あきらめないでーうたげ

   あきらめないで

綺麗な心もどんより濁った心も、皆んな愛しい愛の宴、いろんな表現があるね、あなたたち人の心の奇蹟は、さまざまに天の心を打ち、さまざまに色を受けて、ほら奏でている、天の歌声、あなたのペン先から雫となって、滴り地に落ちて、巡ってゆくのは、命の雫の軌跡、人の心に届き、それに触れて人は震え、泣き、笑い、また歌い出す。重唱、輪唱、あるいはひとり歌、駆けて行く子供のように、今日もまた聞こえる夕餉の、お母さんの呼び声が、荒野になったあなたの心にもこだまするから、目を上げて、涙ぬぐい、笑ってみせる健気なあなたに、私たちほほ笑む、あきらめないで。


   うたげ

君の愛した

澄明な大気よ

今都会の喫茶店の

窓の向こうに

この椅子の周りにも

息づく

その雑踏の只中で

見ている綺麗な瞳が

頷いている

それは変わらぬ君の目だ

ああ大気よ、森よ、木立よ

歩いた道のここかしこに

頷いていた草花の

囁く香りが

今届いている

だから耳澄まして

聞いてごらん

君の歌声

輪唱していた囁きが

ずっと生きていたんだ

君と草花たちの

首傾げた瞳に

君を見て囀っていた

小鳥のような

かわいい花の純情

手に取るように届く

何十年も経って

今告げる

命の囁きは

君に魂の独り言でなくて

天空に満ち

今も雄々しく密やかに

歌い続ける

命の歌

君という存在の

うたげ

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