ひかった

編集のお仕事から書く人に。 のんびり生きて、気が向いたときだけ好きなことを綴ります 新…

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編集のお仕事から書く人に。 のんびり生きて、気が向いたときだけ好きなことを綴ります 新しい場所に出かけること、言葉で遊ぶことが日々の癒し noteは旅するように使います

マガジン

  • アタマの中の色をつないでみました

    ささやかな幸せ、きゅうと胸につまる瞬間を詩・エッセイ・写真に乗せて

  • 休日にカフェ難民になっているあなたへ

    カフェへの思いをいろんな角度から

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【母性を尊重する社会に】私たちにはいろんな形の海がある 〈キャリアと健康〉#自分で選んでよかったこと

「社会人なんだから、体調管理も仕事のうちだ」 お腹に手を当て、顔色が悪い20代女性新入社員に対して、上司はこう言い放った。その日予定より早く月経が来た彼女は、急に休むこともできず、休憩しながら仕事をしていた。その男性上司は「大丈夫?」と、とりあえずの気遣いを見せたあと、彼女に一時間説教をした。 彼女は何も言い返さなかった。説明したくてもすぐに言葉にできないことが多すぎて涙が出た。その日は彼女の誕生日だった。 その頃、彼女の月経には多少問題があった。黄体期には頭が重いし、

    • 私が一人京都を歩く理由【休日にカフェ難民になっているあなたへ】

      あんなに大好きだった京都も 大好きな人が近くにいないとただ寒いだけ 不必要に早足で歩き、東に帰ってしまおうかと思ったけれど 吸い寄せられるように一軒の古民家カフェに入った 「前にも来はりました?」 私がよく聞かれる言葉。初対面なはずなのに、そう言う人は皆、どこかで私と会ったことがある気がするらしい。前世でお友だちだったことにしよう。 カフェの本棚には、私のお気に入りの絵本が置いてある。 もう間違いなくよい店である。 ホットゆずを飲んでいたはずが、途中から店主さんおすす

      • 【おうち時間を工夫で楽しく】 都会の部屋を『海辺のカフェ』に変える方法

        「家だと仕事が捗らない、勉強が手につかない」 何度この言葉を見聞きしたことだろう。 私も先月までその一人だった。家は集中できない場所だと決め込んで、カフェに行こうとするもカフェ選びに時間を取られ、着いたカフェは満席、やっと座れたと思ったら隣がうるさくて集中できず、なんか疲れたなあを繰り返す。 コワーキングスペースを使えばいいじゃないかって?いやいや、周りがみんな仕事モードだと私の天邪鬼さまが集中させてくれないのよ…。嗚呼、なんてワガママなのかしら。 なんとか居心地の良い

        • 心に浮かぶ景色のフシギ

          夢と現実のはざま。日曜の朝、起きたての頭に浮かんだのは吉祥寺の景色。 昨日調べていたわけでもないし、何かの話題に上がったわけでもない。脈絡もなく現れた吉祥寺駅と井の頭公園。 これは、来いということなのかしら。でも今日は家でのんびりしたいしなあ、なんて考えているうちに井の頭公園は消えてった。 そういえば先週は、ふいに神楽坂駅前の風景が浮かんだ。友人にその話をしたら、私が神楽坂の風景を見た日にその子は神楽坂にいたという。なんて不思議なことかしら。 その子とは、昔住んでいた街

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        【母性を尊重する社会に】私たちにはいろんな形の海がある 〈キャリアと健康〉#自分で選んでよかったこと

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        • アタマの中の色をつないでみました
          11本
        • 休日にカフェ難民になっているあなたへ
          4本

        記事

          27歳、子どもを持つ不安を分解する

          子どもの頃の私は、「23歳で親になる」と思っていた。 だが20代後半になった今、「子どもがいる人生は幸せなのだろうか」「私なんかに人間を育てられるのか」「そもそもこんな世の中に産み落としてよいものか」なんて考えることが多くなった。 子どもが欲しいという気持ちが変化していった背景にはいろいろある。だが、理由にあえて名前を付けるなら、それは漠然とした不安だ。 12月8日の日本経済新聞社の社説は少子化対策がテーマで、そのなかに「水をまくだけでなく、根を阻む岩盤をなくすことが不

          27歳、子どもを持つ不安を分解する

          【眠れない夜に】手帳を開こう。描いた言葉は毎日の足跡

          三年前の手帳を開くと、父がいなくなったという知らせを聞いたちょうど一週間後に、こんな言葉が書かれていた。 二十歳になって、18年ぶりに私は父の存在を確認した。再会したのはその2年後、22歳のとき。それから間も無く、父は病であの世へ行ってしまった。父と顔を合わせた記憶は1日分だけ。それでも、私は父の死を全身で感じていた。 当時のスケジュール帳を見たら、22日、23日、24日、それぞれの日付のところに小さく「夜 泣」、「1日元気、泣いてない」、「泣いた」とメモしてあった。自分

          【眠れない夜に】手帳を開こう。描いた言葉は毎日の足跡

          【おうちカフェの幸せ】脳を溶かして言葉を作るレシピ

          22時のホットココア。 カルダモン、クローブ、シナモンをくつくつ煮込む。ほんのり香るスパイス湯に、とくとくとミルクを注ぎ、賞味期限切れのビターなココアと食べかけの板チョコを溶かし込む。ふわふわふわと融合。 ふたつ並べたマグカップに、ととととと、ココアが入っていく。目の前の液体と私以外、この世のすべてが止まっているかのよう。Jazzの音も止まる。 あなたの喜んでいる顔をちょっとだけ長く眺められるかしら。1cm水面を高くしておくわね。 私もたくさん飲みたいから、1cmだけね。

          【おうちカフェの幸せ】脳を溶かして言葉を作るレシピ

          【眠れない夜に】CDの最後の曲が終わったときに思うこと

          「…ジジ」という音の後の静寂を覚えているだろうか? 私は高校生くらいまでCDで音楽を聴いていた世代だ。カセットテープやMDもギリギリ触ったことがある。 YouTubeやSpotifyで音楽を無限に聞けるようになってからというもの、CDアルバムを再生することはなくなった。 CDアルバムだと、ランダム再生しない限り、製作者が並べた順に聞くことになる。その順番にも大抵は意図があるから、私は大人しく上から順に聞くようにしていて、曲順まで覚えていることが多かった。 曲順を覚えて

          【眠れない夜に】CDの最後の曲が終わったときに思うこと

          東京でみつけたもの、みつけられたもの

          気づけば、わたしはこの庭を3周していた。 ひとまわり5分もかからない小さな日本庭園。 「私はこれくらいのお庭が好きよ」と60代くらいの小柄な女性が管理人さんと話している。なんて素敵な声と話し方かしら。綺麗な英語で若い観光客とも朗らかに会話している。現代に仙女がいたらあんな感じでなかろうか。 池には二羽のカモ。「あれは親子だと私は思うの。模様が似ているでしょう。ほら、お母さんがリードしているの。」 とても自然に語りかけてくださったのに、気の利いた返しもできず、「あ、そうな

          東京でみつけたもの、みつけられたもの

          【眠れない夜に】あなたの人生の最優先事項はなんですか?

          すべてを大事にするには人生は短すぎる。 迷いが生まれたとき、進路に迷っていた頃の自分が書いた言葉が胸に響いた。 あなたの最優先事項は何ですか? 私の人生の最優先事項は、愛する人と一緒に幸せをたくさん見つけて、 心に温かい光を保ち続けること。 それができていない状態で、よくわからない何かを勝ち取るために努力したいなんて思うなかれ。 知識をかき集めたところで、 その知識を使う心が荒れてたら何の意味もない。 新しい年を穏やかに生きるための自分への伝言をここに。 いざと

          【眠れない夜に】あなたの人生の最優先事項はなんですか?

          もみじの緑

          真っ赤な紅葉もいいけれど 大人になりきらない反抗期みたいな緑がいい せめて黄色になりなさいと世間は言う いいのいいの、わたしはわたしのタイミングで あなたはあなたのタイミングで いつまでも緑でいたっていいじゃない みんなが紅くなったとき わたしの色が光るから みんなが黄色くなったとき あなたの色が光るから そして となりの人を輝かせることができるから

          もみじの緑

          【休日にカフェ難民になっているあなたへ】心を満たすチェーン店での過ごし方

          「サンマルク」とは、フランス伝統菓子の名称だと初めて知った日。 お菓子の名がなぜそうなったのかは定かでないが、新約聖書「マルコによる福音書」で知られているSaint-Marc (聖マルク)から来ているのだとか。レシピもみっけた。 新しいことを知るのは何ごとにも変えがたい喜び。些細なきっかけで湧き上がった知識欲は、心が納得するまで収まらない。人間に生まれたことに感謝したくなる貴重な瞬間だ。 名前の由来を知りたいと思えたのは、今日のカフェの環境が珍しく自分に合っていたからだ

          【休日にカフェ難民になっているあなたへ】心を満たすチェーン店での過ごし方

          赤ちゃん

          赤ちゃんの写真を撮るのがこんなに楽しくて幸せで刺激的だとは 彼女の細胞は猛スピードで分裂を繰り返し、その心は新しい神の如くこの世界を吸収して、目を見張る速さで成長していくのだろう そんな彼女のかけがえのない一瞬を切り取る瞬間、胸は熱く、心は沸き立つ どの角度からみても愛おしい。あの笑顔がいくつかの宇宙を吹き飛ばしているのは間違いない #子どもに教えられたこと

          赤ちゃん

          いるかの海

          「あなたの子どもの頃からの夢はなんですか?」 憧れていたこと、いつかやってみたいと思っていたこと、誰にでもきっと、心躍る「何か」があると思います。 子どもの頃の私は、「生まれ変わったらイルカになりたい!」と公言するくらいのイルカ好き。野生のイルカと泳ぐことをずっと夢見ていました。しかし気づけば、20代後半の疲れた社会人。幼き日の夢は、深い記憶の海に沈んでいました。 国内旅行を計画した今年のゴールデンウィーク、たまたま訪れた能登半島で、七尾湾という静かな海に、イルカの家族

          いるかの海

          【休日にカフェ難民になっているあなたへ】東京のカフェ探しに疲れた私が見つけた安らぎの場所

          都心に住んでいると、「休む」のは難しい。 田舎に帰ってSNSを開いたとき、その画面にはまだ、23区内のカフェ情報がこれでもかと表示されていた。レコメンデーションのアルゴリズムは、私の位置情報の変化を反映できていないらしい。 私は東京に越してきてから、カフェ探しを日課にしていた。 チェーン店よりも、お洒落で居心地がよく、店主のこだわりが詰まった場所がいい。季節の花が飾られていて、緑を感じられるテラス席なんかがあるカフェはポイントが高い。猫がいる喫茶店も好きだ。行く場所を決

          【休日にカフェ難民になっているあなたへ】東京のカフェ探しに疲れた私が見つけた安らぎの場所

          イルカはサメにもマグロにもならなくていいのです【私にとってはたらくとは】

          ベランダに寝転んで夜の空を見上げている。スマホから離れるだけでこんなに自由を感じられるのか。目を閉じれば砂漠にも海にも行ける。 キャンドルに火を灯して、風の動きを観察する。一瞬、風が強くなって火が消えた。気づいたら、黒い空に白い雲が漂っていて、まあまあなスピードで流れている。大海原を泳ぐ魚にも見える。 最近、息をするのが苦しいときがある。仕事が合っていないことはわかっているのに、一歩が踏み出せない。まるで海水魚が淡水の中にいるみたい。 「このままじゃ溺れちゃう…」 大

          イルカはサメにもマグロにもならなくていいのです【私にとってはたらくとは】