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趣味仙           

                              未来不 「あやめさん」 「はい」 「ひとつお願いがあります」 「なんでしょう」ちょっとドキドキする。 「百年先、あるいは千年先になるかわかりませんが、もしも来世でお目もじ叶いましたらそのときは……カケオチしていただけますか?」  よかったぁ、今ここで〈接吻申請〉とかじゃなくて。 「いいですよ」ホッとしたはずみで応じてしまった。 「ありがとう。これで思い残すことはありません」 「でも二人して同性になっちゃうかもしれま

    • 祇誣村(ぎぶそん)

                                未来不 アイドリング  困ったなぁ。月末が〆切だってのに書きたいことが何も ない。それもこれも学会に提出する症例報告書作成なんて いう色気もへったくれも無い作業を強いられた後遺症なん だろう。おそらく国内の医師にとって1%にも満たない知 名度の日本呪医学会の専門医資格なのに、妙にいきった老 害理事たちの意向で五年に一度「ちゃんとした症例報告書」 を添えて更新申請せねばならんのだ。ちゃんとした、つう てもとどのつまりは「法力

      • 粗忽天狗

         地元の仙道研究会の会長である伯父から、面白いものを見せ てやるので夕方に来るよう連絡があった。道場として借りてい る廃小学校の校庭に来てみると、ひとりの男性が地表1メート ルほどの高さを、うつ伏せのままジョギングくらいの速度で滑 空・周回していた。白い蓬髪が夕風に乱され、さながら空中土 左衛門といった様態である。           *  ピクッとして目が覚めると、そこは自宅ベッドの中だった。  そうか、昨夜は小説を書きはじめたのだが、眠気ざましにと アイリッシュコーヒーを

        • ファインダーぶるうす

           仕事の関係で夜しか使わないんだけどって言ったら最近のデ ジタルカメラは高感度に強いので真闇じゃなければきれいに写 りますよ、つうてカメラ屋の兄ちゃんがしきりに薦めるもんだ からつい一眼レフなんてものを買ってしまった。さらには夜撮 りなら明るいレンズがいいでしょてんで50mm・f0.8とかいう やつを付けて寄越した。けっこうな出銭だったのでちょっくら 気持ちがサワサワした。  それでも新しい玩具を手に入れるとやっぱり嬉しいもので、 どこにも寄らずとっぷり暮れた家路をたどる。

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          AI短歌実験データ(随時更新中)

          チャットGPTを用いて作成された短歌とそれをAIが解説した結果を記載する試み。 【丑三つに水饅頭が福笑う王蟲の腹のトグルスイッチ】  この短歌は、非常に独特で幻想的なイメージを持っています。 「丑三つに」は、夜中の時間帯を指し、静けさや神秘的な雰囲気を醸し出します。「水饅頭が福笑う」は、水饅頭という和菓子が微笑んでいる様子を描写しており、可愛らしさや温かさを感じさせます。 「王蟲の腹のトグルスイッチ」は、宮崎駿のアニメ『風の谷のナウシカ』に登場する生物「王蟲」と関連しており

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          腐助詞

           短詩型(←まったく変換されないGoogle日本語ってのもねえ)は苦手で、いちど俳句にトライしたことがあるが季語しばりにムカついて駄目だった。いちおう下出に出てネットのサークルみたいなとこに入ってみたが、例によって「俳句になってない」攻撃を受け即時撤退。写真系のサークルなんかでも「こんなの写真じゃない」なんてことを宣うてる素人(プロはそんなことはまず言わない)がうじゃうじゃいるが、こちら方面も同じ図式らしい。  定型でも短歌のほうが季語のしばりがないぶん、自分ごとむき出しでも

          言葉の間合

           4月30日。武田花さんが亡くなってしまった。定期購読している雑誌〈テクネ〉の表紙写真と見開き2頁のエッセイ(キャプション?)風のテキストが面白くて楽しみにしていた。  花さんの写真はどれも淡々としていてドラマチックとは無縁なぶん、見飽きることがない。被写体との距離が独特で遠くも近くもなく、ボケも入れないからちょっとベッヒャーみたいだ。  それは彼女の文章もそうで、作者の当事者感が微妙に軽め?な設定にしてあるぶん、読む側はさながら覗きからくりを俯瞰しているような気分になる。で

          言葉の間合

          竜がとつぜん(2)

          『窓の外に竜がいる!!』  懸命に訴えたけれど、同乗の両親をはじめ誰もとりあってくれなかった。皆から相手にされずじたばたするぼくをじっと見ていた竜がとつぜん、指を口に当てて「しぃーっ」の合図をしてきた。そして緊張でこわばりながらもなんとか頷いたぼくにニイッと笑いかけるや身をひるがえし、金色の蛇腹をくねらせつつ富士山方向へ飛び去ってしまった。        これが当時9歳のぼくが伊豆半島上空の大阪行旅客機内で遭遇した出来事だ。その後何事もなく到着した機体の横腹に巨大な梵字のよ

          竜がとつぜん(2)

          竜がとつぜん(1)

           土日の峠の駐車場ときたら車好きの人たちで満杯だ。いわゆる〈走り屋さん〉も多く、そこまでの山道をハイペースで走る車も多い。こちらもそんなに遅くはないと思うが、30年前の老機体で現代のハイパフォーマンス車に張り合っても無意味なので、後ろに付かれたらさっさと4灯焚いて譲るようにしている。要は他の車輌と一緒に走るのが苦手というか、気兼ねなく自分のペースで走りたいだけなのだ。ならばサーキットへ行きゃいいという向きもあるが、コストの問題に加え、あれはあれでたくさんの人達と接触しなくては

          竜がとつぜん(1)

          素人の特権

           落語に出てくる若旦那の鍼とかそういう手業についてよく言われるのが、 〈好きこそものの上手なれ〉 〈下手の横好き〉  職業適性としては逆なんだが、その種目を「好き」という点は共通してる。ただし、ここでいう適性有無=上手か否か、であるがその程度については不明だ。万人が認める(をどこで誰が判定するのかが悩ましいが)名人上手なら文句なしの有適性だろうが、ではその他大勢はペケかというと、そうではない。そうなるとその職種自体が成り立たなくなるからだ。それで多くの職種で技能のランクが設

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          人生はコマ劇場

          今朝はちょいと急いでたこともあって、ズボンを前後ろ逆に穿いてしまった。つまりジッパー部分が尻のほうに来とるから、さすがに不便でそのまま出かけるわけにはまいらぬ。しかし出立時間がせまっておったので手早くすませようと思い、下ろしたズボンから左足だけを抜いてベルト部分を両手で持ち、全体をぐるりと回して穿き直したのだが、あら不思議。逆さのまんまなのである。 しからばと、こんどは右足をコンパスの針に見立てて身体のほうを一回転させてみたが、やはり結果は同じ。加齢とはかくも哀しいものである

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          後につくのは簡単さ

          金曜夕方のスーパーのレジ。精算待ちの長い行列に加わるかしばし迷う。今日はお気に入りのチョコソース入りアイスクリームのバーゲンセールだが、待っているあいだに溶けてしまわぬか心配のあまり、支払い作業にもたついている連中に向けて殺意を募らせたりするは仏門の身にあるまじき所業である。そもそも民はなぜバーゲンに並ぶのかといえば、値下げ分のお得感を味わうためであるが、それと引き換えに心の安寧を失っては本末顛倒赤字決済というものだ。地元の先輩、ライトニン・サム・ホプキンスも言っている――Easy on your Heel ――と。

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          古い空間

          地方小都市の旧市街で時が停止したような景色に出くわすことがある。とはいえそこの人やモノが、たとえば30年前から今とおなじ外観だったわけではない。通りすがりのよそ者が見られるのは昔の姿かたちではなくて現在進行形の何かだけだ。クソ暑いなかせっかく来たんだからと昭和乞食化するつもりはなけれども、やはりどこを切り撮ってもそれっぽくなる。けっして嘘つきカメラのせいではない。

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          白髪染めではなく

          粉吹エリアをマイクロファイバークロスで磨いて艶出し。これでなのさんぽくなったわいな。こういう作業をする際には、「最後のひと圧しをこらえる」ことが肝要で、ベースが粘着気質な自分のばあい、往々にして念を入れすぎて墓穴を掘ることがしばしばあった。とくにプラスチック製のネジなどを締め付けて固定する際など、不安にかられて最後のひと締めをくらわしたあげくネジ山をナメてしまい、たわけたように空回りしはじめた感触に呆然とするなどなど。

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          ひとり増えた

          この夜、ブコウスキー本を発注したのは長生きを狙ったわけではない。

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          手当ノ事

          労宮を介してREIKOに疑似隠居士真言呪を注力。こちらもパワーダウン気味なので十分ではないが、その分副反応の心配はないのでよしとしよう。

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