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アフターコロナの「自立してないおじさん」の行方

コロナ禍を契機に、自社の働き方を変える大手企業が出てきています。その改革は素晴らしいものに見えますが、果たして本当にそうなのでしょうか?実際に働く人たちの環境は、どう変化していくのでしょうか。
52歳のシニア層である僕が、考えてみました。

働き方を一気に変える大手企業

これまで全く進まなかった働き方改革や、在宅勤務やテレワーク、時差出勤などが、コロナ禍の緊急事態宣言下で、「人との接触制限」「人の移動制限」が起こったことで、やりたいかやりたくないかに関わらず多くの企業が経験することになりました

それはまさに「壮大なテレワーク実験」の期間だったと思います。
(でも、準備期間もないまま突入したこの「壮大な実験」に、まだ多くの企業はリフレクションができていないと思います)

そんな中、今まで当然だった「オフィスへの出社」「在宅テレワーク」、はたまたその中で「ジョブ型雇用への移行」など、あれだけ問題視されていた「単身赴任制度の見直し」まで、一時期流行のようになっていたオフィスも「オフィス不要説」がまかり通るまで、様々な雇用の形態や働き方の変化が一気に出てきています。

「45歳定年説」を忘れていないか?

でも、ちょっと待ってください。
2018年頃から、大手企業で「45歳定年」という早期退職制度が進んでいます(もちろんコロナ禍の前)。

一時期、こうした早期退職の対象となられたであろう方が、僕が採用していた企業の応募履歴書でよく見かけるということがありました。

ほかにも、こんなにたくさんの早期退職事例が、ビフォーコロナの時から大手企業で実施されています。

そして、経団連の中西会長は、「終身雇用は限界」という文脈で、このように発言されています。

コロナ禍は、絶好のリストラのチャンス

組織変革を大幅に進めながら、一方で早期退職制度の対象者が増えている。
これは、何故なのでしょうか?

以下の記事を見てください。

総務省の「就業状況基本調査」から年齢別所得総額の構成比に注目してください。これによると、全体の所得総額の46.4%(約50%)が、40歳~54歳までの社員に支払われていることになります。

これを企業ごとに見てみても、ほぼ同様の状態と言えるでしょう。
社員数が多い大手企業は、40歳以上のシニア層の人件費が重しになっています。

これは、これまでの日本の年功賃金、終身雇用制度の負の遺産なのです。

もう、お分かりになりますよね。
大手企業は、この人件費比率を、変えたいのです。
つまり、早期退職制度を活用してシニア層の人件費比率を下げ、「人件費の安い」若い世代の比率を増やし、中長期的に人件費総額を抑えることができる。

コロナ禍で、一気にこれまでの働き方が変わってしまった。
シニア層は、これまでのリアルに依存した成功体験を知っているので、アンラーニング(学習棄却)ができない人たちが多い世代。大手企業では、これまでもシニア層のアンラーニングの進め方で手を焼いていた。

大手企業にとっては、むしろ、「コロナ禍はリストラの絶好のチャンス(=既得権益に守られてきた終身雇用制度を切り崩すチャンス)」に変わってきています。コロナ禍は、このような企業にとって、人材の入れ替えをする絶好のチャンスを与えたと言っていいと思います。

↑ほんとか嘘か分からないけれど(笑)

「自立してないおじさん」が、転職市場に溢れる

恐らく、コロナ禍を契機に働き方を変えていくことを宣言している企業は、表向きの素晴らしい組織変革の裏側で、これまで以上にシニア層への風当たりが強くなるはずです。

「テレワークについていけないシニア層」
「ジョブ型雇用についていけないマネジメント職
(マネジメント職という仕事だけができる層、いや、その職についているだけの層と言った方がいいかもしれません)」

こうしたシニア層は、真っ先に評価が下がっていくはずです。
周囲の評価が気になるシニア層は、要注意です。これからは、会社の組織改革が進んでいけばいくほど、あなたの居場所がなくなっていく可能性もあります。

大手企業で、20年以上その会社しか知らず勤めてきたシニア層が、自分の想像以上の早さで居場所をなくしていく。若い頃の実績貯金でマネジメント層についている人は要注意です。「これまで俺はこんなに頑張って会社に貢献してきた」という考えが、自分の頭に少しでも浮かぶようであれば、すぐにでも捨てた方がいいです。もう、過去にしがみついているシニア層を、会社は囲っておくだけの余力がありません。

1つの企業しかしらないシニア層が、いきなり転職市場に放り出されます。
自らで新しい道にチャレンジしていこうと覚悟を決めたシニア層ならともかく、自分自身が望まずに、想像以上のスピード感で進む会社に捨てられる。恐らく「こんなはずじゃなかった」という気持ちのまま、転職を考えなければならなくなります。

そんな人が、どのような転職活動をすることになるのか、想像してみてください。

完全に転職ピークを越えている、しかも「その会社」しか知らない、一義的には視野の狭い転職者に、果たしてどれだけのオファーが来るでしょうか
「自分は●●という武器を持っている」。これは、幻想だと思った方がいいでしょう。この武器は、「今いる会社での武器」であることがほとんど。残念ながら、あなたはその会社の「周囲からの信頼残高」で仕事をしているだけのことを、認識すべきだと思います。

組織に属している時にはうまくいっていたけれど、じつは「自立していないおじさん」(もちろん男女問わず)が、転職市場に溢れかえるのは、恐らく間違いないと思います。

「人材の格差」が一気に広がる

リクルートワークス研究所は、2015年に「2025年 働くを再発明する時代がやってくる」というレポートを出しています。

(僕は、このレポートを読んで、自分自身の現在のキャリアを決めました)

人口減少にともない、人材は不足する。
人口減少にともない、雇用機会は喪失する。
実際はこれらが同時に起こる。ある仕事、ある企業、ある職種では、雇用が失われ、
ある仕事、ある企業、ある職種では、人材が不足する。
ある人は失職リスクにさらされ、ある人は人材争奪戦の渦中にいる。
このような、相反する現象が同時発生する。そんな2025年がやってくる。

コロナ禍を想像もしていなかったこの時でさえ「人材格差が顕在化する」と言われていました。コロナ禍は、残酷なまでに「人材格差が顕在化する」タイムリミットを一気に縮めてしまったと感じています。ビフォーコロナでは、人材不足がここまで言われていても動かなかった企業の危機感を、一気に煽ってしまいました。

もはや、一刻の猶予も許してくれないでしょう。

僕自身も今年52歳になりました。まさにその渦中にいます。
自立していないおじさん側に立つ人間として、他人ごとではありません。

「自立していないおじさん」はどうしたらいいのか?

じゃあ、「自立していないおじさん」の未来はもうないのか。
いや、未来を自分自身で作らねばならないと思います。一番大事なのでは、今までの自分をアンラーニング(学習棄却)することではないでしょうか。して、以下のようなことを実行していくことではないかと思います。

①学び続けること
まずは、今までの自分の成功体験は置いておいて(成功体験はもちろん大事ですが、これは過去のもの)、新たな学びをしていくことだと思います。

心のどこかで「もう十分学んできた」と思ってはいませんか
でも、残念ながら我々シニア層も逃げ切れない世の中になってしまいました。とすると、苦しくても、新しく自分の武器を身に着けていくしかありません。

もし、何を学べばいいか分からなければ、今までの自分の知識や経験から「新しいフィールドに身を置いてみる」ことは有効だと思います。地域貢献活動に参加してみるのもよし、困っている友人を助けるのもよし、子供のイベントに参加してみるのもよし、副業にチャレンジしてみるのもいいでしょう。思考停止せずに「行動に移すこと」も大事なことです。

②信頼残高を増やす
年齢を重ねていくと、どうしても体力的に活動量が減ってしまいます。目が悪くなったり(特に老眼)、若い頃にしていた徹夜もできなくなります。

できていた成功体験は、過去のもの。人間は、どうしてもこれまでの成功から自分自身のキャリアの貯金に頼ってしまいがちです。でも、年齢を重ねると、自分のキャリアの貯金は、自分が想像している以上に目減りが早いのです。それに伴って自分の信頼残高の目減りが早いことを意識することです。

僕は、信頼残高を増やすために重要なのは「見返りを求めずにGive(与える)を意識する」ことなのではないかと思います。求められればやってみる。求められなくても、誰かのためにできると思ったらやってみる。「あの人にお願いすれば必ずやってくれる」これが、周囲の信頼残高を得る早道になるはずです。

③多様性を意識する
「自分自身の過去の成功体験」は、想像以上に手ごわいです。そんなの当たり前だよ、と思っても、できていないシニアの人はとても多い(笑)
過去の体験は、知らず知らずのうちに、自分にバイアスをかけています。このバイアスが、多様性の受け入れを阻んでしまうのです。
(そして、阻んでいることを、自分では意識しにくい)

「若い人をリスペクトする」
できているように見えて、「目下の人」として接していませんか?
若い人を、呼び捨てにしていませんか?
(僕もできていないことが大いにあるので、気を付けよう)


・過去の経験談を押し付けてくるシニア
・上から目線で話すシニア
・人の話を「聞いたふり」をするシニア

こんなシニア層の人は、老害です(笑)

厳しい時代だけれど、不幸せなシニア層の人が増えるのは、僕は嫌です(もちろん自分自身がなるのも嫌)。幸せな人生後半を送るためにも、そしてこれからの未来の日本のためにも「明るく元気なおっさん(おばさん)」を増やしていきたい。そう考えています。

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