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秋空に 四六時中 耐え続け 和菓子を前に 訓告してと

「この時だけだ」ストレスのたまってい男は仕事が終わったので、スーパーにいた。ひとり暮らしの男の仕事は外での肉体労働。
ヘトヘトになっての帰りに、スーパーで好きなものを買う時がいちばん気分がいい。今日も綺麗な紅葉とさわやかな秋空が広がっていた現場だというのに、上司からいろいろな訓告を受けてしまいストレスが溜まっていた。だからストレス発散になりそうなものを探す。

「四六時中あんなこと大声で、ったく。訓告が生きがいなのかよ!」心の中で愚痴りながら、あるものに目が留まった。
「和菓子か」手に取ってどこの和菓子かと言えば、自分の住んでいる市で作っている物だとわかったのだ。
「へえ、地元にこんな和菓子をね」思わず口元が緩むと和菓子を籠の中に入れる。

「さてと」買い物を済ませて、家に帰った男は、食事の前に購入したふたつの和菓子をテーブルの上に置いた。ひとつはアユの形をしたお菓子で、もうひとつは柏餅である。

「こいつらなら、愚痴を聞いてくれるよな」そういって男は和菓子相手に訓告のような愚痴を言い出した。
「こっちは四六時中聞かされてんだよ!」と和菓子を罵倒する男。こんなこと誰も見ていないからできることだ。もちろん和菓子は何も言わない。

「すっきりした」ストレスを発散した男は和菓子を食べる。そして男は和菓子を食べながら、頭の中で短歌を詠んでみた。

秋空に 四六時中 耐え続け 和菓子を前に 訓告してと
(あきぞらに しろくじちゅう たえつづけ わがしをまえに くんこくしてと)

今回は趣向を変えて、毎週ショートショートnoteの企画に参加して短編小説を書きました。(お題:訓告したいの四六時中)

今日はこちらの記事「富田林の和菓子富田屋」をモチーフにしています。

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