見出し画像

父の温もり

姉と久々に喧嘩をした。
母は間に入って仲裁をしてくれた。

それは些細なことだったのかもしれないが、
私にとっては大きなことだった。

第三者の母が言うには、どちらも悪くないと。
でも私には十分に無罪の余地があった。
自分を評価しすぎているのかもしれないが、
それでも私が謝って姉が謝らないのは
納得がいかなかった。

あれから数時間、夜ご飯を食べるときも姉とは会話をしなかった。正確には、このサラダにドレッシングかかかっているのかだけは会話をした。

夜リビングで1人になったら、急に父の顔が浮かんできた。小さい時、明らかに自分が悪い時でもその出来事を知らない父にいつも自ら話して私の気が済むまで話を静かに聞いてくれていた。

パパ、だってね?

と言い訳をしながら。
小さいと言っても社会人になってからもずっと。今となっては昨日の自分は“小さいとき”にはいると思い込んでいる。

時に注意されて余計いじけることもあったが、大抵のことは最後まで話を聞いてくれて挙句の果てに「にしてもよく喋るね」と呆れて笑って終わらせてくれてた。

そんな父は、いま病院にいる。
あいたい
会って話したい

あのね、パパ今日こういうことがあったよ!

ただそれだけでいいから聞いて欲しい
一言でいいから父の声で返事が欲しい
名前を呼んで欲しい

でもやっぱり、おやすみとおはようも言いたい。仕事頑張ってる話も愚痴も聞いて欲しい。パパはこんなにも大変な社会に何十年間もいたんだね、すごいね。満員電車の悪口なんて一回も聞いたことなかったのに私はすでに限界だよ?コロナ入社で週5出社なんてしたことないのに、3日連続が最高でもうきついのにパパはこれをずっと続けていたんだね。得意な料理ももっと食べて欲しいし、おうちで焼いたパンも食べて欲しい。

会社帰りに待ち合わせして丸の内でディナーとか、お給料日後の土日には一緒にお買い物も行きたかったな。私来週誕生日なんだよ。27歳になるよ。

話したいことが止まらない。
娘2人が喧嘩してるの知ったら怒るかな
滅多にしないのに、こんなしょうもないことで言い合いしてくだらないよね。

もっと穏やかな子になるね
大粒の涙が溢れ出てついに前が見えなくなった。明日目が腫れちゃうね。

おやすみ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?