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詩 『檻の中で』

右を向けば右を向く
左を向けば左を向く

車のライトがカーテンを辿る
桜吹雪のようにささやかに

いつか
右を向けば左を向く
ならば
左を向けば右を向く

もうどうやっても切り離せないこともある
ただバカにしたような笑い方しかできないときもある

そんな全てに微笑みを

そんな全てに矛先を

誰にも見せない顔がある
誰かにだけ見せる顔がある
誰にも見せない顔がある
誰かに見てほしい顔がある
誰かに気づいてほしい顔がある

真実はどこにもないけれど
今だからできることがある
今の悩みがいつからか
青春だと呼べる日が来ると

適齢期だと話すのは同じ目線で
私は将来を案じている
本当の事は話せなくて
ただひたすらに
案じている

強がりの言葉しか見えなくていい
いつかこの隙に気づいてくれる人と
好きになれればそれでいい
丸が並ぶこの世界に目がくらむ
タグの付けられたこの世界に縛られる

どこか理不尽な私の檻は
どこか諦めて進む為の場所
どこか期待の膨らむこの檻では
何もないけれど香水をつける

挫折と転機と勇気と平和を
全て奪われたこのポジション


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