日傘をささない男子たち
夫は少しハゲています。
正確にいうと、おでこの生え際はハゲ上がり、ゆるやかなM字に仕上がっています。
後頭部は薄いだけなので、まだセーフです。
でも、つむじまわりの髪の毛が、いつも放射状に倒れているため中心点の地肌が目立ち、その様は、まるでなんらかの飛行体が着陸した草むらの跡地のようであります。
髪型は、別にかまわないのです。
本人がよければ、それでいいのです。
ただ、日焼けの観点からは気になります。
春先になるといつも、おでこの生え際、つむじの地肌が、日焼けで黒ずみはじめるのです。
日焼けによるダメージは、皮膚ガンのリスク、髪の痛み、頭皮のたるみで顔もたるむ等がありますが、そもそも薄毛の原因にもなっているそうです。
だから、提案してみました。
「日焼け止めクリームやスプレーを使うのはどう?」
ヌルヌル、ベトベトするのがイヤだといいます。
「帽子をかぶったらどう?」
蒸れるからイヤだといいます。
「では日傘をさすのはどう?」
「男が日傘をさすのは、どうなの?」
使う習慣のない日焼け止めについては、抵抗があるだろうと想像がつきました。
帽子が蒸れるからイヤだというのは、私も同感です。
それに、日焼け防止の観点だけではなく、体感温度も若干下げてくれる日傘の方が、自分自身には合っています。
毎年、春先から秋にかけては日傘を欠かさず持ち歩いているくらいです。
だから、日傘がいちばんおすすめでした。
世の中は、日傘をさす男子が増えてきているし、男性向けの傘も売られているから、「もうそろそろどう?」と春先になると、言い続けました。
信条として受け入れられない、とわかっていましたが、言い続けました。
そして、今年、
とうとう夫が、自分から日傘をさし始めました。
いったい、なぜ考えを変えたのでしょうか?
年々、強度を増す猛暑に耐えられなくなって気持ちが変わったのでしょうか?
聞いてみたところ、気に入った折りたたみ傘を見つけたからだそうです。
そもそも、傘を持ち歩くのが面倒、加えて開くのも面倒、さらに閉じるのも面倒だったところ、
「これはワンタッチで開き、ワンタッチで閉じるからいい!」というのです。
「こういうのをさがしていたんだ」と、得意げであります。
この傘が夫の行動を変えるきっかけを作ってくれました。
いや、もしかしたら、本当は夫がきっかけを探していたのかもしれません…。
日傘は女子がさすもの、というイメージは世の中に染み付いているようです。
そのため、男子が日傘をさすことにブレーキをかけてしまうのは、無理もないことなのでしょう。
だからこそ、そのブレーキを解除するのは予想以上に難しいのかもしれません。
確かに、まだ日傘男子を見かける機会はそんなに多くはありません。
ふと、日傘の歴史を調べてみたら、こんな記事を見つけました。
この記事によると、
かつて西洋から渡来した布張りのこうもり傘(洋傘)は、その材質から、雨傘よりも日傘として重用されたとのこと。
そして洋傘は富裕層のシンボル的なアイテムだったため、日傘男子は憧れの存在であったそうです。
時代背景が違いますが、日傘のイメージはこんなに変わったのですね…
夫は、かつて躊躇していたのが信じられないくらい、毎日当たり前のように日傘をさしています。
馴染んできたようです。
現在の日傘男子が少数派であるならば、なおさら、堂々とさしている姿には好感を持つのでありました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
追記:見出し画像は、「みんなのフォトギャラリー」から選択し、
soeji さんからお借りしました。ありがとうございます!
追記:コングラボードをいただきました!
お読みくださった皆様、ありがとうございました😊
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