ダンテ『神曲』を読むためのリンクと覚書,解説書と翻訳書一覧

この記事から漏れてしまったのこちらで。

動画

YouTube「ダンテ『神曲』とイタリア・ルネサンス」高階秀爾

『神曲』を読む前に見ても分かります。『神曲』とはどういう作品かを述べた入門の講演です。

• 高階たかしな秀爾 しゅうじさんは、美術史学者で、現在では大原美術館館長もされています。大原美術館といえば原田マハ『楽園のカンヴァス』(新潮文庫)ですよね。お互いに面識があるのでしょうか。

  • Wikipediaによると、高階秀爾さんは河出書房新社版『神曲』翻訳をされた平川祐弘さんと小学生時に同級生だったとのこと。というか同級生さんたちがすごい人ばかりです。

  • 高階さんは『ルネッサンスの光と闇』『フランス絵画史』『バロックの光と闇』など、多くの著作があります。

  • 音楽の文壇に吉田秀和さんがいるように、美術史には高階さんがいるというように、美術を語る日本語文体を確立した方です。少なくともわたしはこう捉えています。晦渋さ、ペダンティックな薫りがするのに、読むとわかりやすい、美術史家の皆が真似をするけれどそれはただ難しく読み辛いだけ、誰にも為し得ない高潔な文章を書かれます。

  • わたしは近代アートをまったく分からなかったのだけれど、『近代絵画史(下)増補版』を読むとあら不思議、そうなのねと了解しました。

  • 講演で出てきた絵画(全部を判別できず一部だけ)

    • Botticelli,Portrait of Dante

    • Domenico di Michelino,ダンテ、『神曲』の詩人

    • Botticelli,The Abyss of Hell

    • Raffaello,聖体の論議

    • Raffaello,パルナッソス山

    • Michelangelo,最後の審判

    • Botticelli,the Divine Comedy

今道友信 ダンテ『神曲』連続講義 森永エンゼルカレッジ

それぞれの動画はYouTubeにアップされています。『神曲』を一読してから、見る(読む)をおすすめします。

• 今道友信さんは『アリストテレス 』(講談社学術文庫)、『西洋哲学史』 (講談社学術文庫)』などで知られる美学者・中世哲学研究者。

  • わたしは『美について』(講談社現代新書)の印象が強く残ります。

  • このダンテ『神曲』講義(全15回)は『ダンテ『神曲』講義 改訂普及版 新装版』(みすず書房,2004)で書籍化されています。ただし、定価1万5千円という"誰買うの?本"です。書籍は講演内容を忠実に、書籍に相応しい文章・文体に清書されています。

    • 読む(見る)ときっと読みたくなる本

      • 知里幸恵『アイヌ神謡集』(岩波文庫)

      • 小川正廣 『ウェルギリウス『アエネーイス』(書物誕生―あたらしい古典入門)』,岩波書店

高階さん、今道さん、いずれの動画も森永エンゼル財団「森永エンゼルカレッジ」によるアーカイブです。初めて知りました。

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YouTube:平川祐弘 『神曲』と『デカメロン』

ジュンク堂書店で行われた講演です。
平川祐弘さん、ボッカッチョ『デカメロン』も訳されています。ダンテ『新生』もです。いずれもわたしは未読。『新生』は読むかもしれません。

※「デカメロン」はデカ(10)+メロン(日)で「十日」を意味します。14世紀にペストの猛威により疎開した10人による一日一話ずつお話する、計100話の小話集、らしいです。『千夜一夜物語』みたいですね。

ギュスターヴ・ドレによる『神曲』

ドレ(Doré)の作品はWikiArtなどで見ることができます。

Gustave Dore - 760 artworks - painting

書籍

• 『ドレの神曲』谷口 江里也 (翻訳)

  • 左頁ドレの挿絵、右頁は谷口さんよる超訳、といった構成で、挿絵に合うように『神曲』が編集・創作されています。ソフトカバー本で絵が綴じ部まで掛かっており、読みにくい?

  • 同じコンセプトで『ドレの旧約聖書』『ドレの新約聖書』『ドレの失楽園』があります。ただし、これらの挿絵は『ドレの神曲』ほど網羅的ではありません。

• 『画集 ギュスターヴ・ドレ』講談社

  • ドレの『神曲』『旧約聖書』『新約聖書』『ドン・キホーテ』など有名作が網羅的に収録されています。ドレの絵だけを見るのなら、本のサイズが大きくてこの本が見やすいです。

• 『絵で読むダンテ「神曲」地獄篇』平沢弥一郎(翻訳),論創社

  • 比較的大きめの本で、眺めるドレとしてはこの本が最適かもしれません。

ネット無料公開

• 『ダンテ神曲集』ギュスタヴ・ドレエ 筆, 中山昌樹 編、野口書店(昭和24年)

  • 国立国会図書館オンライン(NDL LINE)で公開されています。

• WikiArt Gustave Dore

  • 『神曲』でフィルターをかけるには、Series > The Divine Comedy を選びます。

ダンテ『神曲』解説本について

• 永遠の積読ダンテ『神曲』を読むために~長期休暇に読む本

で挙げた翻訳者さんは解説書も書かれています。

平川祐弘さん(河出書房新社)

1. 中世の四季-ダンテ『神曲』とその周辺,河出書房新社,1981年

2. ダンテの地獄を読む,河出書房新社,2000年

3. ダンテ『神曲』講義,河出書房新社,2010

   • カルチャーセンターでの講座を元に書籍化

の3冊を書かれています。これらの1と3が

• 平川祐弘決定版著作集 「ダンテ『神曲』講義」

  • 目次等(勉誠出版HP)

に一冊にまとめられています。

原基晶さん(講談社学術文庫)

• ダンテ論: 『神曲』と「個人」の出現,青土社,2021年

藤谷道夫さん(須賀敦子の本棚,河出書房新社)

• ダンテ『神曲』における数的構成 (慶應義塾大学教養研究センター選書 15),2016年

• ダンテの『神曲』を読み解く,教育評論社,2021年

翻訳一覧

『ダンテ『神曲』講義 改訂普及版 新装版』(みすず書房 ,2004)からの抜粋。

2004年時点であることにご注意ください。

• 野上素一

  • ダンテ『神曲物語』,教養文庫, 社会思想社, 1968.

  • ダンテ 『神曲・新生』, 筑摩世界文学全集第11巻, 筑摩書房, 1973.

  • ダンテ 『神曲』, フランクリン・ライブラリー, 1984.

• 平川祐弘 *注 平川訳の初出は1966年、以後何度か改訂されています。 

  • ダンテ 『神曲』, 河出世界文学全集,河出書房新社, 1989.

  • ダンテ『神曲』,河出書房新社(新版), 1992.

  • 『ボッティチェルリ 「神曲」 素描 -ベルリン美術館・ヴァティカン美術館所蔵の原画による』, ケネス・ クラーク解説, 鈴木杜幾子との共訳, 講談社, 1979.

• 山川丙三郎

  • ダンテ『神曲』 全3巻, 警醒社書店, 1914-1922.

  • ダンテ『神曲』 全3巻, 岩波文庫, 岩波書店, 1952-1958.

  • ダンテ『神曲』 全3冊, 大空社, 1993. (警醒社, 大正3年-11年刊の復刻)

• 生田長江

  • ダンテ『神曲』 全2冊, 新潮社, 1929.

• 寿岳文章

  • ダンテ『神曲』 全3冊, 集英社, 1974-1976.

  • ダンテ 『神曲』 (新版) 全3冊, 集英社, 1987.

• 竹友藻風

  • ダンテ 『神曲』, 世界文学全集学生版, 河出書房, 1952.

  • ダンテ『神曲』 地獄界, 創元社, 1949.

  • ダンテ 『神曲』 浄罪界, 創元社, 1948.

• 中山昌樹

  • ダンテ 『神曲』 全3巻, 風間書房, 1951.

  • ダンテ『神曲』 全3冊, ダンテ全集 1-3, 日本図書センター, 1995. (新生堂,1924年刊の復刻)

• 三浦逸雄

  • ダンテ 『神曲』, 角川書店, 1970-72.

• 西澤邦輔

  • ダンテ『神曲』, 日本図書刊行会, 1987-88, 近代文芸社, 1997.

• 粟津則雄

  • ダンテ 『神曲』, 筑摩書房, 1988.

• 岡戸久吉

  • 『読ませるダンテの 「神曲」』 デジタルパブリッシングサービス, 2001.

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