希望と期待、そして願いを具現化した服
SOLITの服は、ただの衣服ではなく、ホスピタリティである。
こう言ってくれる、お医者さんがいた。
日本ホスピタリティ推進協会によると、ホスピタリティとは接客の場だけでなく、人と人、人とモノ、人と社会、人と自然などの関わりにおいて、両者の間に「相互満足」があってこそ成立する関係性であるという。
私たちは、相互満足が叶う服になりえているだろうか。
構想から14ヶ月、ついにリリースする
いかにして、サイズや形や、既存の価値観、産業構造の画一的な「ファッション」が、私たちの多様な体型や特徴を受け入れ、服をただ楽しみたいとそう想う者のもとでその力を発揮するのだろうかーー
この問いを胸に抱いて、私たちは昨年の3月にアイデアを出し、同年9月に法人化し、この2021年5月20日に構想が具現化されたこのブランド「SOLIT」を一般リリースをすることになりました。ついに...
これまでの服やサービスに関しての思いや経緯は、この2つのnoteに乱暴ではあるけれど、思いを込めて書いているので、一緒に見てもらえたら嬉しいです👇
200人以上の声から生まれた、インクルーシブファッションのブランド「SOLIT」
私たちは、すでにたくさんこの世界に生まれ出て、そして一度も袖を通されない服や物がたくさんあることを知りながら、それでもなお新たに生み出す意味・意義と、自分たちが納得できるしくみとして、こうすることを決めています。
必要な人に、必要なものを、必要な分だけ
これまでリハビリテーション病院やリハビリ専門のジムに通われている身体に障害のある方や、普段衣服に関して課題を感じるという友人たち200人以上、そして理学療法士・作業療法士など複数のセラピストに話を聞くことで、下のようなことを口にする人に多く出会いました。
たくさんあるはずなのに、選べるものが少ない
大量に生産されているはずなのに、選択肢が少ない。私自身もこれを感じる1人です。そこで、私たちは必要以上につくらない、そして必要とされるものだけをつくる、必要とする人と一緒に開発するようにしています。
今回リリースするプロダクトは全て、話を聞くごとに改善を繰り返し、10回以上のプロトタイピングを経て、生まれたもの。
みんなの声がなければ存在しない、と言っても過言ではないものです。
(いつも相談にのってくれるまさきさんとわたし)
これは弱者のためのソリューションではない
まだ自分でも言語化しきれていないのですが、私たちはいわば開発手法としても「インクルーシブデザインプロダクト」であると言えます。
ただ、そのことからも、インクルーシブファッションであると枕詞に使っているのですが、時々"社会的弱者のためのもの"と勘違いされることがあります。
それは、絶対に違います。
インクルーシブデザイン(INCLUSIVE DESIGN)
発祥:イギリス(1990年代)
概要:これまでデザインの対象から排除されてきた人々を、企画・開発の初期段階から「巻き込んで」デザインを行うコミュニケーションフロー・デザイン手法であり、絶えず進化するデザイン手法で、一度できたものでも除外されているユーザーがいる限り改善を続けるデザイン概念。
対象:ユーザーとすべての人
起点:特定の問題や状況の改善を起点とする
発端:ケンブリッジ大学トリニティカレッジの研究フェローで社会的歴史学者のピーター・ラスレットと、当時イギリス・ロンドンにあるロイヤル・カレッジ・オブ・アートの学長であったロジャー・コールマンによって初めて明らかにされ、高齢化問題に直接向けられた運動からはじまった。
SOLITの服は、社会的弱者のためのソリューションではありません。
もちろん課題を感じる当事者が「着る」ことは多いけれど、障害の有無やセクシュアリティなど関係なく、だれでも着ることができる、着やすいデザインにして、服が人を選ぶということをしていません。
あくまで、一人一人、それぞれが自分らしくあれるように、自分の体型や好みや特徴に合わせてひとりひとりが自主的に選択ができるようにしています。そこに障害の有無やセクシュアリティなどは関係ありません。
そして、これは、着る本人だけでなく、その家族やパートナー、担当のセラピストやサポーター、その周辺の社会全体のためでもあります。
(わたしも普段着ています!)
どこか着ることを諦めてしまっていた人にとっての希望や願いであったり、セラピストや家族が、着れるものを優先してしまっていたなという心残りをひもとくきっかけであったり、これからのファッション業界や社会が、多様な存在を受け入れる可能性への期待であったり。
そんないろんな、希望と期待、そして願いを具現化した服、なのだとおもいます。
だれも、どれも取り残さない、そんな世界に向けた第一歩としてのこのSOLITの服は、ただの服にあらず。思想であり、哲学であり、価値観であり、ホスピタリティでありたいです。
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