20字小説②#小牧幸助文学賞
『再生の足音』
家族が蒸発した。玄関に新しい芽が生えた。
『思春期』
空っぽの弁当箱を返す。背中にありがとう。
『あかい爆弾魔』
柘榴が爆発した。真犯人がニュースを嗤う。
『闇夜のなみだ』
三日月が泣いた。檸檬が共鳴して、咳払い。
『寒空のシュプレヒコール』
振り上げた拳。唇噛んで、無情な風が吹く。
『雨のち晴れ』
パステルの雨上がり。虹の架け橋が歌う空。
『異国の孤軍奮闘』
曇り硝子にアルファベット。明日への伝言。
『夜泣き』
空耳は吾子の泣き声。昼下がりのひと休み。
『終業の合図』
午後五時の鐘の音。喉が乾杯を待ち侘びて。
『お口の冬休み』
炬燵でアイスクリーム。冬の食後の楽しみ。
photo:見出し画像(みんなのフォトギャラリーより、mieさん)
photo2:unsplash
design:未来の味蕾
word:未来の味蕾
サポートを頂けたら、創作、表現活動などの活動資金にしたいです。いつか詩集も出せたらいいなと思います。ありがとうございます!頑張ります!