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レバノンの経済危機と暴動、レバノン国債のここ最近の動き

2020年の3月に12億ドルの国債の返済延期を申し入れてデフォルトに陥っている中東のレバノンですが今回の経済悪化により国内の暴動が深刻化しており、首都のベイルートではタイヤに火をつけたり、道路で火炎瓶や投石をする人が増えているそうです。

レバノンというと日産自動車元会長のフランス人、カルロス・ゴーン被告の逃亡先でもありますが、戦前はフランスの委任統治下にあり、中東のパリとも言われた時代もあり、フランスとの結びつきはいまだに強行くにです。そしてこのレバノンですが対外債務はGDPに対して160%にまで負債比率は積み重なり、これは世界最高水準でもはや現在では持続不可能なレベルに達しています。ここ最近のレバノンポンドの価値も70%急落しており、闇ドルと公定レートの差がすでに5倍にもなり、失業率は35%まで上昇中だそうです。デフォルトが起きたことにより深刻化しているのは米ドルの調達が著しく困難になってきているということでしょう。もはや対外諸国でレバノンに外貨建ての投資をする機関投資家はいないでしょうし、IMFと交渉中だそうですがまだ合意に至らずという感じです。

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レバノン国債は数年前から格付けはCCで値段も50%の値段で市場には出回っていてこれは一般の個人投資家も表面利回りにして10%以上の国債を当然買うことができましたが、特に今年の2月に入ってからこのレバノン国債の利回りは上記のよういん急上昇をしていて年間換算率の利回りが1600%となり、一種異常な状態が起きることが市場関係者の間では通説となっていました。私自身も中東と大きく離れた国に住んでいながら2月あたりから「レバノンいよいよ破綻が近いな」ということを感じていました。

とはいえ、レバノンの債権がリスクが非常に高いのは今に始まったことではありませんし、数年前からデフォルトの危険も常におきていたのがこのレバノンという国です。問題は1990年まで続いた内戦後、復興のため多額の資金を外国から借り入れて、財政赤字も拡大しましたがその後の経済政策がうまく機能していないのと、2011年から今度は隣国にシリアとの内戦もおきてさらに戦費が増大した上に、原油安なども経済成長も鈍化していたのです。

レバノンは現在銀行でも海外送金は禁止、また米ドルの調達もほぼ不可能という状況下で国内の多くの輸入が困難、物資の不足と急速なインフレでかなり市民は困窮しています。あまり知られていませんがレバノンは中東の石油取引にまつわる多くの海外送金のハブ的な金融セクターとしての地位もになっていたのですが今年に入り原油安なども打撃となっていると思われます。またこれもあまり世界的には知られていませんが、レバノンの首都ベイルートは中東のパリとも言われるぐらい、観光リゾートが有名なエリアなのですが今年からのコロナの流行で観光業も打撃を受けているも痛い材料です

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レバノンの首都、ベイルートのリゾート

現在のレバノンの唯一の対外資金供給先とも言えるIMF ですが交渉の中には同国のシーア派のイスラム主義の武装組織である「ヒズボラ」の議長であるナスララ氏に対して資金を流入させない、などが含まれていると予想しますがこれらに対して、ヒズボラの武装組織からの反発も予想され合意を困難とするかもしれないためまだまだ様々な課題が立ちふさがると予想されます。(ちなみにヒズボラの武装組織はシーア派のイスラム主義者で、イラン型のイスラム共和制をレバノンに建国し、非イスラム的影響をその地域から除くことを運動の中心とする。反欧米の立場を取り、イスラエルの殲滅を掲げているため米国とは特に対立傾向)

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