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続・お金の使い方

前回の「お金の使い方」の続編です。

クラウドファンディングって最近よく聞きますよね。これについて、改めて考えると、見えてくるものがあります。お金というものの正体です。いつものように、中学生にも分かりやすいように説明していきます。

※音声で聴きたい方はこちらでどうぞ
幾朗はSDGs推進派です


お金は「縁を切る」道具だった

実は、お金は「縁を切る」ための道具だったというと、えっ?となるでしょう。縁を切るって何だよ、と問われれば、昔はお金ではなく、縁で繋がっていたことを思い起こしましょう。

何かをもらったら、モノやコトでお返しする。それが「ご縁」です。これを「贈与経済」と言います。その繰り返してで、社会が成り立っていました。

しかし、それでは不便になりました。人が遠くに出かけていくと、コトはともかく、モノでお返しできません

これを現代に置き換えて説明しましょう。あなたが東京から新大阪へ新幹線で移動した、とします。新大阪駅で運賃を「ご縁」で返そうとすると、あなたが農家なら、野菜で払おうと考えるでしょう。キャベツ農家なら、いったいどれだけキャベツを背負っていかなきゃいけないのか、想像も付きません。

モノやコトで「支払う」ことは、時に極めて難しいのです。

そこでお金という便利な「道具」を使うようになりました。


改めてクラウドファンディングをヤブニラミする

賛同した人からお金を集めるのがクラウドファンディングですが、お金の使い道が明確になっていて、それだったらお金出すよ、という類の「集金システム」です。基本的には見返りが有りますが、時には無かったりします。

共通しているのは「お金が紐付けられている」ということです。

通常、投資というのは、会社やグループという漠然とした価値対象に、お金を株式市場というお金が集まる場所へ「投げ込む」行為です。これを投資と言います。そこには見返りが必ず用意されています。金利だったり、配当であったり、その会社の品物やサービスが受け取れたりします。

株式投資においても、クラウドファンディング型が出てきました。株式投資型クラウドファンディングという新しい言葉で呼ばれています。

会社の志に投資していくという考え方です。FUNDINNO(ファンディーノ)、CAMPRIER Angelsや、イークラウドといった株式投資型クラウドファンディングがユニコーンとして出てきています。


モノやコトの「価値」=「値段」を、各個人が自由に決める

クラウドファンディングのやり方を簡単に説明しましょう。これは画期的です。ある種の逆転現象です。お金の再定義と言って良いでしょう。

どれだけ「やりたいこと」に「共感」が得られるかが「お金」という「価値」に置き換わり、それで「値段」を「自分」で「自由に」決められるようになりました。これがクラウドファンディングです。

簡単に説明しましょう。

卵のパックを買いに行ったとき、ある人は10円払い、ある人は100万円払う、またある人は1時間販売のお手伝いをして「労働」で支払う、というやり方です。その人がそのモノの値段を決めて、払い方を決めます。

すんごい、自由ですね!

これを逆に、モノやコトの側からお金を眺めると、お札の価値が変わることになります。そう、これはつまり、お札の価値が変化するということを意味します。定価という概念の崩壊です。スゴイですね。

これをやりたい」、「これを売りたい」、そう言う人がいるとします。それを見て、それは素晴らしいと「応援」したり「買いたい」という人が出てきます。その時に「値段」は各々で自由に決めてくださいね、というアイディアが現れました。

各個人にとってモノやコトの「価値」が違いますが、いまは同じ「値段」「値札」が付いています。それって、なぜ?

よく考えてみると、不思議ですよね

ある人にとっては凄く欲しいもの。そうじゃない人にとって見ると、必要性は薄いもの。なのに、モノやコトの値段がどこに行っても同じなのは「不自由だ」と感じる人が出てきたのです。

これはお金を管理していた側、つまり国にとって見ると極めて厄介です。

なぜかと言うと、国はお金を発行して、それを基準に物事を管理してきたのに、物事を基準にお金を使いたいという逆転現象が起こり始めたからです。つまり国はお金で物事を管理できない、という現象が起こり始めてしまったからです。


国家はお金で国民を縛れなくなる

国はお金で国民を管理します。言い方は悪いですが「金に物を言わせて言うことを聞かせます」。地方は地方交付金という国の管理手段により、自分の地域で発生した税金を自由には使えません。地方は国の言うことを聞かざるを得ません。そういったお金による人間の管理、これが出来なくなりつつある、ということです。

こういうことが起こった理由を、中学生の皆さんも理解しておきましょう。先生よりも先にお教えしますから、先生に教えてあげてください

少し前、昭和の時代ではお金は、金(きん:ゴールド)と交換できました。皆さんが使っている「お札」という「単なる紙切れ」と、金は交換できたのです。なぜできたかというと、それだけ金を国がプール(保管)していたからです。これを金本位制と言います。金地金本位制(きんじがねほんいせい)とも言います。いつでも金とお札を交換できたんですね、当時は。

ところが、第二次世界大戦が終わって、世界経済が爆発的に拡大して、通貨としての「お金」が大量に必要になりました。戦後、世界をリードしてきたのはアメリカ合衆国です。アメリカのドルが、世界の共通通貨になりました。基軸通貨といいます。

そのドルを世界中が使うので、ドル札と等価交換する金が足りなくなりました。そこでアメリカ政府は金本位制をやめました。1971年のことです。管理通貨制度への移行です。

お金というものは、実は「借金」です。お札は単なる「借用証書」なんです。俯瞰してみると、それが分かります。「紙切れでしかないお札」に価値がある、と信じ込まされてきました。そしてその実体のない「お札」というものを、有難がって使ってきました。


「お金を捨てる」時代がやってくる

長くこの仕組みが続いてきましたが、これが壊れる時がやってきました。

お金というものを「使い過ぎた」からです。各国政府はお札をじゃぶじゃぶ刷りました。今も大量に刷ってます。実際には印刷すら必要ありません。各国の中央銀行がゼロが沢山ついた数字を端末に打ち込むだけです。

日本ではなんと日本銀行が株を買っていて、皆さんご存じのソフトバンクの株は日本銀行が2割を所有しています。これって、変ですよね。

おまけに、今までの理論だと、お金をじゃぶじゃぶ刷ると、インフレになるはずでした。それが逆のデフレになってしまいました。インフレだとお金を借りると、金利が付いて余分にお金を返さなければいけません。それがデフレになると、お金を借りるとお金が付いてくるということに概念的になります。

お金を借りるとお金が付いてくるにもかかわらず、お金を借りてくれる人が増えない。よって、市中にお金の受け皿がなくなって、お金は余りに余ってしまいました

そこでそのお金は預けるより、高級品を買ったり、不動産を買ったり、という高額商品で「効率よくお金を消費する」しかなくなりました。これは、見方を変えると「お金を捨てる」行為です。お金(札束)には価値がどんどん無くなってきたのでモノに変えておこうという発想です。そりゃ当然ですよね。

それでいま、オリンピック景気が終わっているのに、不動産価格が高騰する現象に表れてしまっています。株価もうなぎ上りです。お金は行き場所を探して、右往左往しています。


モノをデジタル化して儲けるNFTも覚えておこう

お金よりモノで資産を持っておいくと儲かる新しい方法として、NFTというのが出てきました。NFTはNon Fungible Token ノンファンジブル・トークンの略称で、日本語では非代替性トークン、代替不可なトークンと訳されています。新たなお金の置き場所です。

アートは今までも売買されてきましたが、それをデジタル化し、ブロックチェーンを使って真贋管理する、まさにデジタル世代のアートの売買方法です。いま、急速にそのNFTの市場が大きくなっていて、ミュージシャンアート作家投資家の注目を浴びています。


バブル経済なのに、弾けない

バブル経済ですね。しかし、通常だとバブルは弾けて大恐慌のような貨幣価値を戻す作用が自然と起きるのですが、今回は各国政府が「我慢大会」をしてるので、なかなかバブルが弾けません。

いま、このカネ余り現象下での経済拡大でデフレという珍妙な現象が世界中で起こっています。お札を刷りまくっているのに、経済は今までの理論とは逆行する。経済学者はなぜそうなるのかうまく説明できません。近代経済理論が通用しないのです。こうなると、経済学者が職にあぶれるか、勝手な持論を吹聴するしかない時代に突入しました。経済学者失業の時代です。

中学生の皆さんが学校で習っている「経済」に関する授業で教えていることが「間違っている」ことが現実に起こっているのです、いま、まさに、いまです。先生が経済をその教科書で真顔で教えているとすれば、それは「過去の経済」であって、歴史の授業でしかなくなりました。

それを理解して、「先生、嘘を教えてませんか?」と言ってあげてください。先生は説明が出来ないはずです。世界中でこれを明解に説明できる人を私は知りません。


お金を持ちすぎるとヤバイ時代になって来た

GAFAが欧州で突き上げを食らいました。自国で税金を払わないからです。グローバル化で、国際企業は本社を地球上の税金が安い国に置くようになりました。

これは税金の安い小さい国には嬉しいですが、本来、自国の税金で支払われるべき税金が国に入ってこないという、国家にとっては嬉しくない現象が起こっています。

先のG7先進国7か国会議で、これに対しての是正策が合意されました。今後、国際企業といえども合法的納税額最小化は出来なくなります

すさまじい資産額を持つ資産家は、あまりにお金を持ちすぎて嫌われています。CEOを辞めて火星へ行くアマゾンのベゾス氏に「地球帰還しないで」という署名活動がにわかに始まって、十万人近い署名が集まっています。

米マイクロソフトのビル・ゲイツ氏は、先日離婚しましたが、元奥様メリンダさんへは資産が分割されます。アマゾンのベゾス氏も離婚しましたが、4兆円の株式が慰謝料となり元奥様にも注目が集まっています。

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参考までにダイナミック・プライシングについて

似たシステムで、ダイナミック・プライシングという考え方があります。需要に合わせて値段を決める、という考え方です。例えば、通勤電車の混雑を緩和させたいという目的でダイナミックプライシングを使えば、電車が混雑する時間帯は切符の値段を上げ、閑散時間帯は値段を安くする。そうすれば、電車内の乗客は平均化し、混雑が緩和されます。

これはクラウドファンディングとは似て非なるものです。ダイナミック・プライシングは、統治するシステムです、中央集権的システムです。国が管理できます。それに対して、クラウドファンディングは民主的なシステムです。


付録:お金に関する面白いお話

先物市場は、実は日本が世界初なんです。しかも、江戸時代にその値段を知らせる仕組みは、リニアモーターカー並みの超速伝達でした。

日本とアメリカではお金に関する概念が全く違う、そのことを高校生の教科書から伺い知ることが出来ます。本:アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書(小川正人著)と高校の公民の教科書は、書いてあることが全く違います。簡単に言えば、起業家を量産するための指南書がアメリカの教科書。物言わぬ従順な納税者を育てるのが日本の教科書です。こちらをお聞きください。

今日もお金にまつわるお話をします。本「アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書」小川正人著を取り上げました。この本を読んで、アメリカの教科書の内容が、あまりに日本と違い過ぎて、唖然としました。経済を「与えられるもの」じゃなくて「自分で作るもの」という視点がアメリカです。日本では社会と経済の仕組みについて教える。つまり、良い羊になる方法を教えます。アメリカは羊飼いになる方法を教える。つまり、どう起業するか、お金を自分のものにするかを教えます。そういう、根本的な視点で高校生向けの教科書は作られているのです。日本人の起業が少ないのは、教育方法が全く異なるからだと分かります。さらにアメリカと日本との勉強の仕方の違いもお話します。


お金って、面白いでしょ。

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次回は、こちらです


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ではでは

三川屋幾朗@mikawaya1960
 公共メンターhttps://menta.work/plan/954


追記:2021.7.19
ヴァージンアトランティックのブランソン氏が、「お金を捨てる場所」を新たに作りました。


前回をもう一度という方は、こちらです。

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