黄シャツのおじさん

   黄シャツのおじさん

春の青空

君の中にふつふつと湧いてくる喜び

君の心に訪い

底から温める

春の音

地に満ちて

君に満ち

手を差し伸べる

自分から君から

命が歌う

それは生きてある君の

命の歌


例えば道ゆく車の

音柔らかく

バスは歌うように走り

電車ゴウゴウと鉄橋を遊び

自転車軽やかにキーと響き

道ゆく人の頭に帽子が踊り

君の靴まで地面を愛撫する

気付く人いず

君が知った

命の歌


深呼吸して胸の骨広がり

ワシャワシャ音立て

君が歩く歩道に

セメントの小石がコックリさんみたいに

笑って頷く

知っていたかい

命の営み

命の歌は

君の歌


スーッと走る白い車が

私特等

胸張るお嬢さん

すると向こうでまた電車

あれは青年

生きている

白いマスクのお姫様

黒いバイクで走っていく


ああ今日は燦々と日が照り

僕の細胞に燦々と日が沁み

燦々と太陽

全身全体に満ちる


波さやさやと揺らぎ

少し向こうで船の音

夏浜で寝転がって聞いた音

ゆるーいポンポンポンポン

乳母車をおじいちゃんが押し

お母ちゃんが添って歩く

黄色い日傘のママと

白いマスクの小三娘

ポツンと置いてある自転車

黄シャツのおじさんが時々こっちを向く

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