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第29話 ガイド時代⑨ コラム【それでも愉快な僕のガイド人生】

皆さんこんにちは!ミキキートスの庭野です。株式会社ケンネット様の公式サイトで連載中のコラム【それでも愉快な僕のガイド人生~耳に"知"を届けるために~】の中から、第29話 ガイド時代⑨の中身を一部ご紹介します。

第29話 ガイド時代⑨

なぜ今、生身のガイドなのか? 鍵は「情熱」と「楽しむこと」
これまで執筆してきたお話の中で、ガイドというお仕事の苦労、やりがい、こだわりなど…いろいろとストーリーに織り交ぜてお話をしてきましたが、今回は、改めて「ガイドというお仕事」にフォーカスしてお話をさせて頂きます。

数年前に、今後10年から20年以内に約半数のお仕事がAIに取って変わられるというような衝撃的なニュースが世間を騒がせました。テクノロジーの進化は加速度的で、変化についていくのも大変な時代になりました。では、ガイドというお仕事はどうでしょうか。結論から申し上げると、私はなくなることはないお仕事だと考えています。

近年、観光地に赴くと、無人の音声ガイド機を貸し出しているのを目にする機会が増えたように感じます。これもまさにテクノロジーの進化の賜物で、ある意味においては大変有意義なものです。一番の大きなメリットとしては、自分のペースで観光や見学を楽しむことができるということでしょう。

半年後に世界が一変することなどまだ知る由もなかった2019年の秋、ちょうどLCC専用の第2ターミナルが開業するタイミングで、中部国際空港セントレアを訪れる機会がありました。首都圏からですと名古屋への移動は新幹線が圧倒的で、特別な事情でもない限りはセントレアを利用することはありませんので、じっくり観察しようと、視察する機会を作って赴いたのです。今でこそ一番の関心は航空・空港関係ですが、子供のころからずっと鉄道が好きです。セントレアから近いということと、名古屋を訪れる機会も滅多にないということで、JR東海のリニア・鉄道館にも立ち寄ることにしました。そして、同館視察の目的の1つは無人の音声ガイド機を体験することでした。

株式会社ケンネット それでも愉快な僕のガイド人生~耳に"知"を届けるために~
第29話 なぜ今、生身のガイドなのか? 鍵は「情熱」と「楽しむこと」

リニア・鉄道館の音声ガイド機 ※現在は機械貸し出しではなく、スマホ対応になった模様

受付で借りた無人ガイド機は、直感的に操作できる使いやすいものでした。最初は展示ごとに画面をタップして案内を聴きながら見学をしていました。しかし、30分ほど経過したあたりからは、ガイド機をほとんど使わなくなってしまいました。無人ガイド機の使用感を確かめる目的の視察であったにもかかわらずです。

思い当たる理由を考えてみます。まず、1つ目は画面をタップするアクションが必要なこと。生身のガイドの場合は、受け身となってご案内を聴いていればいいのですが、選択してタップするだけとはいえ、このワンアクションが意外と面倒に感じられました。

次に、耳から入ってくる情報だけで案内を聴くのは意外と疲れるということです。生身のガイドがいる場合には、ガイドの表情や手の動きを見ながら、ご案内の対象物に関する案内を聴くことになりますが、事前収録した音声だけにじっと耳を傾けるのは意外と苦痛に感じました。この部分だけに関して言えば、自分のペースで読み進めたり、読み直したりすることが簡単に出来るという点において、文字ベースの方が向いているのではないかと思いました。観光地にある案内板を思い浮かべると分かりやすいかもしれません。

して、これがおそらく無人ガイド機の最大の弱点だと思うのですが、一方通行のご案内になるということです。事前収録である以上、双方向でのやり取りは不可能です。質問が出来ないのは勿論のこと、聴き手のリアクション次第で何かご案内に変化が生じるということがないので、退屈に感じてしまいます。

実は同じ視察中に、セントレアの空港ターミナル見学ツアーにも参加させて頂きました。こちらはまさにガイディングレシーバー付きの見学で、私共が提供しているツアーと基本的には同じスタイルのものでした。今改めて思い返すと、無人ガイド機を使って見学したリニア・鉄道館のご案内はほとんど記憶に残っていません。一方で、セントレアの生ガイドはというと、決しておもしろおかしく話すタイプのガイドさんではなく、落ち着いた語り口調の方ではありましたが、それでも顔や雰囲気を思い出すことが出来るくらい印象に残っていますし、案内してもらった内容はもちろん、やり取りも含めて、楽しかった記憶が残っています。そう、体験として記憶に残っているのです。

株式会社ケンネット それでも愉快な僕のガイド人生~耳に"知"を届けるために~
第29話 なぜ今、生身のガイドなのか? 鍵は「情熱」と「楽しむこと」
セントレアの見学ツアーでガイドさんに記念写真を撮ってもらった筆者

たとえ案内している情報は同じだったとしても、無人ガイド機はあくまで情報の域を出ることはないのに対し、生身のガイドがご案内する場合には、情報に加えて体験が生まれます。そして、そこには血の通ったコミュニケーションがあり、心があります。これは機械には決して真似ができない物です。ガイドという仕事がAIに置き換わることがないと私が考えるのはこのような理由からです。

さて、ここからはこれからガイドというお仕事にチャレンジする、もしくはガイドになったばかりの皆さんに向けたお話をさせて頂きます…

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第29話 なぜ今、生身のガイドなのか? 鍵は「情熱」と「楽しむこと」

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