夢の「ベター・ハーフ」トライアル:『君の名は。』の「もう一つの妄想」について
目次
はじめに
新海誠と「夢」のワンダーランド
入れ替わりと時間遡行が織りなす「夢」
妄想のおわり――恋愛と向き合う新章へ?
なぜ めぐり逢うのかを 私たちは 誰も知らない
―― 中島みゆき
はじめに
話題になっている『君の名は。』(新海誠監督、2016年)を観たことで、ようやく色々と面白い感想や解説・評論などにも徐々に目を通すことができるようになったわけだが、そういったことも含めて、この作品から得られる楽しみは多い。『君の名は。』という映画について、テーマや作品自体に焦点を絞って論じることが、もしも仮にあるならば、それは別の機会に譲ることとして、ここではこれまであまり取り上げられていないように見受けられるトピックについて、少し書いてみたい。それは、この作品のギミックである、入れ替わりと、時間遡行(タイムスリップ)が、どんな夢や妄想をかなえているのか? という話である。そこに分け入る準備として、新海作品にみられる「オトコの夢」的な主題から見ていくこととしよう。
新海誠と「夢」のワンダーランド
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