MiiLu 1000文字ワルツ小説 作家

軽快で非日常感のあるショートショートを投稿しています。 【投稿内容】 月火木金:ショ…

MiiLu 1000文字ワルツ小説 作家

軽快で非日常感のあるショートショートを投稿しています。 【投稿内容】 月火木金:ショートショート 水土:ショートショート制作の裏話を語る「RadioNote」 Twitter→https://twitter.com/MiiLu_main

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地下鉄空想旅行

ちょうど終電を目の前で逃して絶望していると、掲示板に「臨時 0:45」という表示がパッと突然現れた。 こんな時間まで仕事をしていた俺は疲れ果てていたため、この「臨時」を待ってみることにした。「もしかしたらこの地下鉄が俺に同情してくれているのかもしれない」なんて思いながら、充電が残り少ないスマホを、何を見るわけでもなくただ触っていた。 0:45、目の前にたった1両しかない列車がやって来た。行き先は俺の最寄駅を通る。俺はこの車両に乗り込んだ。 車両には俺とお婆さんが乗ってお

    • RadioNote第11回 「味が変わるコーヒー」「雪が募る」の裏話

      2/10, 11に公開したショートショート「味が変わるコーヒー」「雪が募る」の制作裏話を書いていきます。 ネタバレになってしまうので、先にショートショートを見ていただけるとより楽しめます。(こちらからどうぞ↓↓) 2/10 「味が変わるコーヒー」 記念すべき21作目。割とお気に入りのショートショートです。 昨日寝る前にふと「味が変わるコーヒーって面白いかも?」と思い浮かびまして、今回はそれを膨らませる形でショートショートを制作していきました。 思い浮かんだ、といっても

      • 雪が募る

        全部、雪のせい。雪が悪いの。 あなたに会いたいのは、一緒に雪だるまをつくりたいから。 あなたに会いたいのは、冷たくなった手を温めてほしいから。 あなたに会いたいのは、雪がジャマをして、あなたしか見えないから。 あなたは夏男だと言ったけど、私といれば冬も楽しいでしょ? あったかいこたつも用意してるけど、すぐに寝るのはやめてね。 明日のことより今を楽しみたいから。 全部、雪のせい。雪が悪いから。 君に会いたくないのは、道が凍って運転がしづらいから。 君に会いたく

        • 味が変わるコーヒー

          寒い朝、赤くなった鼻をマフラーで隠す。 まだ暗い道、白い息を吐いて仕事に向かう。 会社へ向かう道中、お気に入りのカフェがあった。毎朝そこでコーヒーをテイクアウトしていたのだが、先日そのカフェが閉店してしまった。 残念に思っていると、その1ヶ月後にはそこに新しい喫茶店ができていた。 そこも運良く朝から営業していたため、オープン初日の朝、テイクアウトのコーヒーを注文した。 私はブラックコーヒーが飲めないため、カウンターに置いてあったスティックシュガーを入れようとすると、

        • 固定された記事

          RadioNote第10回 「星を食べる」「虹の階段」の裏話

          そろそろ本気を出さねばならないと感じているMiiLuです。 何かというと、SNSです。 一応Twitterのアカウントはあるのですが、全く機能しておりません。 後で頑張ればいいか、なんて思っていると、なんと先日、noteのTwitterアカウントで私の書いたショートショート「地下鉄空想旅行」が紹介されたのです!! note編集部の皆様、ありがとうございます!! めちゃくちゃ嬉しかったのですが、私のTwitterアカウントがカスなせいで、それ以降の広がりがありませんで

          RadioNote第10回 「星を食べる」「虹の階段」の裏話

          虹の階段

          男は階段を上りきった先にある「何か」を手に入れるため、何日も、何ヶ月も階段を上り続けた。 そこには何があるのかはわからない。しかし、何人もの人間が、歓喜の表情で上から降りてくるのを男は見てきた。 彼らのようになりたい。その一心で階段を上り続けた。 はじめは真っ白な階段だったが、途中からオレンジ色、黄色と変化していった。何色かを経て、今では紫色の階段に足を置いている。 男が上の「何か」を諦めきれない理由がもう一つある。 黄色の階段を上っている時だった。男は、端で倒れ込

          星を食べる

          昔、太陽系の近くで遊ぶ2匹の「星の子」がいました。 星の子は、宇宙を自由自在に動き回ることができます。そして、自分が気に入った場所を見つけると、彼らはそこで「星の誓い」を行い、「星」となるのです。 星の子は星の誓いを行うと、人間に生まれ変わります。そのため、星の子は人間のことが好きですし、私たち人間も星のことが好きなのです。 2匹の星の子、アーストとタルスは、人間のことが大好きな子どもでした。 アーストはタルスのイタズラ好きに振り回されていました。アーストの注意に、タ

          RadioNote第9回 「不死身な男たち」「体を休めるピクニック」の裏話

          「睡眠時間がもったいない」という誰もが一度は思ったことを、今真剣に考えているMiiLuです。 8時間睡眠だと「1日の1/3が睡眠」という事実、もったいなくないですか?そこで最近、色々と実験しているのです。 6時間睡眠にしてみると、はじめの3日くらいはいけても、4日目に12時間寝てしまう。 4時間睡眠+昼寝作戦を実行してみると、昼寝が4時間になる。 なかなかうまくいかないですね。ただ、私には秘策があります。 それは、「1日を26時間と換算する」という作戦です。 私自身

          RadioNote第9回 「不死身な男たち」「体を休めるピクニック」の裏話

          体を休めるピクニック

          つい最近、「ひとりピクニック」にピッタリの場所を見つけた。 どうやらそこは、楽しむのではなく、休む場所らしい。「体を休めるピクニック」という看板の文字が脳から離れなかった私は、相当疲れているのだろう。 そこにはいくつかのスペースがあり、全国から人が集まるそうだ。 ソロキャンプなどの「1人アウトドア」に興味があった私は、休日を使ってそこへ行くことにした。 とりあえず、ブルーシートと弁当とマグカップだけ用意した。車内で英単語を聴き流ししながら向かっていると、大きな建物が見

          体を休めるピクニック

          不死身な男たち

          ある男は、不死身であることを悔いた。 目が悪くなって初めてメガネをかけたとき、これを何百年も付け続けないといけないのかと、不死身であることを悔いた。 初めて恋人ができたとき、別れた悲しみを何百年も引きずらないといけないのかと、不死身であることを悔いた。 豪華な食事を食べたとき、食欲に依存し続けなければならないのかと、不死身であることを悔いた。 「不死身」とは、どれだけ未来が怖くても生き続けないといけない、恐ろしいものだと男は考えていた。 巡る季節が、川のように流れる

          RadioNote第8回 「一等賞のお菓子」「ふとんの中でおにぎり食べる。」の裏話

          2022年の1月がもう終了してしまいました。1ダースの鉛筆を1本使ったと捉えて「頑張ったな自分」と思っているMiiLuです。 12本入りのクレヨンの赤色を使ったと捉えると、2月は別の色を使わないといけません。何色を使って、どんな絵を描こうか。なんだか、心機一転して頑張れそうな気がしてきました。 さて、早速ショートショートの裏話を書いていきます。今回は1/31、2/1に投稿した「一等賞のお菓子」「ふとんの中でおにぎり食べる。」の裏話です。 ネタバレになってしまう恐れがある

          RadioNote第8回 「一等賞のお菓子」「ふとんの中でおにぎり食べる。」の裏話

          ふとんの中でおにぎり食べる。

          ああ、しんどい。病み上がりの月曜日、朝。とりあえず午前休はもらったけど、会社、行きたくないなあ。 誰かが看病してくれていれば、もっと早く治ったのだろうか。というか、あいつがあんなこと言ってこなかったら、風邪なんか引かなかった。 世の中が「ジューンブライド」なんて言っているのに、私たちは梅雨の雨に打たれながら喧嘩別れをしてしまった。 でも、後悔はしていない。むしろ清々した。「新しい私、カモン!」なんて言えるほど、爽やかな朝じゃなかったけど。 彼氏と別れたのが金曜の夜でよ

          ふとんの中でおにぎり食べる。

          一等賞のお菓子

          私のおばあちゃんは、よくお菓子をくれる人だった。 うちは二世帯住宅で、子どもの頃はおじいちゃんおばあちゃんにもお世話になっていた。そのため、一人っ子ではあったけれど寂しくなかった。 徒競走で1位になったとき、テストで100点を取ったとき、人生ゲームで1番になったとき。 どんな些細なことでも、私が何かの一等賞になると、おばあちゃんは必ずお菓子をくれた。今思うとかなり単純な子どもなのだが、私はそれがとても嬉しかった。 けれどたまに、一等賞じゃないのにお菓子をくれることもあ

          RadioNote第7回 「星空のサイダー」の裏話

          最近ラーメン系のYouTubeを観ないようにしているMiiLuです。 無性にラーメンを食べたくなる瞬間ってよくあると思いますが、あれって無意識のうちにラーメンを見ているからだと思うんです。 特に二郎系ラーメンは悪魔的で、他の人が汗かきながらハフハフ食べているのを見ると、よだれが止まらなくなります。 そこで今年から、ラーメン系YouTuberの動画は全て観ないようにしています。偉いですね。 その結果、これまでは財布が痩せて自分が太っていましたが、今では財布はそのままで自

          RadioNote第7回 「星空のサイダー」の裏話

          星空のサイダー

          私が10歳の頃、おじいちゃんに不思議な飲み物をもらった。 おじいちゃんは、それを「飲むと星空が見える林檎サイダー」と言っていた。10歳といえども、私はそれを信じていなかった。 でも、一口飲んだ瞬間、私の疑念が鮮やかに覆された。手の平を濡らす瓶の汗、シュワシュワと舌の上を踊る泡、口内に広がるリンゴのフレーバー。 そして、目を閉じると広がっている、キレイな星空。 これはつまらない比喩なんかじゃない。本当に星空が広がっていたのだ。目を開くと見えなくなる、私だけの星空が、確か

          RadioNote第6回 「高砂と海原」「ゾウさん博士、空を飛ぶ。」の裏話

          最近身だしなみを整えることに関心がありまして、だんだんとカッコよくなりたいという思いが強くなってきたMiiLuです。 突然なのですが、美人の条件って、なんだと思いますか? 私は、「涙袋があること」だと思うんです。イケメン俳優やアイドルのほとんどが、ぷっくりとした涙袋を持っているのです。 そんな涙袋が欲しいと思い、最近、「涙袋を作るためのトレーニング」を行なっております。頻繁にウインクをしたり、上まぶたを持ち上げながら瞬きをしたり。結果としてどうなったか。 クマが大きく

          RadioNote第6回 「高砂と海原」「ゾウさん博士、空を飛ぶ。」の裏話