ゲート1

ゲートの破壊者|女の哲学

  あなたが私の中で、イった。
 
  あなたは、「生」という
  エネルギーを全開にして
  そのゲートめがけて
  一直線に体当たりした。
 
  私にはなすすべはなく
  ゲートは完全に破壊され
  私の中の創造の源が
  完全に征服されてしまった。
 
  この男の精液を
  私の中で受け止めた。
 
  私とひとつになろうとする
  あなたの命の衝動を
  全存在で受け入れた。
 
  愛さえも通り越して
  純粋な命と命が
  まるごと一つになる衝動。
 
  そこには
  人間の理性や思想や文化や、
  今まで人類が積み上げてきた
  全てを全くなきものにする
  根源的な破壊。
 
  ゲートの中は
  形をわすれた
  混沌。
 
  あなたはその中へ
  一直線に飛び込んだ。

  ひとつに戻る衝動は
  全てを打ち砕き
  無きものにする。
 
  私という存在は
  喜びに消えた。

画像1

  あなたは命懸けでゲートを壊し
  存在の根源を差し出す代わりに
  私の中の絶対的な混沌という
  創造を手に入れる。
 
  男と女が交わるとは
  新しい命を作り出すために
  命を捨てて差し出すほどの
  なんと尊く
  儚いものか
 
 
  快感に隠された本質は
  破壊

  無から何かを生み出そうとする
  創造という衝動は
  生身には激しすぎて
  快感というクッションがなければ
  ショック死してしまうだろう
 

  交尾後に
  雄を食べるクモ
  雄を食べるカマキリ
  女王蜂に性器を引きちぎられる働きバチ
 
  雄の性の衝動は
  新しい命が生きるための
  常軌を逸した破壊力を放ち与える
 
  雌の中には微塵もなかった
  破壊という禁断の実を与える男を
  命を懸けて受け入れ消化する。
 
  勢いが止まらず
  雄ごと、つい食べてしまう。。。
  
  それがまっさらな命の在り方として
  理解できてしまう

  私も潔く
  雌なのだ

ゲート2

(photo: Grand Canyon & Sedona ©MikaRin)



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