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【読書日記】映画より先に「2001年宇宙の旅」を読むぜいたく

5月は体調崩した方の報告が多かった。俺もお前もアイツも俺もみんな、ノド枯らしたり入院したりしていた。
みんな大丈夫か!生きているのか!じゃあ良かった!

SF小説を読める元気がもどったので、ついにこれを読む。

映画は猿の集団の前にモノリスが出現する場面しか知らない。ネタバレなしで読めるぜいたくを噛みしめる。

猿人たちの前に突然現れたモノリス。
猿たちはまず、植物のように生えてきたものかと考える。キノコなどは一夜で大きくなるものもあるからだ。
モノリスをかじり、食べられないとわかると、一旦は興味を失ってしまう。宇宙飛行士と猿人の心理を一人の作家が書く。
その後でモノリスが発光して、猿人は棒を武器にしたり、草で結び目をつくった。
ど…どういうこと!?面白!

謎のシーンを見てからポンと時間が飛んで、近未来の学者が月で発見されたモノリスのところへ調査へ行く。

冒頭の謎で釣り上げて、ディティールで読ませる。無重力空間の描写が、作者の想像なのに実体験を聞いているように読める。
方向転換のときについ地球のクセが出てしまうとか。

壮大なスケールと緻密な描写。
猿人と未来人。
全部一人の作家から出てくる。ああ、すげえ。家の中を平泳ぎしながら動いたり、ベッドでゴロゴロ回りながら無重力をイメージして書いたんだろうか。
アポロが月に着陸したころに書かれた小説だから、今みたいに
「宇宙でこんなことやってみました」ってビデオもない。なのに、宇宙船内で洗面用具や工具を使う場面を読んで、普通に「賢くなった」気がしてしまう。

作中の重要な場面で、故障した宇宙船のパーツを直しに船外へ出る場面がある。
緊張感あふれるシーンだが、台風の日に屋根に上ってアンテナ修理をするお父さんにも見える。
宇宙船にスチュワーデスがいるのはハズれたけど、電子書籍はしっかり予言している。

昔のSF小説を読むとき、ここは外れたな、さすがにここは予想できなかったな、と「答え」を知ってるからこその楽しみ方もある。

最後にモノリスに触れて、何だかブワーっとすごいことになるのだが、映画でも多くの人が解釈を述べている。

1000年前から暮らしを変えていない孤立した住民にコンピューターを教えたみたいに、一歩づつの進歩の過程をすっ飛ばしてとんでもない技術でこれまでの人類を越えてしまった・・・みたいな。
今の人類ではわからないテクノロジーを知ってしまったのか。
よくわからない。
ていうか、わかったらガッカリだ。

だいたい、宇宙がすんなりわかるわけがない。

宇宙の外側には超知的な生命体がいるぞ、想像するのは楽しいだろう、宇宙は暗黒だけではないのは嬉しいだろう。
わからないって、面白いだろう。
そんなメッセージを受け取った。
そういえば本の形は直方体。モノリスに似ている。

本文と関係ないが、外と遮断される安心感で、睡眠時間が長く濃くなった耳栓だ。

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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。