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魂の文章術の姉妹編『ワイルド・マインド』

"The Bones"(魂の文章術)が1986年の発行で、"Wild Mind" が1990年だから、まぁ姉妹編っていうか続編ともいうのかな。現時点で日本語版はなさそう(残念!)。

先に言っちゃいますが、このワイルド・マインド(野生/粗野/原初の精神)って、わたしたちの潜在意識をも含んださらに大きな広がりのことです。著者自身がそのように書いています [1]。チカラに満ちた言葉で書かれた一冊。いつものゴールドバーグ節。

『魂の文章術』にも出てきたライティング・ルールは、セックスにも当てはまるよね、って話から第1章が始まる。国語の授業でこれをテキストブックにしてたら気まずくないんかい?とも思ったけど米国だから平気なんやろか(笑)。

そして、無意識を活かす心理メソッド実践者のわたしにとって書いておかないといけないのは、「ドット」の話ですね [2]。おそらく指月の例えと同じように、古くからあるお釈迦様の教えだと思います。

頭の上にひろがる大きな空をまっすぐ上に登って、そこに油性ペンで小さな印をつける。この小さな「ドット」が、禅仏教でいうモンキー・マインドつまり、小さく限定された意識、移ろう意識、どこまでも彷徨(さまよ)いつづける意識。

わたしたちは、その小さな「ドット」にすべての注意関心を向けてしまう。そして比較してけなす声、非難、叱責、ののしり、常識的でさもまっとうそうに聞こえるアドバイスに耳を貸してしまう。

その「ドット」を含めて、大きな空ぜんぶがワイルド・マインド。さらに、わたしたちが互いにつながり、互いに通じ合っている存在であるなら [3]、山も河も樹木も道路もキャデラックも、あらゆるものがワイルド・マインドに含まれる。

小さな「ドット」から抜け出し、大きな空に泳ぎでて空にすっかり浸って、ワイルド・マインドのまっただなかに身を置くこと。それが、ものを書くためのいちばんの方法。生きることだって同じ。

そんなふうに、ナタリー・ゴールドバーグが教えてくれているんです。[終]

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[各章のあいだに「Try this」(やってみよう) があります]

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[この赤い表紙が好き~]

<注>
1)Wild Mind, p.32
2)心理療法とどんな関連があるのかっていうと、心理カウンセラーの先生が書かれた『無意識さんに任せればうまくいく』PHP文庫, p.188 (amazon) にも、「ドット」のアナロジーが出てくるからなんです。
3)If it is true that we are all interpenetrated and interconnected ― たぶんこの部分って、無意識を活かす心理メソッドだと「一体感」ってことになるのかもしれないなぁ。

✻読んでくれてありがとう✻