熾火3

熾火|愛に溶けていく

  沈下された火は
  もう再び燃え盛ることはないのでしょうか?

  いいえ、
  私の奥深くにいまだ熱いままの熾火があります。
 
  今は遠くに隠れていますが
  あなたがその腕で抱きしめてくれれば
  あっという間に燃え上がるでしょう。
 
  喜びの涙と深いため息で熾火はあおられ
  さらに強く燃え盛るでしょう。
 
  その炎は私の内側に向けて炎をあげるでしょう。
  私は溶けて溶けて形を失くし
  幸福の絶頂へと駆け上るでしょう。
 
  私の喜びは宇宙を震わし
  全ての星が歌うでしょう。
  やっとひとつになれた喜びに。

熾火1

 
  あなたと私の魂は遥か悠久の長い時の外れより
  たったひとつでこの惑星にやってきた。
   この地の法則にのっとって
  二つに分かれ両極の存在となった。
 
  あちらとこちらで生まれた二人は
  出会う術もなく、すれ違うはずだった。

  いつしかお互いが呼ぶ声に気づき
  出会ってしまった。
 
  そして流されるように
  お互いを知らないまま触れたとき
  二人は同じ魂だと気が付いた。
 
  その深い喜びは
  数千億光年の銀河の遥か彼方の
  永遠の幸せを思い出させた。
 
  そして今、私はあなたの前に立ち
  冷たい体であなたを抱きしめる。
 
  そしてひとつに溶けた時
  私の熾火は炎を噴き上げるでしょう。
 
  その喜びは銀河を巡り
  全てのひとつの魂を呼び覚ますでしょう。
  歓喜の渦の中へと。

熾火2



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