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雑文のおもちゃ箱

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片付かないおもちゃ箱、木々や廃材を集めて造った秘密基地、 ごっこ遊びの数々、半世紀の時間が経ち、それらの遊びは出来なくなったけれど言葉の遊びは、まだ始まったばかり。
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2023年8月の記事一覧

愚考のゆくえ

愚考のゆくえ

 地震の時もそう。大雨の時もそうだ。これくらいなら大丈夫、そのうち納まるだろう。隣近所はまだ逃げてないから大丈夫だろう。これだ人が原始の頃から種の生存のために組み込み培って来たであろう正常化バイアスと同調性バイアスと言われる遺伝子を繋ぐ装置の一部、これが問題だ。

 簡単に説明すると、正常性バイアスと言うのは、異常なことが起こった時に「大したことじゃない」と落ち着こうとする心の安定機能のようなもの

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背が足りん

背が足りん

 仕事で中津市三光方面に行くことがある。目的地までの時間調整で「道の駅なかつ」にはいつも寄ることになる。トイレ休憩と盛りだくさんに並ぶ産直品で目の保養をするのが楽しい。

 問題はここのトイレだ。手洗いの鏡にご当地ゆかりの誰でも黒田官兵衛になりきれる顔抜きがある。悩ましいのがこの高さだ。背の低い私は、官兵衛になり切れないし、歴史に親しむ子供らにもこの高さはないだろう。

 実際の官兵衛の身長は定か

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お友達のお父さんと温泉へ

お友達のお父さんと温泉へ

 私が子供の頃に両親が、共働きの若夫婦の子育てのお手伝いをしていた時期がある。おじさんが国鉄でおばちゃんは看護師さん。私もそこの3人の子供たちと一緒に遊んでやったことを覚えている。もちろん私もご夫婦から随分と可愛がって貰った。おじさんは私が国鉄で働く間も、何くれと世話を焼いてくれた。

 おじさんは民営化後に退職、起業して学習塾から高齢者のデイサービスを切り盛りするようになった。事業も軌道に乗って

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たばこの話をしよう

たばこの話をしよう

 私が生まれた昭和30年代は、64年続いた元号の中でも最も象徴的な10年と言われている。もはや戦後ではないと世間は言い、別府タワーが立ち上がり続いて東京タワーが立ち上がる。東京オリンピックに向けて、親たちは競うようにして三種の神器を買い求める。そんな高度成長期がじわじわと加速して行く時代、まだまだ未舗装道路と田んぼばかりの景色の中で、除菌も滅菌もコンプライアンスなんて言葉もなかった時代が私の郷愁を

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