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M&Aを迷っている人に届けたい「覚悟」って何だろう|M&Aアドバイザーのつぶやき

こんにちは。かきもとみさです。私はM&Aアドバイザーの仕事をしています。

ある社長に本当にM&A始動に進むかどうかを考えてもらっているところなんですが、当初は「良い買手がいるのであれば、会社を譲っても良いよ」という感じでした。

私としては、この「良い買手がいるのであれば」というスタンスは、案件を始動するのは危険だなと感じています。今回はその理由を説明します。

①「良い買手がいれば」の「良い買手」の定義があいまい

「良い買手がいれば譲っても良い」というのは非常に言いやすく、よく聞く言葉です。

M&A業者から「会社を売りましょう!」と提案されているようなケースでは「私たちが良い買手を見つけますよ!」と営業をされると思うので、それでスタートしてしまうかもしれません。

ですが、「良い買手」の定義をしっかりと見極めておかないと、あとで大変なことになるのは明白です。

自分が何十年も手塩にかけた会社ですから、「だれでも良い」というわけではないはず。

候補が複数あったとしたら、「もっと良い買手がいるかも」と思ってどんどん相手に求める要件レベルが高くなっていきます。

これを回避するためには、むしろ「最低限、ゆずれない大事な要件」を決めているべきです。

本気で結婚したい人が、相手を選ぶのと同じです。外見も良い、収入も良い、性格も良い、背が高い、全部をクリアする人なんかなかなかいませんよね。

最低限譲れないのが「外見」なのだとしたら、他は捨てるくらいの気持ちで臨んだ方が良いのと同じです。

自分にとって1番大事な要件が自分でもわからないというときは、試しにこの問いを自分に問いかけてみてほしいと思います。

これは恋愛における心理テストでよく聞かれるものです。

①相手に求める条件を3つ挙げるとしたら?
→例:背が高い、年収1000万以上、イケメン

②その3つが全部クリアしている人が同時に2人現れたら、あと1つどんな要件で決める?
→例:自分が自由に仕事をすることを応援してくれること

そしたら、この「自分が自由に仕事をすることを応援してくれること」があなたにとって1番の要件です。背が高い、年収1000万円、イケメンの3要件なんて、もう多分いった直後に忘れていますよ。

1つ、大事な要件を持っておくということから、思考の棚卸をしておくと良いと思います。

M&Aの継承先に求める要件も、この最後の1要件が何なのかを自分の中で確実にしておいて、この要件さえクリアしていれば良い、くらいの気持ちで臨むと良いと思います。

②「譲っても良い」し、譲らなくても良い

次に、この「譲っても良い」というのが心理的に中途半端です。譲りたいのか、譲りたくないのか。どっちなのか。

この言葉の中には、「『どうしても譲ってくれ』という会社があるのなら、考えてあげても良い」というニュアンスが含まれていると思います。

逆に言えば「『どうしても』という感じじゃないなら、譲りたくない」という気持ちも含まれています。

これでは相手に『どうしても』という態度をとってもらわないと話が進みません。

譲渡するかどうかについての意思決定を、相手の気持ちの確度の大きさに左右されるようでは非常にやっかいです。

大事なのは、本人が本当に会社を手放し、社長業をおりたいのかどうかですよね。「継承先を見つけたい」というのは副次欲求のはずです。

一次欲求は、自分の人生をどうしたいのかです。このまま社長を続けるのか、続けないのか。「続けない」の選択の中に、社内や親族へ継承するのか、廃業するのか、第三者にバトンパスしたいのかが次のトピックとして続くんです。

本人が覚悟を決めて本当に「社長をやめたい、そして会社を第三者に譲りたい」と考えてもらわない限りは絶対にうまくいきません。

仮にアドバイザーが見るには良い相手だったのにも関わらずお断りしたいとなったときに、本当の理由は「まだ社長を辞めて会社を手放す覚悟が決まらない」というものだったのに、「相手の気持ちが伝わってこなかったから」とか「そこまで熱意を感じなかったから」と他社に言い訳をなすりつけることが簡単にできてしまいます。

③社長が会社を手放す覚悟が決まっていない

これまで書いてきたように、要するに、社長が会社を手放す覚悟が決まっていない状態でM&Aに始動しても良いことないですよ、ということでした。

そもそも「覚悟」とは何でしょうか?

気になったので、調べてみました。

1 危険なこと、不利なこと、困難なことを予想して、それを受けとめる心構えをすること。「苦労は覚悟のうえだ」「断られるのは覚悟している」
2 仏語。迷いを脱し、真理を悟ること。
3 きたるべきつらい事態を避けられないものとして、あきらめること。観念すること。「もうこれまでだ、と覚悟する」
4 覚えること。記憶すること。「時にあたりて本歌を―す」〈徒然・二三八〉
5 知ること。存知。

デジタル大辞泉//コトバンク

改めて日本語を調べてみると面白いですね。「覚悟」とは仏教がルーツのようですよ。「迷いを脱し、心理を悟こと」良い表現ですね。

ネガティブな事象を受け止めること、辛い自体を避けられないことというイメージもありますね。

確かに、M&Aは心理的にはつかれるし、もしかしたら傷つくことも考えられます。膨大な資料を精査して出さないといけないし、買手候補の指摘に辟易とするかもしれないし、ボロボロの財務諸表をみられて胸をえぐられるような質問を矢のように浴びせられ、「お前の経営手腕はダメダメだな」と指摘されている気分になったりするかもしれません。

でも、痛み無くして良い未来は描けないのではないでしょうか。大きなステップを乗り越えるためにはエネルギーは必要です。

迷いを脱し、心理を悟ること。本当に第三者承継が必要なのだとしたら、覚悟を決めてほしいと思います。

覚悟さえきめてくれれば、私のようにアドバイザーは全力でサポートできます。一緒に、本気で真剣に取り組みましょう!と気合を入れて伝えられます。

覚悟が決まらないうちに動き出して「やっぱりやめた」となりそうなのであれば、その手間で覚悟が決まるまで私は待ちます。

だけど、本気で覚悟を決めて相手探しをして、それでも最終的に「M&A断念」となったら、それはそれで仕方ないことです。アドバイザーのこちらにも、そういう結果になる覚悟はありますよ。

書いていたら熱くなってしまいました。今日はこの辺にしておきたいと思います。


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