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☆本#102 症状という警告「スウェーデンの保育園に待機児童はいない」久山葉子著を読んで

何年か前に、フランスで子育てしている人の本を読んだことがある。フランスは出生率を上げようとあの手この手を数十年も実施していて、結果をだしている。

この本は10年ほど前からスウェーデンで子育てしている人の話だけど、結構対策的にはフランスと同様だった。待機児童なしで、保育園側に過度な残業はなし。

基本、どの職種も残業なしというスタンスで、ショッピングセンターさえ早く閉まるというのは、こっちの方が徹底してる。

ただ、フランスに比べると少し子どもへの対応が男女差を減らすようにしている感じ(フランスも現在はそうかもしれないけど)がした。端的に言うと、「男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしく」というのはなし。ディズニーのプリンセス系の話はアウト。デンマークでその手の話題で炎上したとか。

イスラエルでは以前から男女の差なく子どもを育てている場所があることは本で知っていたけど、そんな感じ。そこでは例えば、人形遊びは女子だけじゃなく、男子にも同様に与え、ピンクは女子の色じゃなく好きな色を選ばせる等。でも、不思議なことに自由に選ばせると、男子は機械等モノづくりに向かい、女子は先生とかコミュニケーションを活かせるほうに向かうという話だった、ような。

この本で印象的だったのは、著者の、眩暈のような原因不明の体調不良の話。著者曰く、夫が出張等で不在時に、誰も知り合いのいない国で子どもを守らなくてはという責任感からくるもの、だと分析している。意識はあるけど、身体が動かせないとはなかなか重症だ、時間的や回数的には多くないようだけど。

著者は10代からスウェーデンが好きで、仕事もスウェーデンが絡んでいて、スウェーデン語も勉強していたけど、移住することは考えていなかった。

こういう症状は個人差によるものとは思うけど、自分から行きたいかどうかってのもキーポイントではないかと思う。著者は、無理なら日本に帰ればいいと思っていたようだけど、こういう開き直りの発想がよかったのかも。

スウェーデンでは無職であることは最優先で回避しなければならないことらしく、著者は、まず個人事業主となり日本からのコーディネート等の仕事を受け始め(当時中国マーケットへの需要増で、就職が厳しかった)、翌年には翻訳関係の仕事をはじめ、翌々年には学校で日本語を教え始める。
人間、やろうと思えば道は拓けるのだな~。

トレードオフが書かれている点もリアル。
自然豊かで夫婦で子供育て出来て、授業中タダで、眺望のいい理想の家を見つけて購入しても、都会のような便利さやショッピング、外食の楽しさはなく、夫の現地での出世もない。

ものは考え方よう。自分が選ぶことが大事で、どこでも住めば都となる。

それにしても、ここ10年くらいで結婚以外の理由による海外移住者が増えたような。
住む場所についても選択肢が広がっている。

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