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寒風が生んだ保存食・凍み餅(菜の花工房さん)

地元の食材で加工品をつくっている菜の花工房さんの仕事場へお邪魔させていただきました。
農家を営む2人のお母さんたちが、凍み餅(しみもち)づくりをしている様子を見学。見せていただいたのは、卵焼きのようなお餅を四角に切り、干すためにひもでくくる作業です。

凍った餅を油で揚げる

凍み餅は東北、信州といった寒冷地で昔からつくられている保存食。餅を外の冷たい風にあて、水分がなくなるまで乾燥させます。
材料やつくり方は、地域によってばらばら。
会津では乾燥させた餅を揚げ、醤油で味付けをして仕上げるのが一般的。いくつもの工程を経て、やっと凍み餅が完成するのです。

歯触りはぱりっと固め、しっかりとした醤油のあとにほのかなお米の甘さが感じられます。
ぱくぱくつまんでいると、あっという間に袋の中が空っぽに。軽い食べ応えに反し、お米が凝縮されているのでカロリーはなかなかの量。ご飯前の食べ過ぎにはご注意ください。

見学させていただいた菜の花工房さんのお餅は、会津美里町産のもち米かぼちゃでできています。高田地域 八木沢(やぎさわ)地区でよく採れる菜の花の油を使って揚げると、こんがりとした黄金色になるそうです。
4月まで餅を干すので、販売されているのは昨年つくられたもの。虫がつかないように気をつければ、2年ほど保存できると聞きびっくり。
自然の力と先人の知恵にはいつも驚かされます。


凍み餅に見る文化の形

初めてお店で見たとき、思わず「えっ⁉︎」と商品の名前とお煎餅のような凍み餅を二度見してしまいました。
実は私が生まれた福島市の凍み餅は緑色で、カラカラになったまま売られているからです。会津はそのまま食べられますが、福島では水につけてもどし焼かなくてはいけません。
同じ県内といえども、見た目も食べ方も違う凍み餅の存在を知ったときには、カルチャーショックを受けました。
みなさんの町にある凍み餅は、どんな形でしょうか?

ちなみに福島市では、水でもどした餅にドーナッツ生地をつけて揚げる凍天というお菓子が有名です。


熟練の技、ここに極まれり

ちょっとだけお手伝いをさせてもらったり、一緒に休憩をしたり——ころころと会話がはずみ、楽しくにぎやかな時間を過ごしました。

お餅をビニールひもでくくる作業を体験させてもらったのですが、見るのとやるのとでは大違い。ひもが緩んだり、ねじれてしまったりしてなかなか進まず、お餅を吊るすまでに日が暮れそうです。

「初めてなんだから、当たり前。ゆっくりやってみっせ」

こちらを見つめて励ましてくれるお母さんの手元は、少しの狂いもありません。お餅を置く場所、きゅっとひもを引っ張る動き、どれもが正確なのです。
何度も繰り返して指先に染み込んだ動きは美しく、にこにこ笑うお母さんたちが格好よく見えました。


小腹が空いたときの救世主

こちらはご馳走になったチーズ入りのじゃがもち
じゃがいも(キタアカリ)からつくった生地で具材を包みこんだもので、油をしいたフライパンでかりかりになるまで焼いていただきます。

外側のさくっと弾ける食感からは想像できないほど、中の生地はもちもち。とろけたチーズとじゃがいもの相性はぴったりです。
生地はほんのり塩味がありますが、お醤油を少したらすとぐっと香ばしくなります。

菜の花工房さんのじゃがもちは、会津美里町オンラインマルシェから期間限定で販売中です。
ほかにも、町でつくられたいろいろな商品が掲載されていますよ。

取扱店舗情報

会津美里町内では、collect shop Chappy(コレクトショップ チャッピー)さん、食彩館Eな! 本郷(しょくさいかんいーな! ほんごう)さんで菜の花工房さんの商品を購入できます。

近くへお立ち寄りの際は、ぜひお店を覗いてみてください。

collect shop Chappy
〒969-6264
福島県大沼郡会津美里町朝高田甲2819-2
門前横丁 美里蔵内
営業時間 / 9:00〜18:00(季節によって変更あり)
定休日 / 火曜日
駐車場あり


食彩館Eな! 本郷
〒969-6146
福島県大沼郡会津美里町字横堀下33
営業時間 / 9:00〜16:00(月〜金曜日)
     9:00〜12:00(土日・祝日)
定休日 / 毎月第1水曜日、年末年始
駐車場あり



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