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#4 手術室へ
子どもたちが生まれてから、徐々に二人でいる時間も少なくなり、僕は仕事仲間と、妻はママ友と過ごす時間が多くなっていた。
家庭内別居というほどのものではなかったが、それぞれの時間に干渉することもなく、必要な事以外での会話も少なくなっていた。
そもそも妻と趣味嗜好が違い、僕は好きなバンドのライヴへ一人で出かけたり、妻は子供たちとジャニーズのライヴへ行ったり。
妻は大学の後輩で、付き合いはじめた20代の頃は毎日一緒にいても話が尽きることがなく、ただ会えるだけでドキドキしていたし、どんな時も、どんなところへも、二人で出かければ楽しかった。
そんな時間がずっと続けばいいのにと思っていた。
あの頃の高揚した気持ちは何処へ!?
そんな結婚生活20年越えのマンネリ夫婦であったが、妻が乳がんであるとわかった瞬間から、夫婦の関係性に変化があった。
いや、関係性というよりは、僕自身の気持ちの変化だったのかもしれない。
できるだけ妻に負担をかけないように意識するようになり、今まで妻に任せっきりだった料理や、食器洗い、掃除洗濯も可能な限り僕がするようになった。
それは付き合い始めた頃の、彼女を大切にしたい、愛おしい、という感情に似ていた。
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