マガジンのカバー画像

詩まとめ

26
気まぐれに書いた詩をまとめています。 よかったら覗いてみてください!
運営しているクリエイター

#クリエイターフェス

詩 『入道雲のその先に』

詩 『入道雲のその先に』

誰よりも正しいことが言いたくて

誰かのよそ見を遮った

誰かの笑顔を引っ掻いた

誰よりも現実を知っているから

誰よりも笑いたい

言いくるめられたあの一瞬に

少しきつい一重と三白眼

上部だけの付き合いとあの和やかな空気に

誰もが圧倒されている

辛いことは何もなくて

辛いことだけが襲いかかっている人を見て

そっと笑った

正しさより寄り添うこと

頑張れより頑張った

大丈夫?より

もっとみる
詩 『檻の中で』

詩 『檻の中で』

右を向けば右を向く
左を向けば左を向く

車のライトがカーテンを辿る
桜吹雪のようにささやかに

いつか
右を向けば左を向く
ならば
左を向けば右を向く

もうどうやっても切り離せないこともある
ただバカにしたような笑い方しかできないときもある

そんな全てに微笑みを

そんな全てに矛先を

誰にも見せない顔がある
誰かにだけ見せる顔がある
誰にも見せない顔がある
誰かに見てほしい顔がある
誰かに

もっとみる
詩 『終わり』

詩 『終わり』

夜の闇に飲み込まれそうな小さな自分

光の闇も飲み込んでしまう夜の闇は

夕闇とは違う

希望のない色をしている

夜になると心の闇が私を迎えに来る

自分のわずかな光も飲み込んでいく

まだまだ続く長い命の光に 

終止符を打たせようと

勢い余って飛び込んでくる

圧倒されてしまう私の劣等感と

そこから飛び出してしまいたい衝動にかられて

もういっそのこと自分から夜の闇に

飛び込んでしまお

もっとみる
詩 『背のび』

詩 『背のび』

むさ苦しい夏も
凍えるほどの寒さも
誰かの手が触れたときに
ふと心通うのだろう

心の旅も
誰かの悲しい声も
ふと手を重なり合わせれば
そんな気がしている

たとえ
この世界に一人だとしても

たとえ
桜吹雪で消えてしまっても

たとえ
大雪の日に冷えてしまっても

誰かの手がどこかで触れ合うだろう

夢の中で誰かを殺したとしても

今生きる世界で誰かを傷つけたとしても

それがあなたの幸せと巡り

もっとみる
詩 『オクターブと半音』

詩 『オクターブと半音』

助け合うようです
嫌いなようです
少しよりかかると彼は耳たぶを触る
どうしたってね

いじめ合うようです
嫌い合うようです
わざといらない言葉を吐き続けて
仲良く怒鳴りあうようです
そうして
少し布団をかぶるのです

不協和音の中で
二人は生き続けるのです
転調された時に
ため息を吹きかけられて
乱暴に

どうやら彼は理不尽に怒られているようです
どうやら私はそんな世界に怒っているようです
もっと

もっとみる
詩 『決意の夜』

詩 『決意の夜』

夜明けに包帯を取れば傷口がうっすらと
痛々しく熟れている
可哀想だと
同情なんかされてたまるかと

何もわからない、同じ傷口をつけたとしても
何もわからない
細く、薄い、赤黒い線が
月夜にうっすらと光る
それでも、夢を、
その傷口に夢を見る

また始まる朝
包帯をきつく巻いて
気合いの印
テープを巻けば私は私じゃなくなる
それでも同じことの繰り返しだと知っている
覚悟を決めたのに
その覚悟が揺るが

もっとみる