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とうに不惑をすぎて、まだなにかをさがしている。 主に京都芸術大学通信教育学部文芸コース…

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とうに不惑をすぎて、まだなにかをさがしている。 主に京都芸術大学通信教育学部文芸コースに編入したことによる、悪戦苦闘について述べる。

最近の記事

トキワタリの夜に【創作大賞2024】ファンタジー小説部門

【あらすじ】 何の不足もないのにどこか身の置きどころがないと感じていた長谷川里香は、両親の突然の死によって過疎化が進んだ地元に戻ることになり、目時と名乗る少年と出会う。  子供の姿で年寄りのように振舞う目時に、里香の先祖が持っていた「時渡の力」を里香が受け継いでいるために、その力を欲しがっている異界の者に襲われないよう護るために見守っていたと言われ、それを信じるようになる。  かつては大人の姿をしていた目時が里香の血筋を見守り続けていたために力を失って子供の姿になっているのだ

    • 猫は生きているだけでえらい

      我が家の絶対君主であり大天使であり、かつ唯一無二の宝物である猫が死んだ。 ゴールデンウィーク前に体調を崩したとは聞いていて、とはいえそろそろ危ないかもを二回も乗り越えた猫なので、今回も元気になるだろうと油断していたら、まんまと行ってしまった。 昨夜、SNSで18歳の猫に好きなだけ牛乳とささみを食べさせたら元気になったと見て、今朝近所のスーパーに開店と同時に飛び込んで乳脂肪分47パーセントの生クリームと和牛の切り落としを買って来たのだ。 生クリームをスプーン三杯舐め、もうちょっ

      • 無事卒業した

        京都芸術大学通信教育学部文科コースを無事卒業した。 卒業式に参加しに京都まできている。 京都は相変わらず人が多くて、 バスがウンザリするほど混んでいて、 何を食べても美味しくて、 ふと見上げる景色がどこもかしこも京都だ。 卒業研究の創作物は、先生方に恵まれてとても楽しく書くことができた。社会人学生をやるのは概ね得なことばかりだ。 まず会社に言うと大抵の上司は自己成長の点で評価してくれる。 レポートの提出が迫っていると言いさえすれば嫌な飲み会や客先のしつこいおさそいを断っても

        • エッセイの課題で提出した文

          「誕生日について~今私が思うこと」というタイトルでエッセイを書きなさい。(800字以上2000字以内)  このまま死ぬまでひとりで生きていくと決めた四十歳の誕生日から、誕生日はひとり旅に出ることにしている。だからここ数年は、私の誕生日を当日祝ってくれるのは、たいてい朝いちばんの便に乗り込んだ飛行機の座席に客室乗務員さんが常連客向けに用意してくれている「お誕生日おめでとうございます」のメッセージカード一枚だけだったりする。  若いころは、誕生日は誰か異性に祝ってもらわないと

        トキワタリの夜に【創作大賞2024】ファンタジー小説部門

          私の好きな花――くちなし(zoom授業で書いた文)

           道を歩いていて、どこか遠くからくちなしの匂いが漂ってくるのを頼りに、あちこち歩きまわって咲いている場所を見つけるとうれしくなる。花を見つけると、周りにだれもいないのを確認して、たちどまって白い花の匂いをくんくん嗅ぐ。  まだ親と手をつないであるいていたころ、とてもすてきなにおいがするね、という私に、これはくちなしという花のにおいだよと教えてくれたのは父で、小さな鉢に植えられた木を買ってきて庭に植えてくれた。くちなしは実家の庭には根付かずいつも気が付くと枯れてしまっていて、け

          私の好きな花――くちなし(zoom授業で書いた文)

          なにか有益なことを書かなくてはいけないと思わされるコンテンツ

          上から目線でモノを言うやつが嫌いだ。 つまり私も上から目線からモノを言いがちの人種であるということだ。嫌いなものはだいたい自分に似ている。 私が見ているコンテンツでは、上から目線人種の生息率はnoteが異常に高く、次いで萌え絡みではないTwitterであるように感じる。 たぶんnoteを書くという行為に付随する、なにか有益なことを書かねばならないという強迫観念が、自分をよく見せようとする文体に陥らせるのだ。 もしくは高い志でほんとうにキラキラした人生を送っておられるのだろう

          なにか有益なことを書かなくてはいけないと思わされるコンテンツ

          仕事始めに改めて仕事について考える

           明日は指定された出社日なのだが、どうしても行きたくなくて仮病を使って上長にテレワークの許可を貰ったら本当に具合が悪くなってきた。天罰でしょうか? いいえゆらぎ世代です。  三十代から十年くらい、仕事が生き甲斐だったことがある。いわゆる滅私奉公みたいな仕事のやり方をして、昭和のモーレツサラリーマンみたいな働き方をして身体を壊した。  思えば、仕事においてわたしはずっと『綾鼓』の老人役を演じていたのだろうと思う。  絶対に自分のことを振り向いてはくれないだろう高貴な女房に恋を

          仕事始めに改めて仕事について考える

          秋期の成績が確定した

          秋期はまるっと休むと言ってたわりに、テキストレポート授業である文芸演習のエッセイ、ウェブスクーリングの芸術史講義(ヨーロッパ)1、実際に学校に登校して丸二日かけて行うトラベルライティングなどを受講し、32単位を取得した。 卒業に必要な単位が62なので、半分に到達したということになる。 我ながら勤勉だが、それもこれも、あのとてつもなくうんざりさせられた、卒業制作に向けた、論文研究の合評の授業を二度と受けたくないというのがひとつ、学費を何年も払い続けたくないというケチケチ心の合

          秋期の成績が確定した

          選択したテーマ:1)自分が変わるきっかけになった出来事    A Little Princess  

           アポイント先の担当者の名前をど忘れした上司が外出先から電話をかけてきて、パソコンのメールを確認して担当者の名前を調べて教えてほしいと頼まれた。  この上司のそういう適当な仕事ぶりには慣れっこだったので、あきれながらも受話器を顎に挟んで上司の席に移動し、マウスを動かしてスリープ状態で暗くなっていたパソコン画面が付くと、ちょうど表示されたままになっていた送信メールには、こう書かれていた。 「むかつくおばさんのつくった見積送ります」   私の作成したお見積書で、メールの宛先は、私

          選択したテーマ:1)自分が変わるきっかけになった出来事    A Little Princess  

          虚無ってしまって外でケーキを丸齧りする羽目に

          どうも虚無っている。 仕事もやる気が出ないし、たいしたことしてないのに世界中の不幸を背負ったようなわけのわからない落ち込みに苦しめられているし、大学のレポートやnoteを書くどころか生きて朝ちゃんと起きるだけで自分を最大限誉めないとしおしおになってしまう。 楽しい予定だってそれなりにあるのに、いまこの瞬間はしおしお。 先日あまりにしおしおだったので、そうだケーキを食べよう、とランチタイムに会社の隣のホテルに突撃し、800円もするショートケーキをひとつだけ買い、ビルの入り口あた

          虚無ってしまって外でケーキを丸齧りする羽目に

          ずいぶん久しぶりになってしまった

          秋期はまるっと学校をおやすみするつもりでいたのだが、留年したくない(あの卒業制作に向けた合評を二度と受けたくない)と思い返し、重い腰を上げて準備を始めた。 どうしてもゆううつで今すぐ卒業に関わらないスクーリングはキャンセルしたけど。 卒業制作着手のために足りない単位はあと9! シラバスを、気乗りしない教科は来期に送りつつなんとか乗り切りたいと思います。。

          ずいぶん久しぶりになってしまった

          入学して2Qが過ぎた

          社会人大学生になって半年がすぎ、夏の単位取得試験の結果が戻ってきて、現時点で23単位を取得した。編入のため卒業までに必要な単位は62なので、なかなか良いペースなのではないかと思う。 と、言うわけで秋はまるっとおやすみすることにした。 学芸員資格取得のための経営論のレポートがDだったことでやる気を失っていたところに、先日の合評、さらに今回の単位取得試験の結果をみて、なんだかウンザリしてしまったのである。 授業には数人の指導教員がついてくれていて、どなたが評価してくださるか

          入学して2Qが過ぎた

          どいつもこいつも自分探ししてやがるな

          さて。 昨日からのスクーリングで自作の小説の合評を受け、ボコボコにされたあげく、シッポを踏まれた猫がいつまでふてくされているかのごとく根に持っていることを書いた。 で、自分の出番は最初に終わったので、皆さんの書かれた作品を評する方に徹しているわけですけど。 みーーーーーんな、自分の話か、自分探しの話なんだよね。 ふぅん。 書き手がアイドルであるとか、すでに著名人でもないのに、どこにでもいるだれかの、ブログの延長戦上にあるみたいなものを、読みたいひとって、そういないんじ

          どいつもこいつも自分探ししてやがるな

          自分の経験したことと違うと間違っていると決めつける批評

          今日はずーーーーーーっと憂鬱だったスクーリングの一日目だった。 先日、「卒業研究にもうとりかかるわけですが」 で愚痴った、自分の生まれて初めて書いた小説を、ひとさまに読んでもらい、批評をいただくというもので、シラバスから引用するとこうだ。 『スクーリングでは、2日間にわたり、合評形式で発表を行います。「合評」とは、提出された創作・研 究に、教員や他の学生が批評を述べ、討論を交わすものです。それによって、創作・研究の可能性を 引き延ばすことを目指します』 げーーーーー!!!

          自分の経験したことと違うと間違っていると決めつける批評

          坂口安吾の『真珠』を読んだ

          不安ばかりを煽るテレビを捨て、情報収集はネットニュース、不快な言葉はミュートするという生活を続けて長いが、それでも隣の国で戦争が始まったことは知っている。 侵略された国の大統領が、太平洋戦争時の真珠湾攻撃をうけたようなもの、と語ったことも。 それで真珠湾攻撃について書かれた坂口安吾の「真珠」を再読した。 まず驚いたのが、この作品が昭和十七年六月に書かれたということだ。真珠湾攻撃が九人の若者たちによって決行されてから、まだ半年も経っていない、まさに戦争のただなかに書かれて

          坂口安吾の『真珠』を読んだ

          サクララウンジ

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