みさと。

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まとめ

みさと。
7か月前
9

『夜空に浮かぶ星たちよ』

人が通るたびに開く自動ドアのせいで、冬の乾いた風が外から吹き込む。足首が不定期に冷やされるのが鬱陶しくて、片足だけでも助けるために足を組んだ。 “聞いた?“ “…

みさと。
2か月前
16

『promise』

━━━━━━━━━━ ある日、目が覚めると病院のベッドの上だった。 特に後遺症もなく、回復次第退院だとお医者さんは言っていたのに、大学の同級生だという友達がお見…

みさと。
2か月前
13

『ここにいる理由』

"ふらっと消えてどこかに消えてしまいそう" 君の言葉が私の中で生きているかのように渦巻く。 "アンタだってふらっとどこかに行きそう" 私の言葉は流されてしまったのに…

みさと。
3か月前
9

『忘れゆく日々へ』

1月の寒さは容赦なく、指先を冷やす。 夏休みぶりの地元は懐かしさもなく、相変わらずのままだった。 成人式には誰が来るのだろう。 仲の良かったあいつや、同じ部活だっ…

みさと。
3か月前
12

『制服を脱ぐ』(過去作)

さっきまで騒々しかった教室は、僕と汚れた黒板を残して来年度の準備を始めた。静かな教室の中で、自分の席だった場所に腰を下ろし、配られたアルバムをめくる。 1年から3…

みさと。
4か月前
14

『留守番電話』(過去作)

振動するスマホに表示されるのは "非通知" 君じゃないんだ。 そんなため息を掬い取るようにスマホを手に取った。 誰だろう。 少し恐怖を感じながら、出るか葛藤する。 …

みさと。
4か月前
13

『おもちゃ箱』(過去作)

一方通行の風が止まれなくて窓を叩く。 私はこの安全で快適な場所に閉じこもる。 「風すごいね」 「外、出てみない?」 『やだ。』 一度、拒否の旨を伝えたはずなのに…

みさと。
4か月前
9

『one more chance』

『〇〇!バレーしよ!!』 学校が終わり真っ先に帰る僕の後を追って、ランドセルを背負ったままの君が2階の僕の部屋めがけて叫ぶ声が聞こえる。 「なんで?」 『上手く…

みさと。
7か月前
23

『願い』

今もふと思い出す 長いようで一瞬だったあの夏の日を 君はもう生まれ変わったのかな また会いに来てくれないかな そんなことを願っていても変わらず花火は上がる ━━━…

みさと。
9か月前
33

『大人になれる日まで』

火をつけた。 たった2ミリのタールを含んだ煙草を強く吸い込み、吐き出す。 煙の向こうに花火が上がり、遅れた音が打ち上がった事実を知らせる。綺麗な緑色の花火が上がる…

みさと。
9か月前
18

『how you feel?』

『ねぇ、今日、花火大会らしいよ』 「あー、らしいね」 『らしいねって興味なさそう』 「まぁないに等しい」 服を着だした君の姿を私はまだベッドの中から眺める 時計…

みさと。
11か月前
25

『動け、夏』

水滴がついたコーラが冷たさを失っていくのを横目に、僕はベッドに寝転びながら3周目の漫画を読んでいた 主人公とライバルの一騎打ち ここから盛り上がるって所で部屋に…

みさと。
11か月前
26

#君と見たあの花火

8/18投稿予定『未定』 大園玲

みさと。
11か月前
4

『眩しい瞬間』

座っているだけでもじんわり汗が滲む 空はまだ薄っすらと明るい 日没まであと数分 トランペットをベンチに置いてバスを待っていると声をかけられた 『よっ。それ、どけ…

みさと。
11か月前
38

『まさか、偶然…』

人が行き交う交差点の隅でギターを弾く。 信号待ちの間にこちらを横目で見て、立ち止まってくれると思えば、青になった瞬間に記憶が消えたように歩き出す。 「最後の曲は…

みさと。
1年前
22
『夜空に浮かぶ星たちよ』

『夜空に浮かぶ星たちよ』

人が通るたびに開く自動ドアのせいで、冬の乾いた風が外から吹き込む。足首が不定期に冷やされるのが鬱陶しくて、片足だけでも助けるために足を組んだ。

“聞いた?“
“大園さん~大学受けるらしいよ“

冬季講習で賑わう塾のフリースペースで菓子パンをかじりながら隣の会話に耳を澄ませる。悪趣味だとか、気持ち悪いとか好きに言えば良い。僕だって普段ならこんなことしない。でも、貴女の話題だから仕方ない。

Aクラ

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『promise』

『promise』

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ある日、目が覚めると病院のベッドの上だった。
特に後遺症もなく、回復次第退院だとお医者さんは言っていたのに、大学の同級生だという友達がお見舞いに来てくれた時に自分の異変に気が付いた。

"誰?"

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都会の真ん中、目の前を歩く男性が青いハンカチを落とした。咄嗟に『あの!落としましたよ!』と慣れてないボリュームで声を出す。
渡す時に少しだけ触れた大きな手

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『ここにいる理由』

『ここにいる理由』

"ふらっと消えてどこかに消えてしまいそう"

君の言葉が私の中で生きているかのように渦巻く。

"アンタだってふらっとどこかに行きそう"

私の言葉は流されてしまったのに、

"どこにも行かないよ"

君の言葉はシミになって消えない。

28歳、冬の終わり。
私は5年間付き合っていた男性と別れた。
3年目から結婚を意識していたのは嘘ではない。
でも、今年になって彼の県外転勤が決り、その決心が揺らい

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『忘れゆく日々へ』

『忘れゆく日々へ』

1月の寒さは容赦なく、指先を冷やす。
夏休みぶりの地元は懐かしさもなく、相変わらずのままだった。

成人式には誰が来るのだろう。
仲の良かったあいつや、同じ部活だったあいつらは来るらしいけど、あの子が来るのかは分からない。

「うわーめっちゃ久しぶりじゃん。中学ぶり?」

再会した同級生とテンプレの会話を交わす。

「じゃんぐらい普通に言うやろ。まだ関西は捨ててないわ」

「ていうか、お前同窓会こ

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『制服を脱ぐ』(過去作)

『制服を脱ぐ』(過去作)

さっきまで騒々しかった教室は、僕と汚れた黒板を残して来年度の準備を始めた。静かな教室の中で、自分の席だった場所に腰を下ろし、配られたアルバムをめくる。

1年から3年まで順番に並んでいる写真。
僕が写っているのはたった数枚だけ。
その全てが『一緒に撮ってもらおう』と無理矢理カメラを呼んだ時のものだった。

アルバム最後の真っさらなページ。
学生生活の充実度が現れるこのページには、数少ない友人の寄せ

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『留守番電話』(過去作)

『留守番電話』(過去作)

振動するスマホに表示されるのは

"非通知"

君じゃないんだ。
そんなため息を掬い取るようにスマホを手に取った。

誰だろう。
少し恐怖を感じながら、出るか葛藤する。

3コール程すると電話は途切れた。

間違い電話だろうか。
ホッと胸を撫で下ろすと画面が再び光った。

"1件の新着留守番電話があります"

さっき感じた恐怖がより現実的に変わる。

恐る恐る、留守電を聞いてみることにした。

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『おもちゃ箱』(過去作)

『おもちゃ箱』(過去作)

一方通行の風が止まれなくて窓を叩く。

私はこの安全で快適な場所に閉じこもる。

「風すごいね」

「外、出てみない?」

『やだ。』

一度、拒否の旨を伝えたはずなのに懲りずに何度も誘ってくる。

『ねぇ本当うるさい。』

強めの一蹴にしょんぼりとした君は大人しくコーヒーを啜った。

しばらく経って窓を叩く音に雨音も混ざり始めた。

「ねぇ、やっぱり外行ってみない?」

『無理。』

「頑固だな

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『one more chance』

『one more chance』

『〇〇!バレーしよ!!』

学校が終わり真っ先に帰る僕の後を追って、ランドセルを背負ったままの君が2階の僕の部屋めがけて叫ぶ声が聞こえる。

「なんで?」

『上手くなるため!』

君のバレーボールの腕が上達したって僕に何のメリットも無いのに、あの頃は言われるがまま練習に付き合った。

そんな僕らも近所の公立中学校に進学した。
楽しそうにボールを追う君につられて僕もバレー部に入部した。同級生達はど

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『願い』

『願い』

今もふと思い出す
長いようで一瞬だったあの夏の日を

君はもう生まれ変わったのかな
また会いに来てくれないかな
そんなことを願っていても変わらず花火は上がる

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遙香が僕の前から消えて、ちょうど1年。
お別れは呆気なかったのを覚えている。あの日は友達と花火大会に行くと家族に嘘をついて、浴衣を着ていたらしい。彼氏と行くなんて恥ずかしくて言えないって照れながら言ってた横顔が鮮明に

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『大人になれる日まで』

『大人になれる日まで』

火をつけた。

たった2ミリのタールを含んだ煙草を強く吸い込み、吐き出す。
煙の向こうに花火が上がり、遅れた音が打ち上がった事実を知らせる。綺麗な緑色の花火が上がる。こんな幻想的な空も炎色反応で作られていると思うと、ちゃんと勉強しとけば良かったと後悔した。そうすれば、あの日、君と花火を見た時に少しでも話すネタがあったのかもしれない。
煙草が尽きるまでの約4分間。あの蒸し暑かった過去を振り返る時間に

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『how you feel?』

『how you feel?』

『ねぇ、今日、花火大会らしいよ』

「あー、らしいね」

『らしいねって興味なさそう』

「まぁないに等しい」

服を着だした君の姿を私はまだベッドの中から眺める
時計の針が19時を回ろうとしているのに君の頭には寝癖がついていて、可愛いなって思ったけど私にもついてそう。

「コンビニ行くけど、一緒に行く?」

『行く、ちょっと待って』

床に脱ぎ捨てた服を手に取り、下着から順番に身にまとい、去年よ

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『動け、夏』

『動け、夏』

水滴がついたコーラが冷たさを失っていくのを横目に、僕はベッドに寝転びながら3周目の漫画を読んでいた

主人公とライバルの一騎打ち

ここから盛り上がるって所で部屋に入って来た母親によってページを捲る手を止められる

母親曰く、部屋でゴロゴロしてるだけなら親戚の手伝いに行ってこいのこと
不満を最大限に顔に出したけど、お構いなし
なかば無理矢理家から追い出された

アスファルトの熱は世界を揺らし、

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『眩しい瞬間』

『眩しい瞬間』

座っているだけでもじんわり汗が滲む

空はまだ薄っすらと明るい
日没まであと数分

トランペットをベンチに置いてバスを待っていると声をかけられた

『よっ。それ、どけて』

声をかけて来たのは同じクラスの森田ひかる
トランペットを移動させると森田は『よっこいしょ』と言いながら隣に座った

『部活どうだった?』

「今日は人が少なかったかな」

僕たちの高校は弱小なのもあって部活は基本的に緩い。

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『まさか、偶然…』

『まさか、偶然…』

人が行き交う交差点の隅でギターを弾く。
信号待ちの間にこちらを横目で見て、立ち止まってくれると思えば、青になった瞬間に記憶が消えたように歩き出す。

「最後の曲は、僕の大切な曲になります。」

世の中のどこにもコードや歌詞は知られていない。オリジナルと呼ぶには僕のアイデアは半分くらい。
深く肺に酸素を送って、響かそう。

この世界のどこかに居る貴女へ届ける為に…

━━━━━━━━━━

『やっほ

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