のんびり鎌倉紀行 6番『瑞泉寺』
お待たせしました!
空ちゃんとみらっちの久しぶりの鎌倉めぐりです。
今回も空ちゃんの素敵な写真多めでお送りいたします。
2月某日。
本日は6番『瑞泉寺』。
鎌倉めぐりの本に、「冬にめぐりたいお寺」がいくつか紹介されていたのですが、その中でまだ行っていなかったのが『瑞泉寺』でした。
瑞泉寺を開いたのは夢窓国師(夢窓疎石)。
『瑞泉寺』のHPには夢窓疎石についてこう紹介されています。
名だたるお寺で住職を歴任とは、すごい高僧です。
宇多天皇の血を引いているという話もあり、なにしろ当時最先端の作庭家。一世を風靡したセレブ、といって間違いなさそうです。
さて、瑞泉寺があるのは、鎌倉では「二階堂」というエリアです。
昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』のうちのひとり、野仲イサオさんが演じた二階堂行政の本拠地です。
二階堂行政は大江広元と同じ文官として頼朝に仕えました(ドラマの中ではそれほど目立たずセリフも少なかったようです)。
しかし二階堂一族は、鎌倉時代、室町時代を通じて幕府の政治の中心にいた有力御家人の一族です。
『瑞泉寺』は、二階堂行政の子孫である二階堂道蘊が夢窓疎石を開山として創建した寺(瑞泉院)。足利基氏が中興して『瑞泉寺』と改め、以後、足利家の菩提寺になった、とされています。
当代随一の高僧を招いて自分とこの土地を提供し、寺を建てるのですから、その影響力や財力は推して知るべし。
夢窓国師さんも、各地で景勝地ばかりを選んでお寺を建てていたようなので、双方の思惑が一致したということだったのでしょうか。
二階堂氏は各地に散らばり、各地方で権勢を誇ったようです。
ちなみに二階堂氏に関しては、k_maru027さんがこちらのような記事をかいていらっしゃいます。
さて、そんなわけで鎌倉の二階堂。
現代の二階堂エリアは、閑静な住宅の合間に、ちょっとした古民家カフェとか、素敵で高級なお店がぽつーんぽつーんと出没する地域です。
いわゆる「隠れ家的おしゃれエリア」と言っていいところ。
本日、お天気は上々です。
からっと晴れた空に、もしかしたら咲いているだろう梅がよく映えるかも、と話していました。
八幡宮の先、奥まった地域にあるので、駅からは少し距離があります。
鎌倉宮までバスで行くのがいちばん。
前回もバスに乗って行ったはずだから、まあ行き方はわかるし、と少々油断していたふたり。
ひ―――!バス停が変わってました!
しかも、それに気づいてバス停を探し当てたとき(改札を出てすぐ目の前でした)にはすでに、20分に1本のバスが出発した直後。
次のバスに乗るしかありません。
この日は朝の電車も遅れ気味で、どうも最初から時間的にタイトになりそうな予感。
本当は『瑞泉寺』のほかにひとつでも多くのお寺を回れたら、と思っていましたが、この時点で早々に諦めました。
急ぐ旅でもなし、しかも今回のお参りは、やはりコロナの影響でスムーズに御朱印がもらえるとは限らないお参りです。
空「今回さ、本当に私たち、『結願』できるのかな」
み「確かに。でもこういうご時世だから、抜けてしまったお寺の事情さえ分かれば、最後のお寺で、結願印をくれるんじゃないかな」
お寺によっては、住職不在でお寺が閉まっていて、絶対に御朱印がいただけないとわかっているところもあります(寿福寺)。
バスに乗ってそんなことを話し合っているうちに、バスは出発。
鎌倉宮で降り、そこから10~15分ほど歩きです。
瑞泉寺
ひとりなら遠く感じる道のりですが、ふたりで話しながらだったので、結構あっという間につきました。思ったほど坂も階段もきつくないし。
ただし予想していた「梅」には出会えず。
『瑞泉寺』には、咲いていたら見事であろうと思われるこぢんまりした梅園があるのです。お寺の外にもありますし、境内にも。
空「早すぎたね。あと1週間後なら、もっと咲いてただろうね」
空ちゃん、残念そうに咲き始めた枝を写真に収めていました。
そしてもうひとつ、水仙も綺麗だという話だったのですが、こちらは花の季節が終わっていました。
空「うーん、どうやら冬は冬でも、微妙な時に来てしまったね・・・」
来るなら12月~1月の水仙の最盛期か、梅が咲いている冬の終わりの2月末~3月初めが良さそうです。
ふたりとも、「だからこそ空いていて歩きやすいし、お参りもゆっくりできるし、御朱印も余裕をもっていただける」と互いを慰めながらも、ちょっと恨めしい気持ちで梅の枝を眺めました。
お参りをして御朱印も無事いただき、夢窓国師の作ったお庭を眺めます。この庭は、夢窓国師53歳の時の作だそうです。
石庭も含め、境内の庭が自慢のお寺なので、庭師さん達が常に忙しく働いていらっしゃいます。
お庭のメインは、岩と石と池の庭園。
方丈庭園であり、山頂にある徧界一覧亭のお庭でもあります(一般公開はなし)。
この庭園は、鎌倉に残っている鎌倉時代の唯一の庭園だそうです。
ここは五山文学の聖地。
有名な鎌倉時代の文学者が集い、漢詩の腕に磨きをかけました。
五山文学について、守屋さんが記事を書いていらっしゃいます。
私は漢詩が読めないので五山文学を読んだことがありませんが、守屋さんによると豊かな自然を歌った歌が多いといいます。
徧界一覧亭に集ってこの庭を眺めながら大自然の想像をしたのかと思うと、当時の人々の想像力の豊かさ素晴らしさに驚くばかりです。
ちなみにこちらのご住職さんは、有名な歌人でもあるそうです。
雪の積もった瑞泉寺はワビサビの極致らしいですが、最近は鎌倉に雪、という情景はなかなか見られません。瑞泉寺の楽しみ方はいろいろありますので、冬だけとは言わず、色々な季節に訪れてみるのが良いと思います。
今回は、吉田松陰および銀魂の話はそこそこに、瑞泉寺を後にしました。
さて、この時点で、「梅」への気持ちが募ってしまったふたり。
もしかしたら、『荏柄天神社』なら、早咲きの梅に出会えるかも!
そう期待したふたりは、二階堂エリアを通って荏柄天神を目指すことにしました。ここの梅は早咲きらしいのです。やはり道真公ゆかりの寺は、梅が見所です。
ただし、ここまで歩いただけでも結構な距離。そして、梅は咲いているとは限りません。やはり時期的には少し早すぎるので、咲いていない確率の方が高い。
今日、お昼ご飯に目指していたのは駅の反対側、市役所方面にある『ゆりあぺむべる』と言うお店でした。
もしかしたら、二階堂付近で良さそうなお店があるかもしれないし……と思いましたが、いくつか良さげなところはあったものの、やはり調べていないと突撃しにくい店構えのお店が多く、結局、バス停のある鎌倉宮についてしまいました。
前回来たときは、時間の関係でお参りをしなかったこともあって、今回はお参りをしていくことに。
鎌倉宮(大塔宮)
この鎌倉宮は何とも言えない神社です。
お祀りされている護良親王は後醍醐天皇の皇子ですが、頭脳明晰・文武にすぐれ、若くして比叡山の天台座主となり、その後還俗して征夷大将軍になりました。
天皇の皇子である人物が、僧侶と武将になり、しかもそのトップになることは普通ありません。
父帝と父の寵姫、そしていずれは父を滅ぼす父の寵臣・足利尊氏によって陥れられ、鎌倉の地で非業の死を遂げるという波乱万丈な人生を送りました。相当ドラマティックな人生ですが、あまり取り上げられることはありませんね。
この鎌倉宮は比較的新しい神社です。
明治維新後に、護良親王を深く敬愛していた明治天皇がこの宮を建てたと伝わります。
広々としていて、綺麗なお宮です。
荏柄天神社
この時点で少々疲れてはいたので、鎌倉宮からバスに乗って駅まで行ってしまおうかという話にもなったのですが、『荏柄天神社』で早咲きの梅が咲いているならぜひ観たい、ということで、やはり徒歩を選択。
素敵カフェやおしゃれパン屋さんなどがありいちいち目を奪われつつ、荏柄天神社に到着しました。
受験期ですが中学・高校受験は終わっているので、大学生のお子さんとお母さんの参拝が目につきました。
梅を求めて三千里となった今回の鎌倉歩きですが、でもやはり、歩くのに退屈はしない鎌倉。
普通のおうちの軒先や庭先にも趣があり、飽きません。
今回は私も気分が高揚していたこともあり、翌日以降の筋肉痛や疲労をものともせず歩くことが出来ました(コニシさんありがとうございます)!
ゆりあぺむぺる
さて、ひたすらてくてく歩き、駅をこえ、ついに目指していた『ゆりあぺむぺる』に到着です。
私は実は卒論が宮沢賢治。
でも「ゆりあぺむぺる」と聞いてもピンと来ていませんでした。
ペンネンネンネンネン・ネネムとかならピンときたんですけどね。ユリアとペムペルだったら思い出したんですけどね(←言い訳)。
ユリアとペムペルは宮沢賢治の詩集『春と修羅』に出てくる架空の人物の名前なのですが、トイレの前に飾られた額装(賢治の原稿コピー)を見て、あっ……と思い出しました。
お店の方もとても親切で、ご縁があって譲り受けたこの原稿から、店名を名付けたのだと教えてくれました。
本店の吉祥寺店は1976年創業。
なんと47年前です。
とくに有名なのがクリームソーダ。
私も他の席の方がオーダーしたクリームソーダを見てびっくりしましたが、かなりの大きさです。
喫茶店なので本来はお茶やお菓子をいただくところですが(どれも美味しそう!)、私たちはお腹が空いていたので、選択肢はカフェ飯一択です。
空ちゃんはハヤシライスを、私はキーマカレーを頼みました。あとで知ったのですが、鎌倉店ではハヤシライスが一番人気らしいです。
瞬く間に食べ終わってしまって、このままデザートに突入するか、とも思ったのですが、デザートなら他にも気になるお店がある、と空ちゃん。
今日の梅を求める旅のシメに、そこでデザートをいただこうという話になりました。
豊島屋洋菓子補「置石」
「鳩サブレ―」で有名な、豊島屋さんの洋菓子店、『置石』。
実はここに行く前に、本店にもちょっと寄っています。
本店では現在、御朱印ならぬ「御菓印」を配布中。
ただし配布は3300円以上のお買い物をした人に。
300円で「御菓印」だけを買うこともできます。
本店限定です。
私としては「御朱印」というのはやはり「納経の印」と思っているので、お菓子の代わりというのがなんとなく微妙な気がして買わなかったのですが、空ちゃんは面白い企画だしレアだからと購入しました。
性格が出ます。笑
さて、それからめざす「置石」へ。
同じ鳩サブレ―系列のお店ではありますが、少し離れた場所にありました。エクレアなど、オシャレな洋菓子が中心のケーキ屋さんです。
お店に着いて、ちょっと待ったのですが、その間に他のテーブルに座ったお子様に届いたこのパフェを見て、目と心を奪われたふたり。
席に案内されて、メニューを開いて、できたてのエクレアとか美味しそうなお菓子に目移りしながらも、結局はパフェを注文。
少しお時間がかかります、と言われました。
しばらくしてパフェが到着。
食べられるかなぁ、という心配をしながら、そして若干寒さに震えながら(震えている私たちを見かねたのか、お店の人がちょっと暖房を入れてくれました)、もくもくとパフェを食べる二人。
でもこれがですね。
全然、溶けないんです。
そしてくどくない。
器がキンキンに冷えているのと、アイスクリーム、ジャム、ソース、バナナ、チョコ、砕いたサクサクのクッキー生地、生クリームなどが絶妙に層になっていて、まったく飽きることなく食べることが出来ました。
私は、パフェを食べたのは何十年かぶり。
今回お参りできたのが『瑞泉寺』ひとつだけで、残念だった、とは思いましたが、それでもこれだけ歩いて、鎌倉宮と絵柄天神社と八幡宮にも寄って(今回八幡宮は素通り)、満足のいく鎌倉歩きでした。
ところで、毎回、重要なことをきちんと書いておかないためにあれこれ探す羽目になるので、今回はちゃんと情報を書き留めておきたいと思います。
長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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