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レコード大賞から考える多様性

普段、流行りの音楽には全くついていけていない私であるが、年末毎晩のようにテレビでやっている音楽番組を見て、少しだけ時代に追いついたような気分になっている。
そこで、「おぉ、いいな」と思った曲がいくつか。その1つがレコード大賞にも選ばれた、SEKAI NO OWARIの”Habit”である。

ヒトという生き物はものごとを分類したがる習性(Habit)があることに着目し、しかし私たち人間は、そんなに分類できるほど単純な存在ではないことをうたっている。

彼岸花の記事にも書いたように、私たちはさまざまなものをカテゴライズ(分類)することによって、無秩序な世界に秩序を与え、認識をしている。そうすることによって、世の中がよりはっきりと理解できるようになるからである。解像度を上げることができる。これがヒトという生き物の習性(Habit)だ。でも、歌詞のことばを使うと、私たちは「もっと曖昧で繊細で不明瞭なナニカ」である。
例えば、「〇〇大学卒業」「男/女」「日本人」などと分類するとき、分けることによって私たちは相手を(自分をも)理解したつもりになる。しかし同時に、そのカテゴリーの中にもいろんなタイプの人がいるのに…とも思う。

私たちひとりひとりは、そんなに簡単に他人によって、そして自分自身によって説明されてしまうような存在ではないのである。

「多様性」というキーワードがよく聞かれるようになったものの、2022年を振り返ってみても、ジェンダーのこと、日本に住む外国人のことなど、まだまだ多様な人たちが共に生きる社会の実現には程遠いと感じる今の日本…
そんな世の中にあって、分類したがる習性を捨てたときにはじめて見えてくるひとりひとりの価値を訴えているこの曲が、レコード大賞を受賞するほど多くの人に聞かれていることに嬉しさを感じた年末であった。

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