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2019年10月の記事一覧
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁−21
「う、う、うーん」
アタシは裸のままベッドの中で両腕を上げて、勢いよく身体を伸ばした。
デジタル時計の表示は、朝の6時20分を過ぎていることを示している。
自分の左側に視線を向けると、隣で寝ているはずのオトコがいない。
なぜ、オトコが隣にいたのかって? そんなの決まってるじゃない。楽しんでいたからよ。
さて、ここで自己紹介といきますか。
アタシの名前はマルガレータ・ハンナ
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁-20
「悪いが、もう一度言ってくれないかな。どうも年のせいか、耳が遠いものでね」
部屋の主は視線を逸らせたまま黒革の椅子にふんぞり返り、せわしなくパイプをいじりながら返事をした。
「ですから代表、エルヴィラの襲撃は失敗しましたとご報告しているのですが」
男はいくぶん顔を青ざめながら、部屋の主に先ほどいった言葉を繰り返した。
男の説明を聞いた部屋の主は、視線を逸らしたまま「フーッ」
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁-17
2人の口論は、終わる気配がない。私が周囲を見ると、いらだちの視線を向けているのはキャサリンだけではない。捜査関係者も、それは同様だった。何人かが、ラッシャーとフリーダを見ながら、なにごとかひそひそ話をしている。どんな内容なのかは、おおよそ見当がつく。総店長が口論しているから、仕事がはかどらないのだ。
「あのう、ちょっとよろしいでしょうか?」
私とキャサリンに、一人の警察官
Naked Desire〜姫君たちの野望
第一章 心の壁−16
「だったら、社員やアワマネに後を任せて、とりあえず現場に足を運ぶべきだったのではないですか?」フリーダは執拗に食い下がる。
今彼女が口にした「アワマネ」とは、アワリーマネジャー(以下HM)という、社員不在時に店舗運営を担うアルバイト社員のことで、全アルバイトの頂点に位置する。小規模店舗では2~3人いるが、グラーツ総本店だと、20人以上のHMがいる。この時間帯でも、最低4~5