見出し画像

当店は「レディース」のみ扱っています

 買い物をした話。
 あるデザイナーのポスターを求めアパレルショップに行った。ポスターを買うのになぜアパレルか、と聞かれれば簡単なこと、そのブランドのグラフィックをそのデザイナーが担当しているからだ。デザインを学ぶ私としては一度赴いておきたかったのだ。
 入り口をくぐり抜けるとなぜか冷たい視線。それはなぜか、その答えも簡単なこと、私が男であるから。そのアパレルブランドは女性の洋服しか扱っていないのだ。冷たい視線にいくつか刺されながら、歩いていくとある一人の店員が「こちらですか」と声をかけてきた。彼女の右手にはデザイナーのポスターの一覧が載った用紙がある。私は「あ、そうです」と少し及び腰になりながら答えた。
 私はここで少し苛立ち、いやどちらかといえば悲しみを覚えてしまった。実際、私はデザイナーのポスターを買いに行った。しかし、私は店内をしっかり回って、洋服を見たい。デザイナーもブランドの服の雰囲気やテーマも考えて構成しているはずであるし、そもそも私はファッションに興味があり、女性の服でも見ていて楽しい。見れば良いじゃないかと言われてしまうかもしれないが、ポスターの一覧を紹介され、レジ横にそれを置かれ「どうぞ選んでください」と言われてしまったらそこから離れることができるだろうか、否。もうポスターを選んで購入したら帰るしかない。店員はこちらを気遣ってしてくれたのであろうからそこには文句は言えない。しかし、男性がレディースのファッションに興味がないと決めつけてしまうのはどうだろうか。昨今、ジェンダーレスが騒がれている。もしかしたら中身は女性かもしれないし、女性の服を着ることに興味があるかもしれない。私のように女性のファッションのデザインをみることを楽しむ人もいるかもしれない。それなのに勝手に興味がないと決めつけ、冷たい視線を向けるのはやめていただきたい。
 
 私は女性の下着専門店に来ているわけではないのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?