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乳がんの妻 パニック障害の僕

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#マンガ

#11 乳房再建術

#11 乳房再建術

僕が大学附属病院の口腔外科に在籍していた頃、全身麻酔で目を覚ました患者さんが苦しそうにしてるのを見ていたので、妻にはそんな苦しい思いを何度もさせたくないというのが正直な気持ちでした。ゆえに同時再建を勧めたのですが、それでよかったのかどうかはわかりません。
人によって色々考え方も違うでしょうし。

また、術後に胸がぺたんこになってしまった現実を見ると、やはり女性は少なからずショックを受けると聞きます

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#10 入院手続き

#10 入院手続き

詳しくは、このマガジンの第一話へとつながるのですが、結論を言ってしまえば、特別個室になってしまいました。
支払われる入院保険金をオーバーしますが、コロナ禍で一般個室は満床ですし、第一に妻がストレスなく病院生活送ることが大事ですので、個室が取れたことを良しとしました。

妻も僕も入院なんてしたことがなかったので、全てが初めてのことばかりで、選択が正しかったのかどうかなんてわかりません。
できる限りの

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#8 乳腺外科受診

#8 乳腺外科受診

2020年10月某日

2020年10月、乳腺外科受診。
乳腺外科の先生から、死ぬかどうかではないという返事を聞いた時、心からホッとしました。
乳房の全摘になろうと、妻は生きてる。
それだけで有り難かったのです。

手術日はコロナの影響もあり、1ヶ月先の11月末とのことでしたが、急に進行するような種類の癌ではないので心配ないとのこと。
もうこうなると、主治医の先生を信じるだけです。

僕からの報告

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#7 妻からの報告と家事

#7 妻からの報告と家事

まだ乳がんも繊維腫もできていなかった十数年前、「もし乳がんになって全摘出って言われても、とくに何も思わないわ。むしろ胸なんて邪魔なくらいやから、なくなったらスッキリするわ」と言っていたのだが、今回、実際に全摘出だと告げられた時に「えー・・・」と声をあげたというのを聞いて、あぁ、やはり今まであったものが無くなるというのは、本人が想像していたよりショックなのだなと思った。

「あの時、全摘でも気にせー

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#6 新型コロナではなかったが・・・

#6 新型コロナではなかったが・・・



 僕は今回を含めて2度救急車で搬送していただいたことがあるが、毎回野次馬が出てくる。
 前回も今回も、救急車が到着する頃には症状がやや落ち着いてたりするのだが、「もう大丈夫ですから帰ってください」とも言えず、よく調べておいてもらうためにも救急車に乗る。やや朦朧としていても周囲の状況は把握できており、どこの家のオバハンが出てきたとかは覚えている。

 心は弱っていても脳はハッキリしてるので、薄れ

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#5 待機中の不安

#5 待機中の不安



 2020年2月のダイヤモンドプリンセス号のニュースを見てるときは「乗ってる人ら、たいへんやな。金持ちじゃなくて良かったわー」と、まだまだ他人事だったのだが、4月に世界中の都市でロックダウンが始まったニュースを見ていたら、子どもの頃にみた小松左京原作の映画「復活の日」を思い出した。

 世界中でウィルス感染が拡がり、あらゆる生命体が絶滅していくという小松左京が1964年に書き下ろした小説を19

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#4 手術室へ

#4 手術室へ



子どもたちが生まれてから、徐々に二人でいる時間も少なくなり、僕は仕事仲間と、妻はママ友と過ごす時間が多くなっていた。
家庭内別居というほどのものではなかったが、それぞれの時間に干渉することもなく、必要な事以外での会話も少なくなっていた。
そもそも妻と趣味嗜好が違い、僕は好きなバンドのライヴへ一人で出かけたり、妻は子供たちとジャニーズのライヴへ行ったり。

妻は大学の後輩で、付き合いはじめた20

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#1 ステキな部屋

#1 ステキな部屋



間接照明で照らされた天井、バストイレ付きの18階の居心地の良い部屋。
ジオラマのような大阪の街並みをを一望できるこの素敵は部屋はホテルの一室ではなく、ある総合病院の病室である。