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大学に行けない私の服装

コロナウイルスによって
大学三年生の私は、大学に通うことができなくなった。

大学生活も後期になりそうな今も、通えてはいない。

コロナウイルスによっての生活の変化は
これだけではなかった。


私は服が大好きだ。
誰に認められる訳でもなく。
認められたい訳でもなく。
好きなものを好きな時に着ていた。
自分が自分を肯定する為に着ていた。

その為周りから受け入れられないような個性的な服を着ることが多かった。
幸いにも大学生活で私の周りには、その様な子が多かった。
チャイナ系の服にこだわりを持っていたり、服の生地にこだわりを持っている子が多かった。

その為大学で孤立することもなく
個性的な服のグループで
みんなで服を肯定しながら
毎日過ごしていた。

しかし、大学生活の中では後ろ指を指されて
「何あの服装!」と
悪口を言われることが多かった。

大学のお手洗いに並んでる時、後ろの女の子達のグループに服の講評会を開かれるのは日常茶飯事だ。

だれに何を言われようと関係ないと思うし
そうわかっていたのだが
やはり、悪口は気にしてしまう。
なので大学内は1人で歩きたくなかった。
周りの視線が怖かった。

攻めた服の日は、着れた嬉しさとまた言われるのだろうかと言う気持ちの葛藤だった。
私がアルバイトしている洋服屋でも
お店と少し系統の違う私の服装に対して
店長は気に入らないと言う態度をとっていた。
(服は自由のバイト先だ。)

こんな日を過ごしていたら
意図せず無難な服を着る日が増えた気がする。

みんながよく着ているブランドの服などを
着始めたら友達も増えた。
これはこれで良かったのだが

その時
私は買ったばかりのレザーが着たかった。

レザーのパンツに
シルバーのベルトを付けて
レザーのジャケット
レザーのハットを深くかぶって
真っ黒の15センチのヒールブーツ
指にはシルバーリングをたくさん付けて
耳に開けたよっつだけの穴には何を通そうか。

授業中そんなことばかり考えていた。

ぼんやりと毎日をそう過ごしていると
大学二年生が終わり、
コロナウイルスが流行した。

コロナウイルスの流行に対しては本当に憎いと言う気持ちが強い。
行きたかった演劇も会いたかった人にも会えず
ずっと家でどうぶつの森をやっていた。

しかし
コロナウイルス流行してから大学に通わなくて良くなった私は好きな服装をしている。

大好きなビーニーをかぶって
ブカブカのカーゴパンツを履いて
細い二本の白黒のベルトをつける。
大学のみんなは知らないネットラジオのTシャツを着て
真っ黒なリップをひいて
家から少し離れたお花屋さんで花を数本買って
それを陽に透かしながら帰った。

真っ黒なリップはマスクで見えなくなってしまうのが悲しかったが
マスクして見えるアイメイクには
お星様のグリッターをたくさん塗って
夢のようにキラキラしていた。

自粛生活を過ごして気がついた。

私、今の方が、大好きな服装をしている。

ここで初めて、私は周りからの言葉をこんなに怖がっていたのかと気がついた。

本当に仲のいい友人としか会わない今
好きな格好を一番楽しんでいる気がする。

コロナウイルスによって余儀なくされている生活が良いとは言わない。

だがその中にも良さを見出すことが出来たことが少しだけ嬉しくなって筆をとっている。


ファッションを楽しんでいる私に親友は嬉しそうだった。

今日、眉に一本のラインを入れた。

多分、大学に通っていたらやろうと思わなかった。

私は、この貴重な時期を過ごして
好きな服を着ることが楽しいと気づいてしまった。

もし大学に通ってもきっともう無理はしないんだろうな。
好きな服を着る魅力に気がついてしまったんだもの。

私の服に悪口を言っていた人達の気持ちも分かる。
私はたまたま服に自分の軸を置いていただけだ。
きっと私を評価していた人達は別の軸で生きていたんだと思うし、私もその軸が人と違ったら自己の解釈で評価するんだろう。

人間は他人と自身と評価し合う生き物だから
しょうがないと思う。

だけどもう少し認め合えると良い
周りを変えることは非力な私には出来ないが
私だけでも否定せず
人の個性に寄り添えるといいな。

そう思いながら過ごしている。

このエッセイは、どこの人にも良くあるような話だと思う。
改めて書くことで、自分の中で整理できた気がする。

私は明日もきっと好きな服を着る。
あなたも好きな服を着て欲しい。


きっとお星様で視界がキラキラする。

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