鈴木春信の春画から学ぶ遊び心
鈴木春信『坐舗八景 扇子晴嵐』 緑と赤の着物を着た男が、障子を開けて、周りを気にしながら、女に誘惑されている場面が描かれている。男の横に置かれた扇子と黒い扇子入れのようなものがあることから、男は扇子売りであることが分かる。この絵には、扇子を売りにきた若い男と、家の女の情事が描かれているのだ。
この絵が面白いのはその情事が行われている横で、子供が金魚と普通に遊んでいることだ。子供が横にいることでエロの空気が少し緩み、和やかになっている。こうした情事が行われている横に子供を描くという手法を、春信は他の絵でも用いている。春信はそういったところで、遊び心を見せているのだ。
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