見出し画像

発達障害、カミングアウトする?

すっかりポピュラー・トピックになった発達障害、喜ぶべきか?――と戸惑う当事者は多そうです。とくに、下記記事で「グレーゾーン」と呼ばれる程度の場合は……。

私の場合、典型的なADHDなんだけど……。年齢的に、申請するには遅すぎるし……。ミュージシャン(同業者)にはそんな人が珍しくないとも言われるから、隠れ蓑にはなってます。

むしろ問題は、子ども時代です。学校では忘れ物ばかりの問題児。家庭では、片付けられないのが最大の問題でした。

当時「発達障害」なんていう言葉は影も形もありません。大学で児童心理学を専攻した母ですら、育て方を間違いました。「出したらしまう」という、通常の人にはある反射神経が欠如しているのがADHD。

ところが、理解のない母は、私の部屋が汚部屋になると「罰として廊下に寝させる」という体罰に出たのです。

ホームレスのように毛布を抱えて、寒い廊下で夜を過ごすミジメさ……。加えて、全てにおいて私より優秀な弟と、私の顔を見れば叱責ばかりの母。私の自己肯定感はぺしゃんこになりました。(自分には失望してるけど、意外におトクかも、って話↓)

もちろん子どもなりに反撃は試みました。家を脱出して自力で食べていきたかったので、5年生から大嫌いな勉強をぼつぼつ開始。当時の地方都市に、中学受験の慣習はありませんでしたが。

天がこの意思に味方したのでしょうか。東京の母の母校が中学のクラス増設を決め、ちょうど私の受験年度から新中学生を募集したのです。

私がそれを知らされたのは、6年になった時。父母に呼ばれて、「中学受験をする気はあるか」と聞かれました。学校には寄宿舎もあるから、家を離れる気があるなら受験してみるか?という提案。

答えは瞬時に「はい!」 ピアノのレッスンと選抜制の合唱部は辞めての受験体制の末、首尾よく地獄脱出に成功しました。

早くに家を離れたおかげで、私はシスターや朋友に叩かれまくって早々に、障害を巧みに隠す術を身につけました。

普通に家にいた人は、社会人になるまで問題が表面化しないことが多いみたいです。なぜなら、勉強「だけは」できる人が多いから。だから「ちょっと変わり者だけど秀才だし」と、家族も先生も問題にしないのです。 

[↑アドバイザーの和田氏自身もアスペルガー障害(自閉症スペクトラム障害)で、東大卒の精神科医]

近年は、社会が「発達障害を理解しよう」という方向に行っているよう。これって、いいのか?悪いのか?……。理解ある家族や先生に恵まれていた人でさえ、結局は困っています。

障害の診断を受けて申請をして、会社で特別措置を取ってもらえる人もいるので、良い面もありますね。昔だったらクビになって終わりのところ。

私のように「スキルを生かす仕事以外はNG」と割り切るか (一般的には士師業や専門職) 。障害対応の余力がある大企業に勤めるか。生きる道はこの2択になるかと思います。

あるいは、理解ある上司に恵まれればどこでも可能かもしれませんが、運任せにはなりますね。

かくいう私も、音楽制作の事務所にいた時には「運」に頼る結果になりました。 

まず、同僚と連携するのが苦手。それと、誰でもできる一般事務や単純作業がめちゃノロくて要領が悪い。かなり摩擦を起こしました。

でもそこは、当時の芸能界で名を馳せた「名マネージャー」の社長。いち早く私の障害に気づき、社内の体制を「タレント担当制」に変えました。それまでは複数のアーティストを複数の社員で担当していたのを、単独担当制に……。

おかげで、他人と連携する必要は最小限になり、苦手な業務は専任のアシスタントに振れるようになりました。運任せにしても、得意を活かせる業界なら当たり率は上がるかも……。

才覚があれば、大企業や専門職でなくても自活の道はありそう。↑実業家(初代日本マイクロソフト社長)とか、近年ではリッチな成功者も少なくないネット起業とか。

人と違うことを「発達障害」の名目で魔女狩りのごとく騒ぎたてられるのは、ありがた迷惑。その代わり、昔より格段に発達障害の将来が明るいですね。

ひとつだけ偉そうにアドバイスを。いくら周りや運に恵まれたとしても、気を抜いちゃダメです!エチケットとして、苦手な業務は極力隠すべき。

たとえ理解あるような顔をしていても、正常な人には私たちの不自由は体感できません。醜態を見せればイライラさせるだけ。

苦手な作業はこっそりやるとか、内心汗だくでも平気な顔をするとか。そんな思い遣りは忘れずに!

さて、「障害をカミングアウトするべきか?」について。未だに同性婚を認めない日本は「遅れてるな〜」。G7中では、「州によって」のイタリアを除けば、日本だけですよ? NYではゲイの友だちもふたりいて、お世話になってるし。

だから日本で「私、発達障害」とか、どうなの?と心配です。「言い訳にするな」というもっともらしい意見も横行してるよう。

今月のアエラの記事によれば、会社でレズビアンをカミングアウトしたら解雇されたそう。2人でカナダに行って、通行人らに祝福されて結婚式を挙げたそうです。 

「理解あるふり」が、1番怖い! キャラや職種にもよるでしょうが、「隠せる限りは隠したほうがいいのでは」としか言えません。

私のADHDは、冗談ぽくカミングアウトしてますけどね。バンドのキーボーディスト時代には「ひとつところ恐怖症」って呼ばれてました(当時はADHDなんて言葉はない)。地方ツアーで行動をともにしてたら、異常はバレますから……。

魔法の国があることは一般に隠すし、目撃者の記憶は消す……という心あたたまるファンタジー映画を、一昨日NYに戻るフライトで観ました。そう、「魔法はあるけど隠した方がいい」です!

ホント、発達障害の「過集中」は魔法ですよね。これが使えない一般人には、同情し、おおいに気遣ってあげましょうよ。

最後に。

片付けられない私は、どうなったとお思いですか?? 発達障害(又は関係者)のあなたならお分かりでしょう。はい、真逆に振れたんです。

ちょっとでも乱れた部屋は1秒でも無理。娘には「うちってインテリア雑誌みたい」と言われてました。そうなった顛末は、またの機会に!

娘がインスタに「実家、かわいい!」と上げていたショット

冒頭でお借りしたイラストは、まさにADHD。重要な作業中に突然違うことをやり始め、それ以外は目に入りません。泣いた失敗は数知れず_| ̄|○!

Kamichan1244さま