高齢者施設の高齢化問題とは?高齢者施設で起きている現象について解説。

私はフリーランスの看護師として、日々様々な現場で働いています。

高齢者施設での仕事を単発で請け負うこともある中で、施設の開設が10年を超えてきた施設に見られる現象や共通点について、私が感じていることを今日はお話したいと思います。

高齢者施設の「高齢化問題」が表面化してきている

民間、公的に限らずいわゆる老人ホームと呼ばれる施設、あるいは細かく分類すればグループホームなども含め、終の棲家で終身の契約となっている施設では創設時期によって様相が変わってくる。

同じ系列の施設であっても、創設5年のまだ真新しさが残る施設と、10年、15年、20年と創設から一定の年月が経っている施設とでは、入居者の心身の状態も全体的に差が出てくるのは、想像に難くないだろう。

新設されたばかりで、元気な状態で入居した高齢者も、どう考えても、10年、20年と経過すれば10歳、20歳プラスになるわけであるから、新設当初に比べたら、確実に「高齢化」が進んでいるわけである。

90歳以上が入居者の半分近くまでいる施設の現状

創設より20年経過した施設では驚くほど高齢化が進んでいた。
100歳越えの人も複数、90歳後半も何人もいて、90歳前半の人はもはや若い方?というような構成。

そうなると、一人一人の健康状態も低下し、看護も介護も手間がかかって、常勤さんだけでは回らなくなり、猫の手も借りたい状況。

終末期だね、という方も複数いて、いつ急変するかわからないので夜間の巡視も最低1時間に1回は回らなくてはいけなかったり、呼吸状態が不安定で痰も多く、吸引は1時間に1回はしないと口から泡を吹いてしまう。

そんな方が複数いたら?吸引!吸引!吸引!
夜間一人体制の看護師は、休憩なんてとれないですよね。
せいぜい1時間体を休めるだけ。

日勤の看護師さんだって大変です。
同時多発的にあちこち具合は悪くなるし、褥瘡もできれば、
入れ歯の調子も悪い、目も悪い、足もぱんぱんにむくんでいる、
食べれない、転倒した、発熱した、などなど。
提携先の医療施設とのやりとり、処方箋の事務処理、診察の同行、
物品の管理、家族への連絡、などなど。

直接処置やケアすることもさることながら、それ以上に、
膨大な事務的な仕事に追われる日々。

そんな中で、猫の手もほしいということで、
入居者への直接の処置や医療的ケアの要員として、
私も入ることがたまにあるけれど、
いやあ、大変です。

入居したご本人も、新設で入ったときに、
まさか自分が20年後100歳超えて生きているとは思っていなかったではあるまいか?

どうもそこで20年働いているスタッフはいなさそうだったので、
スタッフは一人辞め二人辞め、
代替わりしているが、入居者さんの方がベテラン化している。

「高齢化」が顕著な高齢者施設はスタッフも疲弊している

まだまだスタートして5年たらずくらいの施設では、スタッフも入社したばかりで和気あいあいとやっているケースが多いけれど、
創設20年越えの施設となると、もちろん新しく入る人もいるだろうけれど、
仕事の負担が大きくなり、「いつまで続けられるかな」というような状態で気力で乗り切っている感を多く感じる場面に遭遇する。

このように、驚くほど長生きの高齢者がいまもなお、増え続けており、
看取りまで行う高齢者施設では、運営年月が経つほどに、介護度もましましで、手が回らないために、疲労困憊でスタッフが辞めていき、あるいは社員だけでは手が足りず、派遣の看護師や介護スタッフを入れ続けなくてはいけない、というような状況になっている施設をあちこちで目にしている。

これが高齢者施設に起きている現象の一つなのだ。

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