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日々の出来事を通して感じたことを書き留めています。

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内発的発展(Indigenous Development)

8月9日は、”International Day of the Worlds’ Indigenous People”、日本語では「世界の先住民の国際デー」。 "indigenous"という単語に着目してみたい。同様の語尾をもつ単語には、”endogenous"や”exogenous"がある。endo-genousと区切ってみると「内部から生じる」という意味で、exo-genousは「外部から生じる」が本来の意味である。一方で、”indigenous"は、「土着の、在来の、本

    • 【備忘録】初めての避難体験

      1月1日の能登半島地震。新潟の祖母の家で揺れを感じた。そこは日本海から7軒目。津波警報が出て、避難した方がいい気がしたので、すぐ近くの中学校まで避難することにした。 外に出てみると、ご近所さんも外に出て来て周囲の様子を窺っている。避難するか迷っている方もおられ、みんなで避難しましょう、と声をかける。それでも僕は家の2階にいるよ、というおじいさんがいたのも事実。でもみんなが行くなら、と避難を決めた人もいた。祖母は近所の人たちと顔見知り。同じ通りの人が一人暮らしなのかといった状

      • Livelihood と alivelihood

        ある本を読んでいたら「ウィリアム・モリス」が出てきた。彼について次のように紹介されていた。 どこかで聞いたことがあるような… もしかして、と思って調べてみたら、いつも使っている名刺入れの柄がウィリアム・モリスのものであった!お気に入りの柄にそんな思想が隠れていたとは…!嬉しい偶然である。 同じ本の中に次のようなことも記載されている。 「発展」というものを考えるとき、産業革命期のように近代化することや食べるためにお金を稼ぐことが往々にして重視される。ライブリフッドが満たさ

        • 適正技術と内発的発展

          内発的発展を考えるとき、近代科学技術との関係を考えずにはいられない。ここでは適正技術というキーワードから内発的発展について考えたい。 まずはシューマッハーの「スモール イズ ビューティフル」から始めよう。1973年に書かれたものであるが、今の時代にも十分通用するものである。この本では「中間技術」というキーワードが出てくる。中間技術とは、高価で先進的な技術ではないものの、手に届く価格で、人びとの生活に変化をもたらす可能性のある技術を指す。田中直が「現代適正技術論序説」の中で指

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          学びが生じるとき

          体験と言葉を往還すること。これは「学び」のプロセスであると感じている。 多くのことを体験し、頭の中は全く整理されていないけれど、高揚感に浸っていて、そのごちゃごちゃしている感じにわくわくし、その時はうまく言葉にできないけれど、何か新しい世界が見えてきそうだ、という感覚。そして、その体験の後もゆっくりと時間をかけて言葉に落とし込んでいこうとするプロセス。 これを「学び」と捉えるならば、「学び直し」はいつでもどこでも可能である。しかし、このような「学び」が生じた時のことを振り

          学びが生じるとき

          体験と言葉の往還

          6月のある週末、人類学になんとなく興味のある人たちが鳥取に集まった。 その時のことを言葉にしようとすると、伝わらない。全然伝わらない。 私が体験したあのミラクルな時間は、私の言葉では説明できない。何かが抜け落ちてしまう。 満点の星空を写真に撮った時、生で見ないとこのすばらしさは伝わらない、と思うときと同じように。 体験していない人と「体験」そのものを共有することはできない。 でもなぜか言葉にしておきたいと思う。 言葉にすることでミラクルな時間が、陳腐なものになってしまうのに

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          国家資格という洗脳?

          洗脳と教育の線引きはどこにあるのだろうか。 私の職場では教育プログラムという名で、ある年次になったらいくつかのセミナーを受けなければならない。あるセミナーを受け終わった同僚曰く、その日のテーマは、コミュニケーション力を高めるというもので、洗脳みたいだったという。 そう発言した時点で、おそらくその人は洗脳されていない。洗脳とは、自分で考えることなく信じてしまうことだろう。一方で教育は自分で考えることが求められるはずだ。同僚は、その研修が講師の考えの押し付けになっていたと感じ

          国家資格という洗脳?

          マジョリティの特権

          政府が育休制度を充実させると言っている。それはないよりはいいかもしれないが、日本でジェンダー不平等がいつになっても解消されないのは制度の問題だけではない。 父はこの春、定年退職を迎えた。職場の方々に見送られて帰ってきたことを聞くと、これまで良い仕事をしてきたんだなと嬉しく感じるし、尊敬もする。そして家族を支えてくれたことに感謝もしている。一方で、専業主婦である母がいたからこそ、遅くまで働き、最後まで勤め続けることができたことも事実である。父は私たち家族に、「家族の支えがあっ

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          「くらしのアナキズム」から考える運動体としての組織

          「くらしのアナキズム」、2021年の私の最もお気に入りの本である。前回書いた「災害ユートピア」と似ていて、国、既存のシステムやルール、制度にあまりにもあたりまえに従っているのではないか?一人ひとりが自立し、自分で考えて動くことを私たちは手放してしまっているのではないか?と問うている。 この本を読んでいると、私が運営に関わっているある組織について書かれているのではないかと思うくらい繋がりが感じられる。 その組織はちょうど先月10周年を迎えた。その組織の設立者は既に亡くなって

          「くらしのアナキズム」から考える運動体としての組織

          パンデミックで「災害ユートピア」は生じたのか

          レベッカ・ソルニットの「災害ユートピア なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか」(原題:A Paradise Build in Hell: The extraordinary commuities that arise in disaster)(亜紀書房)を読んだ。 彼女は、災害が起きた時、「人々の間にあった格差や分裂は消え去り、個々の直面している運命がどんなに厳しいものであっても、みんなで分かち合うことではるかに楽になり、かつて不可能だと考えられていたことが、その良し悪

          パンデミックで「災害ユートピア」は生じたのか

          レコード大賞から考える多様性

          普段、流行りの音楽には全くついていけていない私であるが、年末毎晩のようにテレビでやっている音楽番組を見て、少しだけ時代に追いついたような気分になっている。 そこで、「おぉ、いいな」と思った曲がいくつか。その1つがレコード大賞にも選ばれた、SEKAI NO OWARIの”Habit”である。 ヒトという生き物はものごとを分類したがる習性(Habit)があることに着目し、しかし私たち人間は、そんなに分類できるほど単純な存在ではないことをうたっている。 彼岸花の記事にも書いたよ

          レコード大賞から考える多様性

          彼岸花とspider lily

          秋分の日が近づくと、その日を知っているかのように時季を合わせて咲く彼岸花。日本人は、この花をお彼岸と重ね合わせ、季節を感じ、死者に思いを馳せる。 昨年、留学生と一緒に彼岸花を見に行き、彼岸花は英語でspider lilyと言うことを知った。クモのようなユリ。そう聞いてしまうと、クモにしか見えなくなってしまうから不思議である。 私たちは「ことば」を通して世界を見ているのだと、改めて感じさせられる。 だから他のことばを学ぶのはおもしろい。他の人がどのように世界を見ているのか、私

          彼岸花とspider lily

          世界農業遺産

          世界農業遺産(Globally Important Agricultural Heritage Systems: GIAHS)という言葉を聞いたことがあるだろうか。 2011年に日本で最も早く登録された、新潟、佐渡の「トキと共生する佐渡の里山」をはじめとして、日本でもいくつかの地域が認定されている。 この世界農業遺産で評価されるのは、世界遺産のような構造物や自然物に留まらない。GIAHSのホームページによると、登録地の特徴は次のように説明されている。 生物多様性、伝統的な

          世界農業遺産

          豊かに生きること、主体的に生きること(English)

          途上国での発展と豊かに生きることついて、知識を生み出していくプロセスから考えたレポートです。コロナの時代を生きることに共通する部分や教訓あるのではないかと思います。 1.IntroductionIndigenous development always includes a process to generate knowledge. People may find it through their experiences or experimental way. Peop

          豊かに生きること、主体的に生きること(English)

          「i(アイ)」を読んで考えた、想像すること

          西加奈子の小説『i(アイ)』を読んだ。虚数のiは存在しない数。でも想像の中に存在する数、iをモチーフにした、この小説に次のようなフレーズがあった。 『想像でしかないけれど、それに実際の力はないかもしれないけれど、想像するってことは、心を、想いを寄せることだと思う。』 このフレーズに共感するとともに、どこかで考えたことがあるような気がした。コロナ禍の今、実際に人に会うことはできない。でも想いを寄せることはできる。想いを寄せる、ということについてちょっと考えてみたい。 私はこれ

          「i(アイ)」を読んで考えた、想像すること