カズ

ミホと出会い、心が開いた。僕は急に詩を書き始めた。お寺を回って仏像と向き合うと、何かを…

カズ

ミホと出会い、心が開いた。僕は急に詩を書き始めた。お寺を回って仏像と向き合うと、何かを感じ、それも書くようになった。ミホは出会って足掛け三年で、向こうの世界へ旅立った。ミホ、僕は書くことにしたんだ。色んなこと、書くね。ああ、皆さん、音楽も好きで、その機器も好きなオーディオマニア。

最近の記事

ブランコ

時間も風情も自由だよ。どちらでも君の選択次第だ。選んだ方に集中したら、そちらが開ける。すると若い君がいるし、道具も新しいし、古い君がいいなら、髭生やして、長髪を風に吹かせていいし、青頭スッピンでも構わない。着物着流しかっこいいなあ。自由に想像したらそうなってる。君の心が求めるままに、懐かしい昔が眼前で展開して生きているんだ。本当だよ。失ったものなんてない。そう思っていたからそうなっていたけれど、時間の扉が今自在に、僕の目の前でいくらでも入れ替わり、懐かしいあなたがほら、頷いて

    • おばあちゃん

      笑顔がキューンと懐かしい。それ、君にあるよ。そうなん? えへへ、なんだか照れる。いいじゃないか。それも君の権利だから、堂々と、最初はこっそり紙袋開けてみるみたいに覗き込んでから、えいって開けて、ぞっこん見たらいいよ。君がニタニタ笑ってて、えー、これが僕? そうじゃ、そうじゃとおじいさんも笑う。遠い朝に、縁側で、そんなことあった。今自分がそのおじいさんかな。いやいや、君はとっくに時間を超えてる。だから青年で子供で、大人の顔して、中はガキかあ、、、あーあ、それでいいもん。僕が笑い

      • 帰ろうか

        命が僕のハートの奥底でキューッとなって、懐かしい温かい調べを奏でて、おでんのようにおいしそうなんだ。不思議だね。君の笑顔が遠くから近づいてきて、ニーっと微笑むから、僕は小学生になってランドセル抱きながら、ニーっと歯を剥き出して精一杯ほほえみ返し、一緒におでんを突つくような昼下がりに、緑葉が笑い転げて、二人とも野原をゴロンゴロンしてたら、お母さんが帰っておいで、ご飯ですよ。まだ夕飯まで早いよね。君が微笑みかけたら、夕陽がもうそこまで来て笑っている。帰ろうか、うん。

        • 春風に

             春風に 緑眼の木々が わっさわっさと体を揺らす 春風に 腹の中から呼吸する おじさん どう? 春だなあ カズさんも 春だなあ もうじきおいらの仲間たち つくし、たんぽぽ どっさり送る 春風に ――入間川、埼玉

          さあおいで

          さあおいで 動かなかった僕の運命 みほちゃんが石炭くべて 僕の機関車走り出した なんとなく銀河鉄道 ああ、宇宙鉄道、観音さま鉄道 天使鉄道、妖精くん鉄道 どれに乗ろうか 蒸気を吐いて エッサエッサ ピューンもあるぞ たまにシクシク でもエッサエッサ 命の鼓動だ さあおいで 君も乗せよう いろんな景色 巡っていこう

          さあおいで

          黄シャツのおじさん

             黄シャツのおじさん 春の青空 君の中にふつふつと湧いてくる喜び 君の心に訪い 底から温める 春の音 地に満ちて 君に満ち 手を差し伸べる 自分から君から 命が歌う それは生きてある君の 命の歌 例えば道ゆく車の 音柔らかく バスは歌うように走り 電車ゴウゴウと鉄橋を遊び 自転車軽やかにキーと響き 道ゆく人の頭に帽子が踊り 君の靴まで地面を愛撫する 気付く人いず 君が知った 命の歌 深呼吸して胸の骨広がり ワシャワシャ音立て

          黄シャツのおじさん

          あきらめないでーうたげ

             あきらめないで 綺麗な心もどんより濁った心も、皆んな愛しい愛の宴、いろんな表現があるね、あなたたち人の心の奇蹟は、さまざまに天の心を打ち、さまざまに色を受けて、ほら奏でている、天の歌声、あなたのペン先から雫となって、滴り地に落ちて、巡ってゆくのは、命の雫の軌跡、人の心に届き、それに触れて人は震え、泣き、笑い、また歌い出す。重唱、輪唱、あるいはひとり歌、駆けて行く子供のように、今日もまた聞こえる夕餉の、お母さんの呼び声が、荒野になったあなたの心にもこだまするから、目を上

          あきらめないでーうたげ

          さあ呼吸して

             さあ呼吸して いろんな心の波を 呟きながら 朝日に輝く海 心は憧れで弾ける 美しい 苦しい その波の暇に 和む僕の心は 君も知るあの穏やかな 朝の輝き 今朝も出会ったね さあ手を取って 私は君といる者 寂しい君に語り 嬉しい君を抱き 泣く君を抱いて 今日も共に行く だから心配しないで しっかり歩いている 君にわからぬところは 私の手に委ね 君の命を さあ呼吸して

          さあ呼吸して

          今の故郷

              今の故郷 カズさんと長い道 歩いてきた 今日の景色はどうかい 君の目で見る景色だね まだ続くぞ 今日は海風身を切って 波がザワザワ押してくる 子供とお母さんが歩いてる 君にもあった遠い昔 今君の中で息づいて 君を温め励まして 寒い冬風負けるなよ 優しいお日さま照ってるよ 想いいくつも重なって 君の中で重唱歌唱 歌声海にこだまして 翻って微笑んで 君を包んで笑ってる それが君の歌 懐かしい 魂の故郷までまだ帰らない まだ少し居

          今の故郷

          懐かしい笑顔に

             懐かしい笑顔に サザンカ、サザンカ 風に揺れる サヤサヤ、サヤサヤ 君の赤い笑顔 冬陽に揺れて 僕に伸ばす手 楽しい子供になって 僕と遊ぶ 昔も遊んだ あの垣根 今日は公園で 海を見ながら笑うんだね ありがとうって あの時来てくれた 今僕が行こう 君のところ 君の赤いやさしい 懐かしい笑顔に

          懐かしい笑顔に

          春の音、春の子、春の日

          春の音 ほら、やさしいよ あのお山もふっくら 春の衣を出してきた 大きく手を広げて 笑いかける 大空に向かって 僕を抱いて歌う チリチリ、チリチリ 春の音聞こえる 僕の心の中で お山と手を取り合って チリチリ、チリチリ 春の音    春の子 ほうら 見て見て、カズさん 春の息吹 あんなに待った 春の匂い 山の端に白く光り 足音立てて歩いてきた 君ら春の子 緑の薄衣着て 薄いから半分透けて 恥ずかしそう 春の子、春の子 やってきた 向かいのお山に   

          春の音、春の子、春の日

          よく来てくれた 『僕と命の歌』

             よく来てくれた 大切な時間は 急に今ここにあって 懐かしい友だちが来てくれたみたい 新しい友だちが入っていいですかと 言っているみたい 僕はどうぞと両手を広げて ちょっと大げさに歓待する 友だちは安心して冬の厚いマフラーを外して ホッと一息つき 雪で車が渋滞して大変だったと 立て続けに喋り出す 僕は熱いお茶を入れよう 大変だったね よく来てくれた

          よく来てくれた 『僕と命の歌』

          かんざし

          僕の心に愛歌い 赤い梅が赤い柘榴のように 君の髪を飾った まだ寒い 奈良の長い白壁の 赤い梅の花        かんざし 梅が咲き 梅が笑う にこやかに 軽やかに 前に立つ君に赤いかんざし あの日あの時の風が にこやかに笑う  あっ、いま僕の頬に口づけたのは  君だったの?  春の日の  あの公園でのように  風になったお前が  今笑う

          かんざし

          ガスボンベのお兄ちゃんー山荘日記

          ビューと木枯らしが吹き、木々がざわめいて反響する。すると今度はパラパラパラ、米粒のような雪が落ちてきてベランダが白くなった。普段の雨が今は雪、すぐ止んだ。外で何やら音がする。ガタゴトとボンベを動かしている。いつも来てくれるLPガスボンベのお兄ちゃんだ。僕ら地元で比較したことないからわからへんけど。僕はここは引っ越し三つ目で、気温は神戸と比べて三度から六度低いよ。ここがマイナス四度で向こうは二度だったり。下の町の方はもうちょっとマシかな。ここは標高三百メートル。いやあ、あんまり

          ガスボンベのお兄ちゃんー山荘日記

          お茶漬け物語

          手がむくんでかゆくて皮膚科に行ったら、しもやけとあかぎれで手が腫れ、一、二ヶ月かかると言う。しもやけは半世紀ぶりでなつかしく、小学一、二年の頃を思い出した。さあ、今夜は好きなお茶漬けの話を書きました。 ------------------------------------   お茶漬け物語 茶碗の底に二、三センチほどのご飯が残ったら開始である。椎茸昆布少し、刻みミブナ少し、カズノコわさび少しを載せ、熱い特製山野草茶を注ぎ、ゆっくりかき混ぜたら、そそくさと箸を斜めにして

          お茶漬け物語

          鍵をかけない村ー二十歳の旅(その二)            付け焼き刃ー二十歳の旅(その三)

          木々の息吹、空の雲、みんなさまざまに思いながら生きている。木々に流れる樹液は風に揺れ、大気を伝わりハートに入る。 命の粒々が冬の白枝に満ち 透明な息吹が心に届く 寒いね うんそうだね でも緑の樹液が僕を抱くから 白い小枝が微笑む 二十歳の旅、今日は二篇です。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 鍵をかけない村―二十歳の旅(その二) 能登は以前から気になっていた。形が僕にはどこか特別で、鉤形の先が日本海に堂々と突き出している。自然、行く事にした。車で走れるという浜は

          鍵をかけない村ー二十歳の旅(その二)            付け焼き刃ー二十歳の旅(その三)