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MNB連続詩集『どどめ色』

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毎日1〜2つずつ更新する詩集です。ジャンルあれこれです。よかったら読んでね。いや絶対読んでね。
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2023年1月の記事一覧

詩「※から生まれた桃太郎」

詩「※から生まれた桃太郎」

桃太郎は
おばあさんと
暮らすために
赤子のまま
おばあさんを寝取りました
なあに
具体的な行為が
あったわけではありません
VRとウーマナイザーで
おばあさんを導きました

おばあさん
からお姉さんまで揃えた桃太郎は
栃木県の人口(199.4万)を超える
子宝ならぬ子財宝にめぐまれました
さながら和製スパルタ
和製なのか
スパルタがごとき集団
(その集団はいつもわらっていました)
スパルタが少数

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詩「快速列車矛先」

詩「快速列車矛先」

夏花火 観覧車の類
またはそのもの
高速回転するときに
それ本来の呼吸はじっ ととまる
(検見川駅前 通過します)
継ぎ接ぎだらけの街模様
腕は雨を打つ 
(好きよ)
その中で頬を打つ 誰の わたしの
しかし光景に胸は打たれる 
夏花火 観覧車 低速回転は
使われず廃棄されました
雨雨雨 
瞳のうちに 
雨雨雨 
雨天のうちに目配すわらべ
室内では
駄菓子祭り
ただ
だだだ
こねるものあり 駄

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詩「街灯無いとシティ」

詩「街灯無いとシティ」

絶え間のない別れの中にいた
雪窓の電車越しの わが街灯
(ネオンの 粉末か)
義分かれた きょうだい
みたいだ電子ライオンたち
ガラスには小ピ粒
天気エは雨とス風はなく
てのメひらにラ猫猫仔猫
ビルラの屋上ズに影縫い
ひかルり うリらが めくれ ぬれた
ひかドり うのらが めトくれ くれた
斜視はの手を大繋ぎ  パ
南南航東へピ群ントを合ーわせる
「不海安はさだしてないズよ」
「あ中るけどもう戻れ

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詩「わ(ぼ)た(く)しのものだ」

詩「わ(ぼ)た(く)しのものだ」

ぼくらは
 味噌を作った
  麦米粟手米足口麦汗
 味噌ができた
  米手足麦汗口米手麦
しかし同時に喧嘩をし
 こぶを 作った
  血殴流溜指血膨泡流
 互いに
  膨流指溜血指膨膨殴
 
(川の流れには 複雑さがない)

 歩いて
歩いた
  手を
繋いだり
  離したり
繋げたり
   引きちぎったりしながら
歩いた
それはそれは長い距離を
時に
 学んだ 喫茶店とか
サーティワンという
 

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詩「そういやそうだったな」

詩「そういやそうだったな」

夢で濡れた靴下に指先を通す
と指が抜けた先は真っ暗な現実であった
毎朝のことだ
指指は子になり野に放たれた
(野の獣には その匂いは歓迎された)
朝の青を抱きしめて夜の赤を愛でた
日々 だった
夢で濡れた靴下はいつしか乾いた
かわいいいたのようになった
かわいいた
その他は裸
桑の実がどこかに落ちて
それをみていた男の子たちが
こぞって
ひろい


鼻に当たって
鼻血がわ
  か  れ

 

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詩「青の一生」

詩「青の一生」

未分化の青が卵から生まれた
未分化の青が微小を食んだ
未分化の青は目を開けて寝坊する
未分化の青が同士まで食らった
未分化の青が水面の分化した青を妬く
未分化の青が石器時代を思う
未分化の青が啓発書を読む
未分化の青が光る空間でDJプレイ
未文化の青と歌舞伎町の水
未文化の青とベースボール
未文化の青が憂鬱な昨夜
未分化の青が滝を登った
未分化の青 家 紋
未分化の青い日にあたり一面
   のスカ

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詩「サービスタイム10(11)本1100円」

詩「サービスタイム10(11)本1100円」

どこまで逃げられるだろう
(もう追いつかれている)
ショッピングモールのトイレの中
絵日記を みていた
おねえさんが ふん
頑張っている
イヤホンはそのままに
えにっき
絵日記
歩く速度が重くなる
初め     ○○○ 
動いていた  ○○○ 
絵日記だ   ○○○ 
えにっきだ  ○○○ 
今は     ○○○ 
頑張っている ○○○ 
見返している ○○○ 
何度も何度も ○○○ 
その度に 

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詩「サム※タイム※トラベラーズ」

詩「サム※タイム※トラベラーズ」

テイタイムの煙に見えた
明日の独特のライン に
今宵のみの鳩が 飛来飛来
するする
ビビビスケットを秘す て 浸す
くらい黒子に水気つく
(気をつけなければ 舐め取られる)
Windows/95度開ける
流し場の濠の夜 濠の昼
朝は池朝に行け
足軽足重にスプーンの手の装飾
手が手が手が匙を匙を匙を
持っつ
「伝票を読み上げます玄米俵に一俵」
※スマートフォンに日記を打つ習慣があります
ご縁に握手し

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詩「地下鉄大住之江駅F通路18番改札へ」

詩「地下鉄大住之江駅F通路18番改札へ」

辛さのあるラーメンを啜ってきみが言った
「これを食べながら考える人生の辛さとはなんだろう」
ぼくは ラー油を30秒ほど垂らし続けていた
(きみがそれを踏まえて言葉を発したのかはわからない)
互いが囲むテーブルの外側に囲むテーブルに
筋肉質な男たち 女たちがずらりとならぶ
「麻婆豆腐と青椒肉絲が一緒にやってきたみたいだ」
ぼくはきみのジョークらしきものに反応せず
ラー油を計1分50秒ほど垂らし続けて

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詩「恣恣/丈夫につくって」

詩「恣恣/丈夫につくって」

ほしいものを口にするこだった
「くちびる」キスを
した
「からあげ」料理
した
「睡眠」添い寝
した
「死」
死をした 何を?
ふたりで
死にキ
スをした
ふたりで
鶏の端
と端をつけて揚げた
ふたりで
入り
口を押しあった
ふたりで

ほしいものを口にしたこだった
「耳」
「くるぶし」
「ひじ」
「さしんぼう」
ふたりで焼き鳥屋へいったときの話になる
あさぼらけ 渋谷の街の仮死人 ひつじ
求めれ

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詩「スノーモーション/俳優の誕生」

詩「スノーモーション/俳優の誕生」

降り積もった雪が逆再生される朝
わたしは終わったばかりの
あなたとの喧嘩を
再演する
海岸でひとり
向こうを
見ると
島が

鳥が(雪ではないはずだ)

晴れ
間に叫び 
その島には一切
その鳥はいないときく 
スノウ スロウ スノウ スノウ
電車に乗る住人でも旅人でも
ない宇宙の空間が囲われて
ここへ来るという
空間に憩う空間
声をはりあげ
オブジェ
雪雪

雪像のあなた
に ほんとうを投

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詩「鳩のふりむき」

詩「鳩のふりむき」

ああカレーライスで有名なレトロ喫茶店は
駅近く通りに深く佇んでいた
朝からなかなかのものがでる
と聞いていた 店内 さて
婦人と 関係不詳の男が
言葉を餅のように噛み 吐き出して おお
水を持ってきた店員がオーダーを
窓の光は半分カーテンに遮られやや
厨房の奥から油の小気味良い音が
誰かの携帯が鳴り 鳴り続け
――時間だ 時間だ時間だ
小さなテレビにワイドショーが
  雪がちらつき始め
旧式のスト

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詩「わたし/おじさん」

詩「わたし/おじさん」

わたしにはおじさんがいた
夕暮れ時に伸びる影の先端にふっと
降り立つように彼はそばにいた
大きな通りを並び歩いて
よくわからないショッピング・モールに
ふたりでよく行った
ごみごみした場所を好んで
影を踏み合う遊びに
いつも夢中になった
現れる影 彼 縫う影と彼
おじさんの長髪 髪隠れ縫う影に晴れ
稀な彼のラメの爪に晴れ 縫う影に田園
調布行きの列車の雨 さめざめとふれ金
畦畦に泣ける 影トカゲと

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詩「ろーどーさんか」

詩「ろーどーさんか」

帰るところがあった
ネイビーの国道を通って
短い間だった
帰るところがある というと
恒常的なものを思い浮かべる人は
とても幸福であると思う
それは多分どこか
橙色の記憶である
もちろんわたしもそうだった
たとえば どう考えても
美味しいとは思えないが
ましろい牛乳に みかんを
ひたして食べるのが大好きだった
帰り道というのは いつも明るい
それが冬の16時半であっても
真夏のようなエナジイだけは

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