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【最近は、こんな感じ】 映画を撮りたい。

上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai

13 陳又珉

<Profile>
陳又珉(チェン・ヨウミン)
生まれ年:1991年
出身:浙江省杭州市
職業:クリエイティブプロデューサー
Ins @ pahhtgul

ビジョンがしっかりしててストイック。
でも、ライフスタイルは
のんびりゆるやか。
居酒屋で知り合った、日本語を話せて、
映画の仕事をしている陳又珉さんの、
自宅にて。


――昨年まで、『7-11 FILMS』という映画のイベント(スペースを借りて映画鑑賞を楽しむ会)を主催していましたよね。最近は何をしていますか?
陳又珉 広告会社で働いてたのですが、最近辞めて新しいことをしようと準備中。カルチャー系、発信系の仕事。面接に行ったりしている日々です。多分、もうすぐ決まると思います。あと、半月前に犬を飼い始めたんですよ。名前はFlaca。スペイン語で「細い子」という意味。中国語名は「細狗」です。スペイン人の友人宅のまわりをうろついていた元野良で、いじめられていた形跡もあった。でも今は彼女と一緒に散歩したり、カフェに行ったりすることが私のいちばんのストレス解消法になっています。

――もともと映画関連の仕事をしていたんですよね。
陳又珉 北京で商業映画の制作の仕事を3年やっていました。その後、日本の武蔵野美術大学に研究生として留学して映像の勉強をしていました。日本はもともと行ってみたかった。英語圏ではないところで勉強してみたかったのと、あとは近いこと。食べ物もおいしい。

Flacaは半月前に家に来たばかり。

――留学してみて、日本はどうでしたか?
陳又珉 中国に比べてアート系の映画に学ぶことが多かった。私自身、ちょっと暗くて深みのある映画や、実験的な映像作品が好き。あ、でも『アバター』とか、ヒット作も観ますよ(笑)。特に好きなのは……、黒澤明でしょうか。ストーリーの独特な動きやロジックがあったり、画面もとてもきれいで。1960〜1970年代の日本映画は、魅力的な要素がたくさん詰まっていると思います。いい時代だったんだな、と思う。留学中、そういう作品を観られるワークショップにずっと通っていました。

――最近の作品はどうですか?
陳又珉 アニメ映画の『音楽』(監督:岩井澤健治)がめっちゃおもしろかった。学校でバンドをつくる話。お勧めです。

“映画に関わりながら、国際公民に”

――留学中、バーテンダーのバイトをしていたとのこと。
陳又珉 渋谷の『DJ BAR OATH』で働いていました。留学後はアーティストのアトリエなどで仕事してたのですが、ちょっと恋愛とかがあって帰国。彼氏が上海にいたので、そのまま今に至ります。

――映画の仕事は、今後も?
陳又珉 はい。機会があればインディーズ映画を撮ってみたい。オンラインでマレーシアの映画監督のワークショップにも参加していて、最近朝はずっとそれの課題の脚本を書いたりしています。去年のロックダウンのときの話を描いてみたい。でも、内容的に国内で発表するのは難しそうだな。

――海外で働くことは考えますか?
陳又珉 日本にいる友達は「仕事、あるよ」と連絡をくれたりします。でも、今から海外でゼロから何かを始めるとなるとちょっと考えてしまいますね。あとは、ロックダウン中から少しずつやりためているプロジェクトもあるので、今はそちら優先。でも、日本に戻りたいなとはずっと思っています。理想は、「国際公民」になること。映画関連の国際的なプロジェクトに関わりながら、いろいろな国に行くのが理想です。

――映像の仕事というと、中国では広告でも作品系でもまずTiktokのような、ショートムービーが主流になってきていますよね。
陳又珉 絶対やらない(笑)。観ても時間の無駄。ずっと観ていても何も得るものがない。

――もし、仕事で必要になったらどうしますか?
陳又珉 Tiktokを観る人には、私が関わるものを宣伝しなくてもいいと思います。

――でも、アプリに合わせて縦の動画を制作する人も増えていますよね。
陳又珉 何も考えたくない人が増えたのでは。いい作品であれば、縦でも横でもいいと思います。

“日々、読書とダンス”

――では、普段のファッションについて。こだわっていることはありますか?
陳又珉 今日のこのシャツは『淘宝』で30〜40元だったかな(笑)。ボトムスは友達からもらったもの。なので、こだわりはないです。でも、買ったものは長く着てる。クローゼットのなかも、昔高円寺の古着屋さんで買ったものとか、ワークショップで通っていた青山で買ったものとか。あとは韓国で買ったのもあるけど、ブランドはわからない(笑)。アクセサリーは、高校時代に行ったアメリカで買ったのとかを今も使っています。

――このお部屋は住んでどのくらいですか?
陳又珉 3年目です。選んだ理由は、家具が全部そろっていたから。もともと外国人が住んでいたみたいです。歴史建築で、でもどこに行くにも便利で即決しました。

――最近、旅行でタイに行ったとのこと。
陳又珉 3年ぶりの海外でした。タイは子供の頃に行って以来。サムイ島でのんびりしてきました。ご飯もおいしいし、チル、リラックスできた。コロナ前はものすごく観光客が多かったらしいですが、今はまだ少なくて静かに過ごせました。あとは日本にも行きたい。東京の友達に会いたいです。北海道や沖縄、金沢、青森とかも行ってみたい。

部屋には本がいっぱい。最近のお勧めはメーガン・ダウムの本。

――又珉さん、いつもスタイルいいなと思っています。でも、スポーツをしているイメージがなく……。
陳又珉 ダンスですね。ストレスの解消法もダンス。あ、今日、これから『Elevator』(上海市内のクラブ)でイベントやるんですよ。DJやります。音楽はハウスが好き。あとは、全然違うけど時間があるときはずっと読書をしています。ロックダウン中もずっと本を読んでいました。あの期間だけで10冊は読んだかな。
(取材日:2023年3月3日 撮影地:陜西南路〜淮海中路)


<彼女のお勧め>

『Elevator』(上海市徐匯区南丹東路265号B1)
☆上海でいちばん好きなクラブ。自分のイベントも開催している。

『尚-台湾肉飯』(上海市徐匯区永嘉路134号)
☆上海人と台湾人の夫婦が経営しているお店。卤肉飯がおいしい。


text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『Ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
微博:Akiko06

photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe

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