ブランコ

時間も風情も自由だよ。どちらでも君の選択次第だ。選んだ方に集中したら、そちらが開ける。すると若い君がいるし、道具も新しいし、古い君がいいなら、髭生やして、長髪を風に吹かせていいし、青頭スッピンでも構わない。着物着流しかっこいいなあ。自由に想像したらそうなってる。君の心が求めるままに、懐かしい昔が眼前で展開して生きているんだ。本当だよ。失ったものなんてない。そう思っていたからそうなっていたけれど、時間の扉が今自在に、僕の目の前でいくらでも入れ替わり、懐かしいあなたがほら、頷いている。後れ毛の懐かしい匂いが、染みて行くのは夏の日の、あの眼差しに震えた僕の、その心が今息づいて、僕の手を取って駆け出すあなたの笑顔が、あのブランコに笑っている。

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