町の動物たちがつくる発酵食品(山里食加工所さん)
※2021年2月12日修正しました。
会津美里町新鶴(にいつる)地域で農業を営み、発酵食品をつくっている山里食加工所(やまさとしょくかこうじょ)さん。
可愛らしい動物たちが描かれた落花生や味噌のパッケージを見た方もいらっしゃるかもしれません。
眼鏡をかけた「クマとうさん」や、やんちゃ盛りの「コザル3兄弟」など、思わず会いたくなるキャラクターばかり。町にいる動物を家族ひとりひとりに当てはめたのだそうです。
今回は「タヌキかあさん」こと、結城さんに発酵食品への思いをお伺いしました。
結城さんはご一家で落花生、米、大豆などを栽培しており、ご近所のお客さまへ味噌を販売していました。平成27(2015)年、結城さんのご主人「クマとうさん」が落花生づくりに力を入れたことで、販売、加工所の作業が本格化。
現在は落花生、味噌やあまざけ、三五八(さごはち・漬け物の素)などの発酵食品を、福島県内のリオン・ドールというスーパーマーケットに卸しています。
発酵食品で子どもたちを元気に
「味噌づくりのターゲットは子どもたち。発酵食品をいつでもとれる環境にしたくて」
健康志向が高まり発酵食品が注目されるようになったのは、ここ数年のこと。一昔前まで若者からは縁遠く、普段の食卓に並ぶ頻度も低かったはずです。
発酵食品をもっと身近な存在にしたい、美味しいことを知ってもらいたい、という結城さんの気持ちが味噌づくりにこめられています。
「子どもたちが健康でいれば、お母さんの負担は減る。いいサイクルが生まれるんです」
結城さんは3人の男の子を育てるお母さんでもあります。子どもやお母さんへの思いは、ひとしおあるように取材をする中で感じました。
食育は幼少期の経験から大きく影響を受けるもの。よく食べている料理や味つけは、無意識のうちに積み重なった食事経験の集大成なのだと思います。
タヌキかあさんのおすすめ料理
いざ「発酵食品でご飯をつくるぞ!」と思っても、料理のレパートリーがとぼしい私には具体的なレシピが浮かびません。そもそもどう使えばいいのかもわからない始末……。
そこでタヌキかあさんにコザルさんたちがよろこぶ発酵食品を使った料理を伺うと、「サラダチキン」とのご回答が。
鶏肉に三五八とハーブを塗りこんで湯煎すれば完成なので、つくるのも簡単。
地域おこし協力隊の熊谷さんが、サラダチキンをつくってくれました!
三五八はご飯が入っているため発酵が進んでも腐敗せず、長期保存可能です。塩糀とは糀、塩まで材料が同じなのですが、水を混ぜるため腐ってしまうのだそう。
料理をするときに塩の代わりとして三五八使うことが多く、漬けこむのを忘れたときには後入れでも美味しく仕上がると教えていただきました。
「あまり手間をかけずに」がタヌキかあさん流。ホテルのように手のこんだ料理を毎食つくるのは大変ですし、ストレスにもなります。手の抜けるところは抜いて、つくる側も食べる側も楽しく食卓を囲めるのが一番だな、と改めて実感しました。
いつも家族のためにご飯やお弁当をつくってくれた母には感謝しかありません。学生時代から一人暮らしを始め、そのありがたさが身にしみました。
大豆をたっぷり入れた豚汁とミネストローネも人気で、特にミネストローネは「ほかのは食べたくない!」とコザルさんが言うほど濃厚な味なのだそうです。
こちらのあまざけは冷凍保存できるので、半解凍にしてシャーベットとして食べるのもおすすめです。
砂糖は使っておらず、糀の甘みが際立った商品。
あなたはどの味噌タイプ?
山里食加工所さんでは3種類の味噌をつくっています。糀からおこす種菌が違うのだそうです。
味噌が持つそれぞれの風味をご紹介いたします。
・ゆうきみそ 定番仕立
甘みがある、なめらかなタイプ。原料の大豆と米を1:1の割合で使った十割味噌です。会津産の大豆は油分がしっかりあるので、糀に負けないうまみがたっぷり。
味噌汁をつくった際、糀が浮いてこないので味噌のつぶつぶ感が苦手な方にもおすすめですよ。
・ゆうきみそ むかしみそ
色が黒みを帯びていて、塩分しっかりめのタイプ。独特な香りがあり、糀の食感も残っています。どこか懐かしさのある味わいでリピーターが多いそうです。
主に味噌や醤油、清酒をつくるときに使う黄麹菌が入っています。
・ゆうきみそ AOK139
香りが豊かで、舌触りのよいタイプ。「AOK139」は糀菌の名前で、異常細胞(がん細胞など)の正常化を働きかける作用があるといわれています。
福島県内で使っているのは、山里食加工所さんだけ。味噌のほか、あまざけ、しょうゆ糀、三五八にもAOK139が含まれています。
この菌は動きが活発なので、お腹が弱い場合は薄めたり、量を減らしたりして、少しずつ食べたほうがよいそうです。
発酵食品で5年、そしてこれから……
結城さんご一家が発酵食品をつくり続けて5年が経ち、新たにつくり始めたのは無添加のおやつ。普段からストックができるようなポン菓子や煎り大豆を販売していくそうです。
ポン菓子は味をつけず、ふやかして離乳食としても食べられるようにすると伺いました。万が一の非常食という側面も兼ね備えた、万能おやつです。
お腹が空いて顔が曇った赤ちゃんも、結城さんのポン菓子を食べればきっと笑顔になるはず。
美味しくて健康になる夢のようなおやつの登場が楽しみですね。
ピーナッツバターのレシピづくりをしているなか、お話を聞かせてくださりありがとうございます!
店舗詳細
山里食加工所さんの公式ホームページでは、商品ラインナップや取り扱っている店舗一覧が掲載されています。オンラインショップ、電話、FAX、メールからも注文可能です。
詳細は下記のリンク先より、ご覧ください。
山里食加工所
〒969-6408
福島県大沼郡会津美里町沼田字三五郎田甲1460
TEL・FAX / 0242-78-2342
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