けた。 私は幼い頃…

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4年前
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意見の領域

例えば、A君が「今度の春から経理の仕事」をするんだという。すると、B君が「俺やったことあるけど、経理の仕事なんて面白くないから辞めとけ」と言う。一方C君は「やった…

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4年前
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転職活動と親

私が転職活動をしていた時に親に腹が立った話。仕事を辞めて、転職活動をしていて、1ヶ月くらい経ったある日の朝、母親が「ハローワークに行けば職業訓練とか受けれるよ」…

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4年前
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牛乳キャップ

洗脳のことについて考えていたら、小学生の頃牛乳キャップで経済が成立していたことを思い出した。 私の学校では給食で毎日瓶の牛乳が出ていた。その瓶の牛乳のキャップを…

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4年前
1

洗脳とは

今日は本を読みながら、洗脳について考えていた。分かりやすい例で言えば、宗教は洗脳だとみんなが思いがちである。もちろん、宗教は洗脳なのだが、それ以外にも洗脳は至る…

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4年前
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アフロ田中 さすらい第6集 第11話 やさしくなりたい

あらすじ 合コンで知り合ったナナコを好きになった田中。しかし、職場に新しく入ってきた後輩の彼女の方が可愛く、その容姿の差にショックを受けていた。そんな心境の中、…

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4年前
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江國香織 『落下する夕方』から学ぶ小説と映画の魅せ方の違い

 江國香織といえば、『号泣する準備はできていた』や『きらきらひかる』などに代表されるような恋愛小説作家として有名である。1996年に出版された『落下する夕方』も例に…

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4年前
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分人主義を用いてストレスをなくす方法

①分人主義とは  ②自分自身の経験からみる分人主義とこの論文の趣旨  ③不登校をなくす方法  ④ 一人でいる時の自分はどの分人か  ⑤ 不謹慎狩りは必要ない  ⑥ 恋愛…

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4年前
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太宰治 『魚腹記』から小説技法を学ぶ

○「反復」からみるスワの「死」 四章でスワは鮒になり、滝壺のなかへくるくると吸い込まれていく。私は、スワはそのあと死んでしまったのではないかと考察する。 一章で、…

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4年前
4

『怒り』から学ぶ人を信じることの真意

 この作品は、千葉、東京、沖縄の三つの場面がそれぞれ独立して描かれる群像劇である。それぞれの地に、一年前に八王子で起きた夫婦惨殺事件の犯人と顔が似ている男[千葉…

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4年前

推理小説をエンタメにした木々高太郎の功績

推理小説の世界で木々高太郎が担った役割 推理小説の名付け親で、推理小説は文学的・芸術的でなければいけないとした木々。「探偵小説は芸術とは別」とした甲賀三郎や、「…

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4年前
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戦争と国家神道

 2013年12月26日、安倍晋三は靖国神社を参拝した。参拝後、安倍は「国のために戦い、尊い命を犠牲にされたご英霊に対して、哀悼の誠をささげるとともに、尊崇の念を表し、…

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4年前
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鈴木春信の春画から学ぶ遊び心

鈴木春信『坐舗八景 扇子晴嵐』                   緑と赤の着物を着た男が、障子を開けて、周りを気にしながら、女に誘惑されている場面が描かれてい…

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4年前
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『僕は勉強ができない』山田詠美 から学ぶ個人力が強くなった経緯

『僕は勉強ができない』 山田詠美  主人公の男子高校生、時田秀美は勉強ができない。というより、勉強ができることに価値を見出さないのだ。部活はサッカー部に入ってお…

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4年前
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ワンピース40話まで感想

コロナウイルスの影響で春休みが早まった影響で、家にいる子供たちの為に少年ジャンプがアプリでワンピースを60巻まで無料にしている。それにあやかり、ワンピースを読んでこなかった23歳の私もワンピースを読ませてもらっている。今回は40話(ウソップの島あたり)までの感想を書く。ワンピースほぼ初見なので、新鮮で初々しい感想になると思うが、ご了承願いたい。 まず、一番この漫画の大切なキーワードが「理念」だと感じた。「夢」や「目標」という言葉がワンピースを語る時に言われがちだが、私は「理念

村上龍『音楽の海岸』用語集

アリア オペラで、オーケストラの伴奏で独唱する叙情的な曲。詠唱。また一般に、叙情的な小歌曲(かきょく)。 ドメニコ・スカルラッティ ジュゼッペ・ドメニコ・スカルラッティは、イタリアのナポリ出身で、スペインのマドリードで没した作曲家。同年にJ.S.バッハ、ヘンデルのバロック時代の代表的作曲家が生まれているが、スカルラッティもその時代の鍵盤曲に新しい用法を取り入れた重要な作曲家である。 ブラディマリー ブラッディ・マリー とは、ウォッカをベースとする、トマト・ジュースを用いた

「〜べき」か「〜たい」か

漫画『ゾンビになるまでにしたい100のこと』を読んでいると、何をすべきで考えるのではなく、何をしたいかで考えるという表現が出てきて、非常に感銘を受けた。 私は幼い頃に親から「周りに迷惑をかけないように」と世間体を気にすることを教育されてきた。その結果、何をしたいではなく、何をすべきかで考える人になっていた。最近では、自分で考えることができるようになり、したいことを優先できるようになってきた。なぜしたいを優先した方が良いと思ったか。そこに至ったロジックを説明する。 まず、何をす

意見の領域

例えば、A君が「今度の春から経理の仕事」をするんだという。すると、B君が「俺やったことあるけど、経理の仕事なんて面白くないから辞めとけ」と言う。一方C君は「やったことあるけど、経理の仕事は面白いよ」と言う。 どちらもよくある会話だが、これはどちらの意見も間違えているので、聞く必要がない。なぜなら、B君もC君も「A君の能力」で経理の仕事をしたことがないからだ。同じことを3人がやっても同じ結果にはならないし、全く同じ感情を抱くはずがない。たとえ、同じ会社の同じ仕事だとしてもだ。

転職活動と親

私が転職活動をしていた時に親に腹が立った話。仕事を辞めて、転職活動をしていて、1ヶ月くらい経ったある日の朝、母親が「ハローワークに行けば職業訓練とか受けれるよ」と私を心配した様子で言ってきた。その言葉に対してなぜか猛烈に腹が立ったのでなぜ腹が立ったのか言語化して怒りを収めようと思う。 まず、その時の状況として私は23歳で時代的に転職しようと思えば現実的に考えて不可能なことではなかった。その手段として考えられるのが、 1、自分で転職アプリをインストールし、めぼしい会社に応募する

牛乳キャップ

洗脳のことについて考えていたら、小学生の頃牛乳キャップで経済が成立していたことを思い出した。 私の学校では給食で毎日瓶の牛乳が出ていた。その瓶の牛乳のキャップを使ってメンコをするのが流行っていた。そのうち、家で飲んでいるコーヒー牛乳のキャップを持ってくる友達が現れた。コーヒー牛乳のキャップは牛乳キャップより一回り大きく、メンコをしても強かった。そこでそのキャップを持っている友達は「給食の牛乳キャップ10枚とこれを交換してあげる」と言い交換し始めた。同じように家のフルーツ牛乳の

洗脳とは

今日は本を読みながら、洗脳について考えていた。分かりやすい例で言えば、宗教は洗脳だとみんなが思いがちである。もちろん、宗教は洗脳なのだが、それ以外にも洗脳は至る所にあるのではと思った。 例えば、資本主義という洗脳。分かっている方に偉そうに書くのは恐縮だが、お金が大事であるという一種の宗教をみんなが信じているから貨幣経済が成り立つ。極端に言えば、「今日からお金じゃなくて、ダンゴムシを使って取り引きしようぜ」ということをみんなが信じれば、ダンゴムシ経済だって成り立つ訳だ。 戦争も

アフロ田中 さすらい第6集 第11話 やさしくなりたい

あらすじ 合コンで知り合ったナナコを好きになった田中。しかし、職場に新しく入ってきた後輩の彼女の方が可愛く、その容姿の差にショックを受けていた。そんな心境の中、ナナコとデートに行く田中だが、ショッピングでナナコに後輩の彼女が被るような帽子を薦めて購入させてしまう。ナナコも田中のその様子に気づき、複雑な気持ちになるが、「私は今の田中くんが良いと思った」と伝える。それを受けた田中は自分の最低さに気づき、帽子を返却しようとするのだったが…。 感想 自分の持っている物と他人の持って

江國香織 『落下する夕方』から学ぶ小説と映画の魅せ方の違い

 江國香織といえば、『号泣する準備はできていた』や『きらきらひかる』などに代表されるような恋愛小説作家として有名である。1996年に出版された『落下する夕方』も例に漏れず、恋愛小説である。恋愛小説というと爽やかな「青い」恋愛をイメージしがちだが、江國の小説はそうではない。もっと言葉にし難い複雑な感情が絡む「大人の」恋愛を描くのが江國の小説の特徴である。 『落下する夕方』という題名からも想像できるように、この小説の表紙は「橙色」を貴重とした絵が描かれている。「橙色の円」が五つ、

分人主義を用いてストレスをなくす方法

①分人主義とは  ②自分自身の経験からみる分人主義とこの論文の趣旨  ③不登校をなくす方法  ④ 一人でいる時の自分はどの分人か  ⑤ 不謹慎狩りは必要ない  ⑥ 恋愛で起きる分人比率の変化  ⑦ 仕事が強制する分人化 ⑧ SNSで可視化された分人  ⑨ 道具が与える分人の変化  ⑩ 芸術で分人の比率をコントロールする  ⑪ 分人を減らす宗教  ⑫ 人の死と共に起こる分人の動き  ⑬ VRの活用は分人主義的に肯定できるか  ⑭ 親子関係と分人主義  ⑮ 分人主義を知らない人へ

¥1,000

太宰治 『魚腹記』から小説技法を学ぶ

○「反復」からみるスワの「死」 四章でスワは鮒になり、滝壺のなかへくるくると吸い込まれていく。私は、スワはそのあと死んでしまったのではないかと考察する。 一章で、学生の死をスワが15歳の時に目撃したことが語られる。二章の「つまりそれまでのスワは~といぶかしがつたりしていたものであった。」と「それがこのごろになって、すこし思案ぶかくなったのである。」の間で学生の死を目撃し、彼女に自意識が芽生えたことが分かる。学生の死によって、スワは物事を深く考えるようになったのだ。 四章の「な

『怒り』から学ぶ人を信じることの真意

 この作品は、千葉、東京、沖縄の三つの場面がそれぞれ独立して描かれる群像劇である。それぞれの地に、一年前に八王子で起きた夫婦惨殺事件の犯人と顔が似ている男[千葉・田代(松山ケンイチ)、東京・直人(綾野剛)、沖縄・田中、犯人・山神(森山未來)]がいる。その人を犯人だと疑うのか、それともこの人は違うと信じるのか。人を信じることの難しさや脆さにスポットライトを当てた作品である。 冒頭の何秒かで、一気に感情が揺さぶられた。夜の住宅街が上から映され、徐々に下に降りていく。そして、その中

推理小説をエンタメにした木々高太郎の功績

推理小説の世界で木々高太郎が担った役割 推理小説の名付け親で、推理小説は文学的・芸術的でなければいけないとした木々。「探偵小説は芸術とは別」とした甲賀三郎や、「謎が論理的に解き明かすことを主眼とした文学であれば探偵小説」とした乱歩と論争も起こした。木々の作品はその言葉通り、人の生活や心情を丁寧に描いた作品が多く、探偵小説(推理小説)という枠を超えて楽しめるものが多い。 木々が出した探偵小説の第1作『網膜脈視症』から、考察していく。この作品では、木々自身の医者の知識を生かした推

戦争と国家神道

 2013年12月26日、安倍晋三は靖国神社を参拝した。参拝後、安倍は「国のために戦い、尊い命を犠牲にされたご英霊に対して、哀悼の誠をささげるとともに、尊崇の念を表し、み霊安らかなれとご冥福をお祈りした」、「中国、韓国の人々の気持ちを傷つける考えは毛頭ない」と説明した¹。  あくまで靖国神社参拝は国の為に戦った人を追悼する為で、天皇統治を正当化する行為ではないととれる発言である。しかし、靖国神社は戦没者の追悼施設ではないと私は考える。  靖国神社は明治以降に建てられた比較的新

鈴木春信の春画から学ぶ遊び心

鈴木春信『坐舗八景 扇子晴嵐』                   緑と赤の着物を着た男が、障子を開けて、周りを気にしながら、女に誘惑されている場面が描かれている。男の横に置かれた扇子と黒い扇子入れのようなものがあることから、男は扇子売りであることが分かる。この絵には、扇子を売りにきた若い男と、家の女の情事が描かれているのだ。  この絵が面白いのはその情事が行われている横で、子供が金魚と普通に遊んでいることだ。子供が横にいることでエロの空気が少し緩み、和やかになっている。こう

¥300

『僕は勉強ができない』山田詠美 から学ぶ個人力が強くなった経緯

『僕は勉強ができない』 山田詠美  主人公の男子高校生、時田秀美は勉強ができない。というより、勉強ができることに価値を見出さないのだ。部活はサッカー部に入っており、女子にもてる。おまけに年上の彼女もいる。今でいうところのリア充だ。しかし、どこか社会や大人に対して反抗的な考えを持っている。その原因の一つが、秀美が幼い頃、両親が離婚しており、父親と一緒に住んでおらず、昔からことあるごとに「父親がいないのに偉いね」、もしくは「父親がいないせいでああなるんだ」といった類の言葉を浴びせ