第12回 二度目の衝撃 郡山リエ
67年前、7歳の私は周りで起きている事の意味を理解できなかったせいか、わずかな記憶しかない。百戸ほどの村で頻々と墓地に向かう葬列。講堂で受けた変わった身体検査。海水浴の禁止。漁に出られない祖父は焼酎浸りで祖母に暴力をふるった。そして母の店では患者さんの入店を拒否したり、お金を手で受け取らず消毒したり。
母の店での対応が患者差別と受け取られていると知ったのは、学生時代に『苦海浄土』を読んだ時だ。衝撃を受けなかったはずはないが、この時の記憶は私の中で深く沈み込んだ。この本だと