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山本晋也カントクが何のカントクだったのかを知る。

子供のころ、テレビで知的なポジションにいるけど何の人なのか分からない大人が大勢いた。

最近になって、YouTubeで山田五郎さんがこんな面白い人なのか!と知ったけど、みうらじゅんさんやソラミミストの安斎さん、ビートたけしの番組に出ていた芸術家のクマさんとか、一生何者か知らないまま終わってた可能性もある。

「トゥナイト2」という深夜番組で風俗レポーターとかをやっていた山本晋也カントクも謎だった。
大島渚カントクは何となくわかってくるけど…。山本晋也カントク作品はテレビで放映されたのも観たことがない。

それが、偶然買ったルポに二人とも出てきた。アダルトビデオに淘汰されて片っ端から廃棄されたエロ映画、いわゆる「ピンク映画」を探す本だ。

僕の世代では「エロゲー」を連想した。パソコンのエロゲが今のスマホの育成ゲームの元になっていたり、メジャーになったクリエイターがかつてエロゲーに関わっていた話も聞く。
が、環境がないので当時の人の「あれはすごかった…」を聞くしかない。

本の中では、もし正当に評価されていたら山本晋也は世界のヤマモトだったであろう傑作「大色魔」や、大島渚が日本のモザイク規制を嫌って、海外で撮って逆輸入しようとした映画の話が出てくる。
おくりびとは明確に山本晋也の影響を受けているという話は、ドラゴンクエストとアダルトアドベンチャーゲームがかすかに、でも確かに繋がっている話を連想した。

ピンク映画はハイペースで「撮っては次」を繰り返してしたから、ほとんどは語るまでもない出来でも、時おり砂金みたいに名作や、出演者本人も忘れていた映画が見つかる。

作者が「エロ」の要素を楽しんでいる様子はなく、ひたすら発掘。
状態の良いフィルムが見つかったらどこへでも見に行く。

世間のレビューの星いくつとか、評論家の言葉とか、そんなもの一切介入しない。作品と一対一の幸福な関係。

石の率が高くてもひとつの宝石と出会うために片っ端から自分の眼で確かめるしかない。その作業が本当に楽しそう。

当時は温泉街が性的に解放されていて、温泉街だけで上映された規制なしのフィルム群があった話なんて、知らない国のみやげ話を聞いているようだ。
「ザ・昭和映画!」的な豪快なチラシ?ポスター?が多数掲載されているのもお得感ある。


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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。