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国際情勢:プーチン大統領について②

 2024/4/25、ベラルーシのルカシェンコ大統領は今、ロシアと和平交渉に入らないと、ウクライナは将来、国家として存続できなくなる恐れがあると警告した。だがこの発言は、どこの国にもフォローされず、スルーされた。ウクライナが国家として存続が危うい、というルカシェンコの警告は、各種データを見れば、決して誇張ではない。(②は3,894字)

 2024/5/6、マクロン大統領は、中国の国家主席との首脳会談で、オリンピック休戦を提案した。習近平は賛成したが、その前のフランス軍地上部隊派遣に関する発言と、整合性がつかないため、今の処、紛争当事国から相手にされていない。これはロシア・ウクライナ戦争もそうだし、ハマス・イスラエル戦争もそうだ。

 そしてその後、フランス軍の教育部隊をウクライナに送っている。これは地上部隊派遣の地均しだ。先行部隊だ。これの一体どこがオリンピック休戦なのか?ロシア人でなくても、おかしいと感じる。そしてもし、フランスが地上部隊を送る場合、それは4,500名の旅団規模になるともマクロンは発言した。(2024/6/5のTF1のインタビュー)

 2024/5/30、元フランス大統領のニコラス・サルコジが、フィガロ紙のインタビューで、共和国は戦争に向かっている。その前にマクロンはプーチンと話し合えと発言した。同時期、プーチンから、現状維持を条件に、西側と和平交渉に入ってもよいと、メッセージが発せられた。だが西側によって、完全に黙殺された。

 2024/6/14、クレムリンは再度メッセージを出した。ウクライナ東部南部の四州から、ウクライナ軍が手を引き、NATOに加盟しない事を約束するなら、攻撃を停止し、和平交渉に入る用意があると。だが2024/6/15、スイスで世界平和サミットが開かれ、西側は対ロシアで連帯を呼びかけ、ロシアをサミットから除外した。

 ロシア・ウクライナ戦争は、核保有国対非核保有国で、ハマス・イスラエル戦争も同様の構造を持つ。だがフランスが参戦し、ロシアと戦争になれば、これは核保有国対核保有国の戦争になり、核戦争の危険度は格段に上がる。そしてフランスがNATOの一員である事を考えると、芋ずる式に加盟国が巻き込まれて戦争に突入する。

 これは少なく見積もっても、欧州大戦になり、大きく見積もれば、世界大戦になる。第三次世界大戦だ。ただし、アメリカは参戦したがらないだろう。これはどちらの大統領候補が勝っても、そう考えているに違いない。アメリカは19世紀のモンロー主義ではないが、欧州と距離を取り、安全を確保しようとするだろう。栄光ある孤立か。

 第一次世界大戦も、第二次世界大戦も、アメリカが参戦する事によって、戦争に決着が付いた。だが今回、アメリカ抜きで、欧州大戦に入った場合、ヨーロッパは敗北するだろう。なぜならば、ナポレオンも、ヒットラーも、ロシアに勝てなかったからだ。EU対ロシアは、戦う前から勝負が見えている。ヨーロッパの敗北だ。

 なおフランスで、2024年1月に、『La défaite de l'Occident(西側の敗北)』という著作が出た事は、意味がある。この本と推理プロセスは異なるが、結論は当方と同一だ。対ロシア戦争に、西側は敗北する。この本の作者は、人口データから、旧ソ連の崩壊を予言した事がある。その名をエマニュエル・トッドと言う。

 因みに2024年7月のパリ五輪のチケットは今、売れていないらしい。単に高いだけではないだろう。

 これはもう欧州の人々が、五輪をやる処ではないのではないか、と思い始めている証拠ではないか?

 2024年8月、パリ五輪が終わったら、マクロンは覚悟を決めて、対ロシア戦に踏み切るかも知れない。
 
 この論考は、以下の動画を基にしている。基本、順番通りだ。
 この論考における英文の引用は、全て以下の動画からである。
 英文はYou Tubeの文字起こしより引用し、和訳は必要に応じて付けた。
 なおロシア語から英語の翻訳であるため、和訳は翻訳の翻訳となる事は注意されたし。
 (インターネット上、ロシア語からの和訳も存在する。参照されたし)
 
 Exclusive: Tucker Carlson Interviews Vladimir Putin 
『独占:タッカー・カールソンがウラジミール・プーチンをインタビューする』
 https://www.youtube.com/watch?v=fOCWBhuDdDo

 2:07:18 2024/02/08 2時間7分18秒 2024年2月8日
 
 またエマニュエル・トッドの以下の新刊も参照している。
 
 彼はフランス人で、人口統計学者、人類学者、歴史学者だ。
 
 言語:フランス語
 表題:La défaite de l'Occident 『西洋の敗北』
 著者:Emmanuel Todd エマニュエル・トッド
 出版社:Gallimard ガリマール社
 発行年:2024年01月11日
 ページ:371
 金額:¥6,991円(2024年03月19日)
 読了:2024/05/30
 
 この論考のフランス語は上記著作から引用している。
 (動画は個別に付ける)

 新刊のため、和訳はまだないので、必要に応じて付けた。

 ここまでが序論で、以下から本論が始まる。
 
 タッカー・カールソンの動画を見て、思った事から述べたい。
 
 プーチン大統領は朝と夕、ちゃんと神様にお祈りしている人だ。
 
 無論、見た訳ではない。ロシア正教についても、詳しくは知らない。
 
 だが当方が、プーチン大統領を見ていて、まず感じた事は、それだった。
 
 彼が信仰を持っている事は、公にも知られている。以下の動画を参照されたし。
 
 なおこの動画の10年後のノルマンディー上陸作戦80周年記念式典に、プーチンは呼ばれなかった。
 
 『ノルマンディー上陸記念式典、原爆投下の場面でガムを噛みながら拍手をするオバマ、十字をきるプーチン』
 https://www.youtube.com/watch?v=jGpgeYXDF0U

 0:27 2014.6.13 ノルマンディー上陸作戦70周年記念式典にて
 
 これは戦慄すべき事である。プーチンは人を殺しても、神に祈れる。
 
 直接、間接を問わず、これまで彼が、一体どれだけ人を殺したのか、分からない。
 
 彼の殺人は、ソ連KGB時代から、公務の一環として行われている。

 そこに暗殺はあっても、私闘はない。全てロシアのためだ。
 
 だがそれでも神に祈れるという事は、彼が英雄の座にいる事を示している。
 
 一体何を言っているんだ?と思うかもしれない。だがこれは本当の事だ。
 
 普通の人は、直接、間接を問わず、人を殺めると、良心が耐えられない。
 
 だがそれに耐えられるのは、狂人か、英雄だけである。
 
 だが彼の目を見て、思った事は、狂人ではないという事だ。
 
 むしろ、自分の正しさを確信している者の眼差しだ。
 
 だから悪であると断定を下した人物は、殺害する事も厭わず、断罪している。
 
 善悪を踏まえて、全てを判断して来た者の目だ。決して狂人ではない。
 
 また彼が、ロシア正教の首席退魔師である事も関係がある。
 
 ロシア大統領兼ロシア正教チーフ・エクソシストという肩書は、意味がある。
 
 ロシア正教がプーチンにおもねっているとか、そういう風には考えていない。
 
 またロシア・ウクライナ戦争に合わせて、自分で付けた肩書とも考えていない。
 
 霊的な根拠はきっとある。そうでないとロシア正教も、役職を授けたりしない。
 
 彼は退魔師だ。霊能者ではないにしても、多少の覚醒はしているのではないか?
 
 彼の目を見てもそう感じたが、タッカーが最初の一太刀で返されたのもそうだ。
 
 またプーチンは柔道で黒帯を持っているから、格闘家としての心得もある。
 
 大統領で、退魔師で、格闘家で、退役大佐で、元スパイ。物凄い肩書だ。こんな人はいない。
 
 タッカー・カールソンも普通の人ではないが、プーチンには負けしている。
 
 欧米のマスコミは、このインタビューは、いつものタッカーらしくなかったと言う。
 
 そんな事はない。タッカーはインタビューの冒頭から、いつものように斬り掛かっている。
 
 タッカー
 「アメリカが突然、ロシアを攻撃する可能性があるとあなたが信じる理由を教えてください、どのようにして、そのような結論に至ったのですか?」

Tucker
 “Tell us why you believe the United States might strike Russia out of the blue how did you conclude that?“
 
 ここでプーチンは、いつものように、深く溜息を吐く。これは彼の癖で、一種の返し技だ。
 
 プーチン大統領
 「私たちはトークショーをしているのでしょうか、それとも真剣な会話をしているのでしょうか?」

 President Putin
 “Are we having a talk show or a serious conversation?”
 
 ここでタッカーは、いつものように爆笑して、彼一流のやり方で誤魔化す。
 
 タッカー
 「凄く真面目な話です

 Tucker
 “It's a formidable serious.

 このやりとりは、冒頭の会話だが、凄く好対照だ。二人の性格が出ている。

 だがこれでタッカーは出鼻を挫かれた。プーチンに返された。

 いつも通りのタッカーの意地悪な質問だが、プーチンの方が一枚上手だった。

 インタビューだから、相手に会話の主導権はあるが、これで完全に取られた形だ。

 それでも、タッカーは、アメリカの視聴者が訊きたい質問を何度もぶつけている。

 そういう意味では、タッカーらしくないとは言えない。真っ当なマスコミの仕事だ。

 以下でも述べたが、タッカーも普通の人ではない。

 2023年2月のトルコ地震前、地震雲を取り上げている。とにかく勘が鋭い。
 
 FOXのTonight時代でも、数々の「予定」を、他の人に先んじて、発表している。

 だがプーチンには、勝てない。そもそも風格からして違う。

 国家間で戦争をやっている現役の政治指導者だから、雰囲気が違う。

 インタビューを申し込んだのはタッカーだろうが、判断したのはプーチンだ。

 プーチンは、タッカーの事をよく知っていたのだろう。だから受けた。

 プーチンはホームでのインタビューで、タッカーはクレムリンに乗り込んでいる。

 状況的に見て、タッカーはよくやった方だと思う。これは相手が悪い。

 プーチンは、今地上で最も、責任が重い人の1人だ。背負っているものが違う。

 そのせいか、インタビュー中、プーチンは何度も溜息を吐いている。

 また彼の癖だが、うんざりして、やる気がないような態度を時折見せる。

 これは質問内容が彼をそうさせているのだろうが、あの態度は彼の性格だろう。

 インタビューは、ウクライナの歴史的経緯の説明から始まる。幾つか抜粋する。

                              ③に続く

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