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Naked Desire〜姫君たちの野望

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舞台は西暦2800年代。 世界は政治、経済、そして文化のグローバル化並びにボーダーレス化が進み、従来の「国境「国家」という概念が意味をなさなくなっていた。 欧州大陸にある、…
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2019年9月の記事一覧

Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−15

私は素早く、キャサリンがいる方向に姿勢をかえた。
彼女はアクア色の無地のシャツの上に、濃紺のノーカラージャケットを羽織り、前のボタンは開けている。下半身は、ジャケットと同じ色のレギンス、黒のパンプスという格好で、私の目の前に立っている。
近衛兵といっても、軍服を着用するのは国家や軍隊の儀礼行事がある時だけで、普段はスーツで勤務する。キャサリンに率いられた近衛兵も、全員がス

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−14

「うっせえなこの野郎! なにを偉そうに!」
といいながら、男は歯を食いしばって、両方の拳を握りしめるる。
私はそばの店員に、警察を呼ぶように伝えると、改めて男に向き合う。
「この店は、全館禁煙だとわかってますわね?」
この店には、店内の目につく場所に「全館禁煙」という案内板が設置されている。誰にでもわかる場所にあるので、知らないと言うことはありえない。この男がなにか不埒な目

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−13

フリーダは「はーあ」とわざとらしくとため息をつき、頭を抱えてテーブルの上に突っ伏したまま動かない。
「私にとってエルヴィラは『よき友人』だけれど『よき上司』とは言えないわね」
「へぇへぇ、『よき上司』でなくて悪うござんした」
私が彼女に返事した直後、私は店内の雰囲気に違和感を覚えた。室内に、イヤな臭いと共に煙が漂っている。
私は、すぐさま視線を、煙が漂う方向に向けた。

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−12

「だって、本当のことじゃないの」怒気を含んだ口調で、フリーダも言い返す。
「皇族としてのマリナは、ちゃんとお勤めを果たしている。それは私も認めるわ」
フリーダはグアテマラを一口飲むと、言葉を継いだ。
「私が言いたいのは、情報機関の幹部としてのマリナはどうなの? ってことよ。FGIKFは表向き政府の諜報機関だけど、その実態は、極右勢力とその支援者がターゲットだからね。マリナ付

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−11

「メールの内容は?」冷たい汗が、背中を流れるのがわかる。
「あなたのコップを、簡易鑑定キットで検査したらしいの」
「どんな結果だったの?」
「ごくわずかだけど、睡眠薬の成分が検出されたって。で、詳しい検査をするためにキャサリンは、そのワイングラスを別部署に持参するそうよ」
「……」ショックのあまり黙り込む私。
「これでわかったでしょ? あなたがバスルームで溺死しかけたのは、

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−10

フリーダ・ポボルスキー、年齢は私と同じ23歳。独身。
国立宮廷行政学院で地理学を専攻し、今年から枢密院秘書課に配属された女性だ。
「おはよう、フリーダ。とりあえずコーヒー飲もうか」
と声をかけ、レジカウンターに移動しようとする。
だが彼女は素早く私の前に動くと、丸い目を細くした……かなり怒っている証拠だ。
「ねえマリナ、今朝何があった?」フリーダは、上目遣いで私を見る。

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−9

屋敷から車に乗ること5分足らず。私─エルヴィラ・ジャンヌ・マリナ・カーリン─は、最初の目的地に着いた。
「カフェ・ルーエ グラーツ総本店」─ドイツ語で「憩い」という意味を持つこの店は、国内でも5本の指に入る大規模なカフェ・チェーンの旗艦店として、首都の住民に認知されている。
営業時間は朝7時半から夜は8時までと長いにもかかわらず、店舗の立地条件の良さもあり、店内は朝から晩ま

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